October 04, 2008

五つの王国

 最近、『五つの王国』という本を図書館から借りて読んでいました。
 『五つの王国』と聞いて、どんな本を思い浮かべますか?ファンタジー小説ですか?歴史小説ですか?個性的な五つの王国が争い、英雄が現れて、王国同士が統一されて、人々が幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。じぁなくて、生物学の本です。

 Falconが理科の時間に習ったときは、生物は植物と動物と習いました。でも、中学の先生も、高校の生物の先生も、それ以外の考え方があることも指摘していました。
 植物と動物に分ける考え方を二界説と言います。動物は筋肉を使って動き、ほかの生物を捕食する。それ以外の生き物は植物であると考えるのです。だから、胞子で増えるカビもキノコも植物で、バクテリアも植物になります。
 二界説以外に、三界説、五界説、八界説、最近では生物を3ドメインに分ける考えもあるようです。
 『五つの王国』は五界説によって書かれています。



 ショッキングだったのは、われわれ人類は脊索動物門に属しています。数多くの生物を「門」で解説していて、最後に脊索動物門で数ページだけの解説!分類のレベルでいえば、クマムシは緩歩動物門に属しています。カエルに取り付いて問題になっているツボカビだって、立派に「門」になっている。それなのに、ナメクジウオ、ホヤなどの脊索動物、ヤツメウナギ、ヌタウナギなどの円口類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類をまとめて、脊索動物門なんです。
 「いいじゃない、たくさん仲間がいて。僕らの同じ門の仲間はクマムシだけだよ」とクマムシたちのつぶやきが聞こえそうです。えっ、「クマムシがつぶやくわけない」って!
 そうですけど、擬人法ですよ。

 地球上の生物って、たくさんいますね。ただただ、ひたすら驚きました。

23:19:13 | falcon | comments(0) | TrackBacks

闇の子供たち

 ロードショーが始まったころに、見ようと思って、渋谷の映画館で並んだら、何時間も待たねばならず、諦めて帰宅した。その映画をやっと見ることができた。
 すでに原作は初版が出版された時に読んでいた。
 梁石日(ヤン・ソギル)氏の原作は、あまりにも衝撃的で、正直3か月ぐらい、頭から離れず、しかも辛かった。テーマの重大さは受け止めるのに苦労したが、言葉にしにくい、安易に発してしまえば、単なる「偽善者」に貶められるような思いに絡めとられた。
 タイの子供たちと外国人観光客との生々しい性交の場面が原作では扇情的に描かれていた。梁石日氏の表現に圧倒された。またテーマの重大さを突き付ける、意欲的な表現だった。《映画化されるのかなあ。映画化されたら、タイ政府が反対するだろうなあ、いくらなんでも自分の国の恥部を描かれて納得しないだろう》と内心思った。映画化に取り組んだスタッフの勇気と努力に敬服する。
 今、ネットで確認したら、タイのバンコク映画祭で上映中止になったようだ。
 臓器移植のために子供たちが犠牲になる。児童買春のために子供たちが弄ばれる。見るに堪えられない。タイの子供が犠牲になった臓器移植はないそうだが、本当になかったのだろうか。
 映画ではもちろん、痛々しい観光客と子供たちのセックスは原作ほど描かれていない。だが、余りにも残酷すぎる。
 児童買春は事実だろう。地球上から無くなることを祈りたい。

 江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩一の演技陣は申し分ない。江口さんは表情があまりない印象だったけど、手堅い演技で胸を打つ。チットを演じたタイの男優さんは哀愁が漂い、原作のイメージより恰好が良かった。そのほか脇役のタイの俳優さんはイケメンぞろい。

 タイでも修正を加えたうえで上映されるようだ。タイだけでなく、世界の多くの国で上映されることを期待する。

21:05:42 | falcon | comments(0) | TrackBacks

不思議な感じ

 ときどき、ふと思うことがある。
 本を探しているとき、欲しくてたまらないという要求が高まるとき、思うようにならなくてイライラするような、じれったい気持ちで満たされる瞬間、早く手にいれたいとあせっているので、けして長続きしてほしくないと思っているのだけれども、欲しいものが見つかって手にして、感激の頂点に高まり、しばらく経ってみると、あの何とも言えない、探しているときの感情が懐かしく、いとおしく感じられる。むしろ、欲しかった本を手にして、読書して、得られた知識や感情よりも、探しているときのほうが、神経が心地よく興奮しているではないかと思ってしまう。

 欲しいと思っていた服が手に入らなくて、あちこちの売り場を歩いて探しているときのほうが、身につけて街を歩く快感よりも、むしろ良かったように思えてしまう。その快楽を得ることに喜びを覚えるようになると、単なる買い物好きになってしまう。Falconにはそういう趣味はないけれども、人によっては、探して買う瞬間が忘れられなくて、買っているばかりで、箪笥に服がたまる一方という人がいるらしい。

 図書館で借りた本はきちんと読んでから返すようにしているが、人によっては、探すときの感覚が好きで本を借りる人がいるらしい。探し当てた瞬間、貸出カウンターに持って行き、バーコードをコンピュータが読み取って、ピッと鳴って、手渡された瞬間は、たしかに嬉しい。けれども、家にたどりついて、こんな分厚い本、読めるだろうかと思うと、暗澹たる気持ちになる。なんで、こんな本借りてしまったのか。あれだけ読みたいと思って探していたのに、実に不思議な感じだ。こんなこと、図書館について教えている自分が考えるのは、矛盾しているかもしれない。

11:37:49 | falcon | comments(0) | TrackBacks