May 02, 2010
じとぢ、ずとづ、悩みの種は尽きない
もう目録はMARCがあるし、OPACもあるし、分類ラベルは業者が装備してくれるから、知らなくても大丈夫と思っている人も多い。以前、ある大学の学生が自分の卒業論文をネット上に公開していた。図書館学教育について調査した論文だった。その論文では、Falconが教えている大学を名指しして、「今では図書館のアルバイトがしているような洋書目録について教えている。図書館アルバイトを養成しているようなものだ」と指摘してくれた。たしかに、事実、大学の図書館ではアルバイトなどの非正規職員にNACSIS−CAT(国立情報学研究所の目録作成システム)を使って目録を作成させているところが多い。このブログでも取り上げた京都大学の図書館も非正規職員が目録作成のしごとをしている。ということで、目録・分類は図書館の仕事の中でも、重要でありながら、非正規職員でもできる仕事と思われて、軽視されてしまった。
しかしながら、目録も分類もわからなければ、情報検索もレファレンスもできないし、利用指導もできない。図書館のあらゆる仕事が目録と分類に始まると言っても良い。
で、日本目録規則で悩ましいのは、片かな表記法と分かち書きである。分かち書きは、日本目録規則に無い。だが、分かち書きが無いと情報検索のとき困る。分かち書きをしないと、「としょかん」と入力しても、「バカとテストと召喚獣」が検索されてしまう。
「である」調から、「です・ます」調へ変えます。
「じ」「ぢ」「ず」「づ」は国語学で四つ仮名といわれて、以前は発音し分けましたが、高知県の一部で発音し分けている以外、現代日本語では発音はそれぞれ一つに統一されています。そこで、日本目録規則の片かな表記法では、ぢ→ジ、づ→ズとしています。
地球では地を「ち」と読みながら、地震では地を「じ」と読む現代日本語の謎を解説してくれる本を、昨年発見して読んでいました。しばらく読まないで置いておきましたが、今日、発見して、再び読み始めました。
土屋秀宇著『日本語「ぢ」と「じ」の謎:国語の先生も知らなかった』(光文社知識の森文庫)
確信はありませんが、排列が配列と書きかえられたのは、代用漢字のためだったのではないかと思います。配列と排列は同義語ではないかという指摘もありましたが、やはり並べるという意味では排列が正確な表記といえます。同義語と勘違いさせてしまうのが代用漢字です。
「芸術」も、正確には「藝術」であり、「芸」はウンと読み、日本の最初の公共図書館といわれる、奈良時代の学者・石上宅嗣(いそのかみのやかつぐ)の芸亭もウンテイと読みます。
さて、土屋氏の著書を日本目録規則で記録するとき、本タイトルの「ぢ」を標目で片かな表記法にしたがって、どのように記録するのでしょうか?
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