October 04, 2008

不思議な感じ

 ときどき、ふと思うことがある。
 本を探しているとき、欲しくてたまらないという要求が高まるとき、思うようにならなくてイライラするような、じれったい気持ちで満たされる瞬間、早く手にいれたいとあせっているので、けして長続きしてほしくないと思っているのだけれども、欲しいものが見つかって手にして、感激の頂点に高まり、しばらく経ってみると、あの何とも言えない、探しているときの感情が懐かしく、いとおしく感じられる。むしろ、欲しかった本を手にして、読書して、得られた知識や感情よりも、探しているときのほうが、神経が心地よく興奮しているではないかと思ってしまう。

 欲しいと思っていた服が手に入らなくて、あちこちの売り場を歩いて探しているときのほうが、身につけて街を歩く快感よりも、むしろ良かったように思えてしまう。その快楽を得ることに喜びを覚えるようになると、単なる買い物好きになってしまう。Falconにはそういう趣味はないけれども、人によっては、探して買う瞬間が忘れられなくて、買っているばかりで、箪笥に服がたまる一方という人がいるらしい。

 図書館で借りた本はきちんと読んでから返すようにしているが、人によっては、探すときの感覚が好きで本を借りる人がいるらしい。探し当てた瞬間、貸出カウンターに持って行き、バーコードをコンピュータが読み取って、ピッと鳴って、手渡された瞬間は、たしかに嬉しい。けれども、家にたどりついて、こんな分厚い本、読めるだろうかと思うと、暗澹たる気持ちになる。なんで、こんな本借りてしまったのか。あれだけ読みたいと思って探していたのに、実に不思議な感じだ。こんなこと、図書館について教えている自分が考えるのは、矛盾しているかもしれない。

Posted by falcon at 11:37:49 | from category: Main | TrackBacks
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