October 25, 2014
病名としての「障害」「依存症」が無くなること
古新聞を整理していたら、2014年7月20日(日)の読売新聞の「教えてyomiDr.ヨミドクター」に、米国精神医学会作成の精神疾患の診断基準が昨年改定され、これを受けて日本精神神経学会は今年5月に改定に対応した日本語病名を発表したとの記事が載っていた。それによると『広汎性発達障害(自閉症障害、アスペルガー障害)』は『自閉スペクトラム症』、『パニック障害』は『パニック症』にと『障害』という言葉を使わなくなるそうだ。一方、『アルコール依存症』は『アルコール使用障害』、『ニコチン依存』は『タバコ使用障害』に変更されるらしい。
この問題に関心を持ったのは、ほかでもない、以前、図書館に関する教科書をFalconが執筆したときに、「障害は社会の側にあって、その人に無いのだから、『障害者』と呼ぶのは不適切である。『不自由を感じる人』と表現したい」と叙述したら、
「この教科書は図書館情報学の教科書であって、福祉に関する本ではない。『障害者』と法律にもあり、一般的に使っているのだから問題ない。こうした叙述は改めなさい」
と、この教科書の編集を務めた、大変高名な先生からご指摘いただいた。結局、この教科書は一応、出版されたものの、2年くらいで新たな執筆者による改訂版が出版されて、廃版にされた。余程、高名な先生にはFalconの考え方が気に喰わなかったのだろう。もう10年上も前のことである。(後から書き足し:たしかに高名な先生の意見は正論と言えば正論ですが、それでも『障害者』と名指しされる気持ちも考えてもらいたい)
読売新聞の記事を読んで、そのときの復讐をしてやりたい衝動に駆られた。
昨年だったけなあ、その高名な先生が例の教科書編集に触れて、「問題のある教科書は葬り去った」と語気を強めて言っていた。昔のことだったから、Falconはすっかり忘れていたことだったのに、蒸し返されて不愉快だった。
米国精神医学会の診断基準が変更された今なら、きっと高名な先生は「アメリカの精神医学会の診断基準が変更されたそうです。『障害』という言葉は今後、使わないようにしましょう」と、Falconの叙述を罵った口を拭って言うだろう。あの先生は、「アメリカかぶれ」だからね。言うに決まっている。かと言って、「いやあ、実は私が以前に編集した教科書には、『障害』という言葉は使わないようにと書いたんですよ」とまでは、ずうずうしく言えないと思う。
結果としては、高名な先生の考えは明らかに間違っていた。正確にいえば、時流が変わって、そぐわなくなった。つまり、Falconには追い風になった。もはや復讐する気もない。黙っていても、高名な先生は制裁を受けるだろうし、恥入るしかないだろう。大勢の聴衆の前で、聞えよがしに講演されたのだから。
ほとんど読まれていないブログで密かに愚痴を呟いてみました。 [more...]
18:37:41 |
falcon |
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October 21, 2014
Big6の提唱者
Big6の提唱者マイケル・アイゼンバーグに会うことができました。以前、アメリカで開催された学校図書館の大会ですれ違ったのですが、間近で話しができました。Powerpointを使わずに精力的に話しきるところは頑なですが、さすが大物だなぁと思います。ほかの発表者から伝説的と揶揄された一幕もありましたけど、揺るぎません。気さくな人でした。
10:24:22 |
falcon |
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October 20, 2014
秋のクロアチア
世界文化遺産の町ドゥブロブニクにいます。正確には郊外のLapad近くのホテルに宿泊しています。
フィンランドのヘルシンキから乗り継ぎして来ました。ヘルシンキは真冬のような寒さでした。クロアチアのドゥブロブニクは日本の東京ならば9月の半ばぐらいの陽気です。昼間は暑い!
なんで、来ているのかと言いますとヨーロッパ情報リテラシー大会European conference on information literacyに参加するためです。
IFLA大会はテーマや分科会が多くて、どれに参加するのか、迷っているうちに終わってしまいます。
ECIL大会は、その点、テーマの幅に限りがあります。分科会も少なくて、かえって気楽です。それに会場の立地条件が最高です。
パリ、リヨン、モスクワに比べて、多少不便ですが、ドゥブロブニクは景色が美しいので、満足しています。
IFLA大会を開くには町が小さいかもしれない。良いところなんですけど。
09:29:44 |
falcon |
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October 10, 2014
モンパルナスへいらっしゃい!
パリへ行くたびに不思議に思っていた。モンパルナス・タワーがそびえる庶民の街の地下に、モンパルナス・ビヤンヴニュという地下鉄の駅がある。発音だけ聞く分には、「モンパルナスへいらっしゃい」「モンパルナス、ウェルカム」と意味を考えてしまう。観光都市パリといえども、モンパルナスだけ、いらっしゃいというのも珍妙な気がする。それに「いらっしゃい、ウェルカム」の意味のBienvenueと駅名のビヤンヴニュではちょっと綴りが違う。駅名のビヤンヴニュのuの上にトレマという2つの点が付く。ちょっとググれば、調べがつくのだが、そのうち、わかるだろうと素朴な疑問を放置していた。
それが、やっとわかった。パリのメトロ創業時の技師だったビヤンヴニュという人の名前に由来する。玉村豊男著『パリ・旅の雑学ノート:カフェ/舗道/メトロ』(中公文庫)に説明がある。
玉村豊男さんって、テレビに出てくる料理好きのオッサンだと思っていた。ところが東大出身でパリに留学した、学識豊富な好人物だったのである。
この本を読むと、25年前のパリにタイムスリップしたような気がする。Falconがパリへ初めて行ったころの通貨はフランだった。玉村さんが書いているパリはもっと前の姿である。
そうだなあ、今も変わらぬパリでもあるし、日々刻々と変貌を遂げるパリでもある。観光客が集まる界隈は店もおしゃれになって、東京や他の町と変わらない。ちょっと横道に入ると、40年前も、30年前も、同じ風景が残っている。
この本には、メトロの由来や、バスやタクシーの語源についても書いてある。タクシーの語源は納得できた。
そういえば、ポンピドゥ・センターの近くのサンドニ通りにたむろしていた娼婦のお姉さんたちはほとんど見かけなくなった。ピガール周辺でも、「あっ、お姉さんだ!」と気がつくことは無い。いかがわしそうなSex shopやPeeping room(のぞき部屋。男性が脱ぐときもあった)もきょろきょろ見て歩かなければ気がつかない。
別にその気は無くても、町の雰囲気を醸す情緒が、最近のパリには無い。
ただし、ゲイのお兄さんたちはかなり目立つ。以前にも報告したように前パリ市長がゲイだったしね。
地下鉄もバスも日本人観光客に易しくなった。次の駅のアナウンスが聞けるようになったし、バスは車内に次の停留所の掲示が出る。赤のLEDでね。昔は、次の駅、次の停留所がさっぱりわからなくて困った。なにしろ、日本のように地下鉄やバスの車内にアナウンスを流すのは幼稚で未熟な証拠って、フランス人はせせら笑っていた。「日本人は自分の降りる駅がわからないくらい、自立心が無いのよ」と捨て台詞を残すくらい、フランス人は自分の国のシステムに誇りを持っていた。ところが、今は気味が悪いくらい丁寧である。それに地下鉄の最新車両は自動ですべての乗降口のドアが開閉する。玉村さんが記すように、いまだに取っ手やボタンを押して乗り降りするドアを開く車両が多いけど。
パリの街はかなりきれいになった。フランス人も、さすがに平気でごみを散らかすのは文明国として恥ずかしいということに気が付いたらしい。犬の糞も条例で規制されたので、ほとんど落ちていない。東京の清潔さと比べると、まだまだと言いたくなるけど、健気に努力するパリズィアンたちを評価してあげよう。
玉村さんの本でパリの水道水の話題には、思わず肯いた。
腹をこわすのは、旅行者の旅の疲れ、興奮、言葉が自由に話せないもどかしさによる気づかれ等が原因で、水道水そのものが悪いと言えないと断言(?)している。実際、パリで水道水を飲んでも、具合が悪くなることは少ない。むしろ、銘柄は言えないが、ミネラルウォータのほうが硬水で、腹にこたえることが多い。
ということで、ユーロが通貨になる前のパリを思い出して、胸が締め付けられるくらいに懐かしくなってしまった。
ああ、玉村さんによると、パリで焼き芋も売っているんだって。パリの焼き栗は有名だけどね。マ〜ロン、ショオ〜という呼び声が聞こえるとパリにも冬の足音が聞こえてくるね。
22:25:31 |
falcon |
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October 05, 2014
フランスの代理教員が不足している県
昨日の朝、NHKBSのワールドニュース(溜め録画でなく、最新のニュース!)を見ていたら、フランスでは代理教員が不足しているという。特にセーヌ・サンドニ県では小学校の代理教員が不足していて困っているという。しかも、わずか数日で辞めてしまうらしい。児童たちの気持ちをまとめる気にもなれないくらいクラスが荒れているらしい。セーヌ・サンドニ県と言えば、パリの北東部で移民系の労働者が多く住んでいる地域である。犯罪の多発地域だ。
ロワッシー空港(シャルル・ド・ゴール空港のこと)からRERのB線でパリ市内に向かうとき、必ずこの地域を通る。そして、北駅に着く。Falconはパリらしいと感じているけど、普通の旅行者だったら、敬遠するだろうなあ。
海外県を含めてフランス全土で24,000人近くも代理教員が不足しているらしい。
日本では、文系の大学生ならば、教職課程を取りたがる。日本の教員の給与は世界的に見ても高水準である。それにエリートが就く仕事であるし、外聞も悪くない。一目おかれる職種である。
ニュースでは記者が代理教員に応募して、簡単な数学の問題を解いただけで、高校の教員は無理だけど、中学校の代理教員として採用すると通告されたことが紹介された。結局、この記者は代理教員の道は選ばなかったらしいけど。
要するに大学を卒業していれば、誰でも代理教員になれるっていうこと。続ける気があれば、だけどね。
ニュースでは触れていないけど、フランスの教員の給与は非常に低い。日本の教員の3分の2程度である。日本の中堅クラスの教員が年収700万円くらいなら、フランスの中堅クラスの教員は日本円に換算して年収500万円くらいである。日本に比べ、所得税も、付加価値税(日本の消費税に相当)も高い。けして、フランスの生活が楽とは言えない。ただし食料品は滅茶苦茶、安い。日本のリンゴ1個の値段で、少なくともリンゴ3個くらいは買える。それにしても日本人が考えているフランス人の生活とは著しくかけ離れている。
そのうえ児童生徒が従順でなく、時には暴力をふるうとなれば、学校の教員なんて、やっていられない。
フランスだけでなく、移民が山ほど押し寄せてくるヨーロッパ社会は深刻な問題を抱えている。
優雅な旅行番組で憧れるのは勝手だけど、現実は想像もつかないほど厳しい。
01:08:03 |
falcon |
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