October 04, 2008

闇の子供たち

 ロードショーが始まったころに、見ようと思って、渋谷の映画館で並んだら、何時間も待たねばならず、諦めて帰宅した。その映画をやっと見ることができた。
 すでに原作は初版が出版された時に読んでいた。
 梁石日(ヤン・ソギル)氏の原作は、あまりにも衝撃的で、正直3か月ぐらい、頭から離れず、しかも辛かった。テーマの重大さは受け止めるのに苦労したが、言葉にしにくい、安易に発してしまえば、単なる「偽善者」に貶められるような思いに絡めとられた。
 タイの子供たちと外国人観光客との生々しい性交の場面が原作では扇情的に描かれていた。梁石日氏の表現に圧倒された。またテーマの重大さを突き付ける、意欲的な表現だった。《映画化されるのかなあ。映画化されたら、タイ政府が反対するだろうなあ、いくらなんでも自分の国の恥部を描かれて納得しないだろう》と内心思った。映画化に取り組んだスタッフの勇気と努力に敬服する。
 今、ネットで確認したら、タイのバンコク映画祭で上映中止になったようだ。
 臓器移植のために子供たちが犠牲になる。児童買春のために子供たちが弄ばれる。見るに堪えられない。タイの子供が犠牲になった臓器移植はないそうだが、本当になかったのだろうか。
 映画ではもちろん、痛々しい観光客と子供たちのセックスは原作ほど描かれていない。だが、余りにも残酷すぎる。
 児童買春は事実だろう。地球上から無くなることを祈りたい。

 江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩一の演技陣は申し分ない。江口さんは表情があまりない印象だったけど、手堅い演技で胸を打つ。チットを演じたタイの男優さんは哀愁が漂い、原作のイメージより恰好が良かった。そのほか脇役のタイの俳優さんはイケメンぞろい。

 タイでも修正を加えたうえで上映されるようだ。タイだけでなく、世界の多くの国で上映されることを期待する。

Posted by falcon at 21:05:42 | from category: Main | TrackBacks
Comments
No comments yet
:

:

Trackbacks