April 14, 2008

ウルビーノのヴィーナス展で、おおー!

 先日、国立西洋美術館で開催されている「ウルビーノのヴィーナス展」へ行ってきました。
 見てきた他の人も、ブログに書き込んでいるけど、「パリスの審判」のコーナーにある絵画の中の一つの右隅に、エドゥアール・マネの『草上の昼食』のモチーフとなった図像がありました。先頃、亡くなった若桑みどり先生の著作で見たような気がします。発見したときは、Falconも「おおー」と声を漏らして、思わず「マネの『草上の昼食』」と呟いてしまいました。『オランピア』と並んで、パリの画壇を震撼させて、非難を浴びた名画?、『草上の昼食』。草の上で衣服を身に着けた男たちに混じって、全裸の女性が誘うように目を向ける。マネは、既にある構図を真似たわけです。それを19世紀のフランスの郊外で昼食を楽しむ市民たちの情景にあてはめたのですが、≪女神≫という言い訳無しで、描いたのでスキャンダルになってしまった。キリスト教が信じられたヨーロッパでは、異教・異郷の女神なら、全裸でも良かったのです。そういう約束事を打ち破って、新しい美意識に目覚めたのがマネだったのですね。

 そう言えば、ヨーロッパの名門ハプスブルグ家からフランス王家に嫁いだマリー・アントワネットは、ヴェルサイユ宮殿の中にあったロココ時代の宮廷画家ブーシェの描いた神話に題材を採った裸体画が恥ずかしく嫌いで、局部に張り紙をしたというエピソードを何かの本で読んだことがあります。享楽に耽った王妃という噂話が先行していますが、屈指の名門の王女様ですから、それなりの教養と美意識を持った人だったのでしょう。
 そのうえ、潔癖症で、ヴェルサイユ宮殿にトイレを作ったのも彼女でした。彼女の故郷オーストリアではトイレがあって、彼女の母マリア・テレジアは執務中にトイレに行くのが面倒なので、椅子の下に便器を置いたそうです。出産後、直ぐに執務につく猛烈ママですからね。一方、当時のフランスではトイレがなかったので、便器で用を足していたそうです。場合によっては、宮殿内のあちこちで、便器無しで用を足すものだから、ルイ14世は足元がひどく汚れないようにハイヒールを履くことにしたそうです。それが後にファッションとして流行しました。王の威厳を保つために、ヒールの高い靴を履いたという説もありますが。アントワネットは野卑なフランスの宮廷生活に失望したのでしょうね。潔癖症の彼女に「マリー・アントワレット」とあだ名をつけた人もいたそうです。

 日曜日の夕方にTBS『新・世界遺産』、深夜に『世界ふれあい街歩き』を見ていたら、いろいろと思い出しました。

Posted by falcon at 01:26:46 | from category: Main | TrackBacks
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