November 18, 2007

偽装と疑惑の図書館設計と設備

 国学院大学のたまプラーザキャンパスの図書館棟が、耐震構造に関する計算に問題があるらしく、現在(11月18日)、利用できない。まだ、構造計算について調査中で、構造計算に問題があったと判明したわけではないので、誤解無いようにしていただきたい。

 以前、マンションの耐震偽装問題で騒がれたとき、図書館建築は大丈夫なのかとブログで問い掛けた。そのとき、日本図書館協会では大丈夫であろうという見解で、安心していた。しかし、今に至って、問題が浮上してきた。多くの人が利用する施設なので、もう一度、念のため、調査する必要があるのでないか。

 ちなみに、国学院大学たまプラーザキャンパスの図書館は、木村拓哉と常盤貴子主演のTBSのドラマ『ビューティフル・ライフ』のロケ地だった(照明に使う電力消費量が多く、途中で、実際の図書館を模して、スタジオに作った図書館のセットに切り替わったらしいのだけれども)。常盤貴子が車いすの司書だったのが印象に残る。ちょっぴり悲しい恋愛物語だった。

 さらにちなみに、ドラマの図書館の入口は、国際基督教大学の図書館の入口だった。

 設定が公共図書館の司書だっただけで、別に図書館の仕事が詳しく描かれたわけではなかったので、ドラマの評判は図書館関係者の間で冷ややかだった。「常盤貴子が、仕事らしい仕事をしていない!」でも、仕方無いよ、テーマは図書館じゃないんだから、キムタクと常盤貴子の甘く切ない恋愛なんだから。(このあと、書きたいことがあるが、テーマがズレルので、敢えて省略)

 さて、図書館の設備に関しては、業界では甘く見られている。
 以前、ある大学図書館の入退館システムで、こんな不備があった。
 利用者は、バーコードを印刷されたカードをセンサーにかざして入館できるようになっていた。そこの大学図書館は、地域住民に開放されて、大学の学生・大学院生・教職員だけでなく、近所の小学生から大人まで、バーコードが印刷された利用者カードを発行してもらえれば、入館できた。開館して、間もなく、登録する地域住民が多く、登録カードが不足してきて、登録が制限された。
 ある日、登録カードを持っていない利用者が簡単に入館できる事態が生じた。なんと、マルボロ(タバコ)のパッケージのバーコードをかざして入館できた。その他のバーコードでも入館できた。その後、システムにミスが見つかり、登録カード以外のバーコードでも入館できることが判明した。慌てて、システムのプログラムを変更して、登録カードのみで入館できるようになったのだが、その束の間、新たな問題が浮上した。

 もう予想がついたと思うが、登録カードのバーコードを複写して入館する利用者が増えた。結局、数百万円もかけたハイテク入退館システムは無駄になり、カウンターでトラブルを防ぐための人員を増やすハメになった。
 今、入退館システムは磁気カードか、ICチップカード式であろう。バーコード式は不正利用につながりやすい。

 図書館職員は、文系出身が多いだけでなく、しかも文学部で日本文学とか、英米文学、歴史学などを学んだ人が多く、施設や設備に疎い。そのうえ、図書館の司書講習でも、大学の図書館司書課程でも、図書館建築と設備について、講義科目でほとんど触れられていない。
 おまけに、図書館情報学は「声高きおしゃべり」で、WEB2.0とかは、職員として働いている者とっては無駄な話ではないが、泥臭い問題の解決にならない。学会で、理論的な話かと思って聞けば、図書館ボランティアの心得みたいな話も少なくない。読書ができれば、図書館職員になれると思ったら、大間違いである。レファレンスで知識をひけらかせば、図書館職員になれると思ったら、大間違いである。ましてや、百科事典の使い方を指導できたからと言って、そんなの当たり前なんだけど。
Posted by falcon at 22:02:01 | from category: Main | TrackBacks
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