May 06, 2010

先生、「みなしご」って、何ですか?ミは見出し語のミ!

 学生:「先生、みなしごって、何ですか」
 先生:「だあから、そうじゃなくて、見出し語ですよ」
 学生:「先生、さっきから、みなしごって、言ってますよ」
 先生:「いいえ、見出し語って、言ってます。みなしごハッチじゃありません」
 学生:「先生、それ、日本の古いアニメですよね。先生、好きですよね」
 先生:「なあんだ、知ってるじゃん」

 NHKラジオのまいにちフランス語の清岡先生とレナさんのオープニング・トークみたいですね。

 実は、大学生に図書館について教えていると、「みなしごって何ですか?」ってよく聞かれます。百科事典と辞書の見出し語のことを聞き間違えています。「大学の入って、先生の授業で、丁寧に説明してもらえたので、百科事典や辞書の使い方がわかりました」と講義後の感想があると、複雑な気持ちになります。

 小学校や中学校、高等学校で、百科事典の使い方まで説明されていないかもしれませんが、少なくとも辞書の使い方は、国語や英語で習うはずです。ところが、大学生の多くが使い方を知らないみたいです。もっとも大学生の大半が電子辞書を使っていますし、インターネットに頼りすぎているのです。疑りたくないのですが、小学校や中学校、高等学校で、百科事典や辞書の使い方を教えていないのかなあという気さえします。学校図書館で百科事典や辞書の使い方を教わっていないのでしょうね。色々な学生に接していますが、意外にも、優秀な学生のほうが知らないみたいです。「目次や索引にも目を向けよう」と説明したら、「先生のおかげで、目からうろこが落ちました」と言われたとき、思わずのけぞりました。



 立命館小学校の校長・深谷圭助氏の著書ですが、辞書や百科事典、図鑑の使い方を実践的を解説していて、役に立ちそうな本だなと思いました。図解が豊富です。できれば、カラー刷か、多色刷だと、もっとわかりやすかったですね。難を言えば、校長先生だからこそでしょうが、教育に対する持論の部分がちょっと長すぎたかな。そこをぐっと抑えて書かれていれば、読者に伝わるものが多かったと思います。それから、出版社が小学館なので、小学館の辞書や百科事典、図鑑の例示が多く、自社の宣伝になっていることです。ですが、小学館の出版物だけを紹介しているわけではなく、辞書の比較では、他社の辞書の特徴をかなり客観的に評価しています。宣伝になりすぎてはいません。
 他にも類書がありますので、比較してから、購入するとよいでしょう。学校図書館における学習指導の参考になります。

 ところで、図書館情報大学の、ある先生が歌っていた歌ですが、「ドレミの歌」の替え歌で

  ドは、ドキュメンテーションのド
  レは、レファレンスのレ
  ミは、見出し語のミ
  ファは、ファセットのファ
  ソは、相関索引のソ
  ラは、ランガナタンのラ
  シは、シソーラスのシ

 という「図書館情報学の歌」というのがありました。

 学生諸君、見出し語のミですよ!

Posted by falcon at 22:14:28 | from category: Main | TrackBacks
Comments

地理:

質問です。
このページにある「深谷式…」の画像は,著作権者から使用許可をもらわれたのでしょうか?

日本複写権センターに2回ほど著作権についてのメールを送り,丁寧な回答をいただきましたが,まだスッキリしません。
HPや学校で配布している図書館だよりには表紙の画像は載せるのに許可が必ず必要なのか。
(May 18, 2010 19:49:53)

falcon:

この記事の画像は、アマゾンのアフィリエイトのものです。アマゾンで著作権者に許諾および著作権料などの支払いに応じているものでしょう。私は処理をしていません。

次のサイトは参照されましたか?
「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」(2007年4月2日改訂版)
図書だよりに掲載する場合と、HPに掲載される場合とで異なります。HPに無断で掲載すると、公衆送信権の侵害になります。表紙の著作者はイラストレーターと装丁者になります。場合によっては出版社が著作権者という場合があります。装丁者が著作者でも、窓口は出版社ですので、許諾が必要か確認をします。
ちなみに書名、つまりタイトルには著作権はありません。書名に著作権があると、宣伝するたびに著作権料を支払い、許諾を必要とすることになり、著作物を売りにくくなり、著作権料が著作者のもとに入らなくなります。
著作権の問題は、許諾をとるか、とらないかで考えると解りにくなります。著作者および著作権者が、著作権料を得られるか、どうか、別の言い方をすれば、著作者および著作権者が不利益を被るか、どうかで判断すれば、わかりやすくなります。著作者人格権も精神的な利益、社会的な声望を損なうことが無い権利ですから、具体的な「お金」でないにしても、利益につながる問題と考えれば、公表権・氏名表示権・同一性保持権について理解が深まると思います。
(May 18, 2010 20:25:06)

地理:

回答ありがとうございます。

多くのHPやブログでは,このしくみが利用されているということなのでしょうね。

>著作者および著作権者が、著作権料を得られるか、どうか、別の言い方をすれば、著作者および著作権者が不利益を被るか、どうかで判断すれば、わかりやすくなります。
…そう考えると,図書館だよりに本のタイトル・表紙・出版社名を掲載した場合,出版社や著作者に不利益は生じず,発行した学校図書館にも利益は発生しないのではないかと思うのですが,著作権法では禁止されているのですよね。
やはり今ひとつよくわかりません。
「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」は拝見しました。
(May 20, 2010 21:22:24)

falcon:

「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」を読まれたのであれば、本文の3ページ目の「B1.表紙のみの使用(ホームページ、ブックリスト等)の部分を読みましたか。(紙の)図書館だよりにタイトル・著者など・出版者とともに表紙を載せる場合は、慣行上、無許諾でできます。HPの場合は公衆送信権を侵害するので、許諾が必要な場合があります。
読んで、判断していただけると思って、前回の書き込みでは、あえて解釈を加えないで直截的なコメントをしませんでした。
アマゾンのアフィリエイトは、宣伝になり、しかも販売を促進していますから、著作権料を奪っていることになりません。
(May 20, 2010 22:07:20)

地理:

何度もすみません。
本文中に「図書館だより」という文言はなく,「ブックリスト,図書館内のお知らせ,書評等」としかなかったので,だめなのかと思っていました。
また,「図書館内のお知らせ」とは,図書館内での掲示によるお知らせのことかと思いました。
もし,慣行上認められるのであれば,図書館だよりに堂々と表紙を載せて,生徒や保護者に本をPRできますね。
(May 20, 2010 23:24:40)

さくら:

Falcon様
久々にブログを読みに参りました。
「小学校や中学校、高等学校で、百科事典や辞書の使い方を教えていないのかなあ」のお話に関してです。
辞書の使い方を教わった記憶がありますが、百科事典の方の記憶がありません。教わったからといってすぐに辞書は引けるようにならず、かなりの日数を要しました。
あと、目次や索引が使えるって話は高校までに聞いた記憶がありません。
個人差はありますが、現在30代のさくらの場合はってことでコメント致しました。
(May 30, 2010 22:04:44)
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