March 18, 2009
ブルトン語の本は?
以前、フランスのブルターニュ地方へ行ったことがある。調査で行って、そこで出会った人と意気投合して、話が盛り上がり、その人のうちへお邪魔して、家族と一緒に昼食を御馳走になった。
そのとき、「ブルトン語って、知っている?」と言われて、NHKのフランス語講座で覚えた「ケナボ」を言った。もちろん意味は承知していた。「さよならAu revoir」なんだけれども、それしか知らなかった。おかげで、盛り上がっていた話は一気に急降下。「そろそろ、切り上げようか」という雰囲気になってしまった。
ブルトン語とは、ローマ帝国が支配権を広げる以前にヨーロッパに住んでいたケルト民族の言語に由来して、ブルターニュ地方の一部で話されている。フランス語とは似ても似つかぬ言語で、英語とも違う。
それで図書館にブルトン語の本がないか、探している。アイルランドで使われているゲール語の本ならば、かなりある。
日本で見つからなければ、現地へ行くしかないかとも考えている。
ブルターニュ地方はフランスの北西部で、海峡を隔ててイギリス、アイルランドと対峙している。
ノルマンディ地方と並んで、魚介類が豊富で、ブドウの栽培に適ざないため、ワインではなく、リンゴ酒シードル(英語ならサイダー)が美味しい。名物料理はクレープとガレット。クレープは日本でも知られている小麦粉で作る甘いデザートであるが、ガレットはそば粉で作る。バターや塩を使うので、甘さはほとんどない。ハムや生卵、キノコをのせて、焼くので、日本のお好み焼きそっくりだ。ガレットには甘い菓子の意味もあるけど、ブルターニュでは完璧にお好み焼きだ。
そば粉がフランスで使われていると聞くと、意外かもしれないけど、そばは中央アジア原産*(日本大百科全書によると、ソバは中国が原産地)で、それが世界中に広まった。日本だけでそば粉を作っているとは限らない。寒冷で土地の痩せた地域では、広く栽培されている。ちなみに、そばはフランス語でSarrasin、文字通りサラセン、イスラム帝国を意味する言葉に由来する。
一気に読んだ。ブルターニュ地方にケルト民族の残照を求めて旅した記録で、バスの時間に間に合わせるために、のんびりしたり、慌ててバスに乗り込んだり、遺跡を探すために自転車であくせく走り回ったり、気さくなタクシーの運転手と会話を交わしたり、じっと読んでいるのに、こちらまでが冷や汗をかいたり、ドキドキして、まるで著者と一緒に歩いて旅をしている気分になれる。読み終わったとき、疲れがどっとあふれ出た。疲れが爽やかな読後感に変わる。こんな読書も良い。
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