April 22, 2015

秋の日のヴィオロンのためいき

 今日も図書館で教科書を読んでいました。コレージュ第4学年(日本の中学2年生)の「フランス語」の教科書を読んでいました。
 詩の学習でポール・ヴェルレーヌの《秋の歌》が載っています。日本では上田敏や堀口大學の訳でお馴染みの詩です。で、フランスの教科書は、これだけでは終わりません。この詩の影響を受け、一節を取り入れたセルジュ・ゲインズブールの歌も取り上げます。《Je suis venu te dire que je m'en vais》しかも、Youtubeで聞いて比較しようとまで。もちろん、ゲインズブールの写真も略歴も掲載。

 日本の国語の教科書で、こんなこと書いてありましたっけ?

 このブログでも取り上げましたし、facebookでも取り上げて論議を呼んだ「クジラの飲み水」事件。もう10年ぐらい前、東京都(M区)の中学校へ教育実習生の指導で訪れたとき、研究授業が中学1年生の国語の授業で「クジラが真水を飲まずに生きていけるか」というテーマの説明文の授業でした。クジラがオキアミを食べて消化して体内でエネルギーを得て水と二酸化炭素に分解するという内容でした。授業が終わって、職員室で校長と教頭、実習生と話し合いをしました。理科好きのFalconが思わず、「中学1年生の1学期で呼吸と代謝を学びませんね」と発言したら、幸い教頭先生が理科の先生だったので教科書を調べてくれました。当時、中学2年生の理科に「呼吸と代謝」がありました。そこでFalconは「教科書で学べない内容を学校図書館で調べられるといいですね」と発言したら、校長が大変な剣幕で「国語は国語、理科は理科。国語は言葉の意味が分かって、文章が理解できればいいんです。あなたは大学で何を教えているんですか。これだから、大学の先生は困る」と怒鳴り、塩をまかれるような勢いで、校門から叩き出されました。
 日本の教科書は縦割りで、教科の関連がほとんど無く、先生が教える内容が書かれている。子どもたちの知識を広げたくても、教科の範囲に限ってしまう。10年くらい前は総合学習が始まったばかりで、現場が混乱していました。校長の発言も仕方なかったでしょう。不愉快な話はここまで。

 フランスに戻ります。セルジュ・ゲインズブールは、このブログでも取り上げました。異彩を放つ伝説的なフランスの歌手、マルチタレントです。保守的な親たちの間ではゲインズブールには懐疑的です。過激な発言と行動、数々の女性遍歴は亡くなった今でも忘れられていません。
 とはいえ、セルジュ・ゲインズブールの歌には繊細で哀愁漂う名曲も多いんです。日本でもお馴染みシャンソンの名曲ジャック・プレヴェール作《枯葉》にちなんだ、ゲインズブールの《プレヴェールに捧ぐ》は負けず劣らず名曲だと思います。ぜひ、Youtubeで聞いてほしい。彼の伴侶だったジェーン・バーキンもカヴァーしています。

 さて、「秋の日のヴィオロンのためいき。。。」、これ、ノルマンディ上陸作戦の暗号だったんですよね。さすがにここまではフランス語の教科書にはありませんでした。歴史の教科書にはあるでしょう。

Posted by falcon at 23:12:29 | from category: Main | TrackBacks
Comments

tsuzuki1014:

この言葉、セルジュ・ゲインズブール自身の創作だと思っており、流石ゲインズブール面白い事を言うなと感心していましたが、あのヴェルレーヌの引用とは!いやはや勉強になりました。
(April 23, 2015 01:54:45)
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