September 08, 2013
アジアはすべて抗日・反日なのか*レインボーマンからの考察
ちょっと前に、マツコ・デラックスと村上信吾君が司会をしている『月曜から夜ふかし』という深夜のテレビ番組で、『レインボーマン』の主題歌の替え歌の件を取り上げていた。おもわず懐かしく口ずさんでしまった。「インドの山奥で。。。」ではじまる極めて印象的な歌である。いわゆる怪人を倒す特撮ヒーローものの一つで、『月光仮面』の作者として知られる川内康範氏の原作である。
「川内康範さんって、どっかで聞いたことがある。えーと、何だったけ?」
森進一さんが唄った「おふくろさん」の作詞家で、著作権問題を起こした人です。
「ああ、そうそう、そうだった」
でね、
「『あのくたらさんみゃくさんぼだい』って、御経を唱えて変身するんだよね、レインボーマンは」
そうそう、あの当時は「ありがたい御経を子供向けの怪人物番組に使うなんてという批判があった。
さて、問題はここからだ。先日、バリ島から帰ってきた話はしたよね。最後の日のキンタマニーへのツアーの時だった。参加したのはアメリカ人、オーストラリア人、カナダ人、スウェーデン人とFalconだった。宿泊していたサヌールからキンタマニーへは車で約2時間半で、時間を持て余していた。車中でバリ島のガイドの人がバリ島の歴史を語り始めたとき、気まずい雰囲気になった。
バリ島は太平洋戦争中、大東亜共栄圏の中にあり、当然のことながら日本の支配下にあった。バリ島にも日本占領下で連合国の兵士たちが捕虜として収容された施設があったらしい。
このツアーの参加者たちは「日本人のことを責めているわけじゃないから、気にしないでくれ」と口々に言ってくれたけれども、何とも言えない雰囲気になった。
実はガイドの人は日本占領になる前に東南アジアがオランダやイギリスの支配にあったことも説明していた。
なぜレインボーマンを引き合いに出したかといえば、レインボーマンが戦う謎の軍団が、日本人殲滅をもくろむ「死ね死ね団」(←実に生々しいネーミング)という集団で、太平洋戦争中、日本軍に苛烈な扱いを受けた連合国の捕虜たちが恨んでいることがきっかけである。
「子供向けの番組にしては、ずいぶんと政治的な緊張感のあるテーマじゃん」
そうなんだ。
でね、問題はさらにアジアの人たちがすべて太平洋戦争による抗日・反日感情によって突き動かされているかである。日本が支配する以前、あるいは太平洋戦争後、どこの国に支配されたかにより、かなりの差がある。植民地化が始まっていたとはいえ、中国には清朝を打倒した漢民族の政府があったし、朝鮮は李朝があった。全土が植民地化れなかった国は抗日・反日の感情が激しい。
マレーシアのように錫鉱石が取れたことによってイギリスに搾取された地域は日本による支配を、イギリスからの解放と考える場合もある。バリ島はオランダの支配を受けていたから、同じアジア人の日本による支配が必ずしも悪感情を生むものではなかったようだ。逆に東南アジアでは捕虜となった連合国の兵士たちの日本への恨みが根強い。
オランダとイギリスは最近、慶事が続いた(唯一、オランダの王子が亡くなったのは痛ましい)。日本人たちも祝福したので両国とも友好な関係を築いている。しかし、60年以上も経っても、捕虜だった人たちの恨みは続いている。
アジア諸国の日本への感情は、かならずしもその地域の人たちだけのものではない。連合国の捕虜たちの恨みも含んでいると構造的に考えたほうが良い。
バリ島での国際学校図書館協会の大会の参加者でスリランカの研究者がいた。彼がスリランカは日本を友好国と思っていると強調していた。それは第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和条約のとき、スリランカ(当時はセイロン)のジャヤワルダナ大統領が「憎悪は憎悪で止むことなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用して、賠償金を放棄したことを説明して、日本を窮地から救ったことを述べた。
戦争はすべてのものを破壊し、正義も愛も踏みにじる。
図書館は団結して戦争に反対する。
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