November 06, 2010

答よりも過程(プロセス)が大切!

 昨日は受講生のどぎつい意見に心がいたぶられて、気持ちの整理がつかなかったが、演習課題をするときに、「答よりもプロセスが大切」と説明している。ところが、何故か、答を知りたがる。以前、司書教諭講習で、現職の先生たちを教える機会があったが、現職の先生でも演習課題を見せると、ただちに答を教えろと言ってくる。インターネットを使った情報検索なんて、新しい情報が次から次へと出てくるし、膨大な数の情報の中で講師の知らない情報だってある。その中で解答例を示しても意味が無い。学校の先生がすべてというわけではないが、すぐ答えに飛びつこうとするのは、変だ。答よりも考え方が大切と教えていないのだろうか。

 Falconは大学へ入るのに「浪人」した。今、「浪人」という言葉をほとんど聞かない。大学へ入るのが楽になったからだ。入学試験以外の面接・AO入試などで入学する学生が半数を超える大学すらある。大学当局は多様な学生を集めると言っているが、レベルの低下は免れない。さらにレベルの低い学生のケア、世話に恐ろしいくらいに時間を奪われる。入学試験で80%くらいは入学させないと正常な大学の授業ができないのではないか?

 横道にそれた。言おうとしていたのは、Falconが教わった予備校の先生たちだが、練習問題・入学試験の過去問題を教えるときに、答を即座に言うのでなく、考えるプロセスを教えてくれた。正直、国語の長文読解のプロセスは予備校で理解できた。文章のどこを読んで、何を理解すれば良いかが予備校の授業でわかった。予備校の先生は、答えだけ教えて、考え方を教えないのかと思っていたら、しっかり考え方を教えてくれた。今でも忘れられないのが、世界史の先生だ。高校の世界史の先生も強烈だったが、予備校の世界史の先生の授業は驚くほど緻密で、毎回テープに録音して、書き取ったノートを補った。そのときのノートは10冊にもおよび、今でも世界史を振り返るとき参考にしている。その先生は事項をただ羅列的に教えるのではなく、そうした事件や出来事が何故起こったのかという理由を説明してくれた。今から思えば、専門的な知識とは言えないが、かなり中身の濃い授業であった。

 演習課題に取り組むとき、とにかく受講生にやらせてみるという心構えで臨んでいる。Falconは水泳を筑波に住んでいるとき、筑波大学の先生に習ったことがある。水泳に限らず、スポーツは何でもそうなんだけれども、泳がなければ身につかない。いくら手本を見せてもらっても、自分でやってみなければ身につかない。
 だから、とにかく自分でやってみないと、話を聞いただけでは身につかないと思う。
 と言うと、スポーツと情報検索の技術は違うという人がいるだろう。経験があるのだが、答を教えてしまったために、演習をしないでわかったつもりになった人がいた。試験は当然のことながら最悪の状態で、応用が全く効かない答案だった。自分で考えて、やってみないとコツがつかめない。

 いずれにしても、書き込みをされたFalconの心は傷つくが、書いた本人たちは深く考えずに、その場の鬱憤を晴らして、清清していることだろう。こっちも、その場限りのことと忘れることにしよう。

10:18:50 | falcon | comments(0) | TrackBacks

中国に蟻族あり、日本に図書館蟻族あり

 以前ブログで、中国の蟻族についてのテレビ番組の話を取り上げた。早く日本でも翻訳が出ると良いなあと思っていたら、勉誠出版から出版されて話題になっている。



 北京オリンピック、上海万国博覧会と国際的なイベントを開催して、急成長を遂げている中華人民共和国。その繁栄の陰で、大学を卒業しても、就職できない若年層が急増中である。若者を中心とした反日デモは、鬱積した不満を中国本国へ向けるのを避けるために、日本への憎悪の念を焚きつけているとも言われている。

 「それじゃ、お門違いじゃない。日本への八当たりでしょ」

 中国では2000年以降、大学の設立が相次ぎ、大学卒業生が急増して、エリートたちが働く場所が無くなってしまった。そのため、低賃金で、狭い長屋のようなところで、アリのような集団生活を送るようになってしまった若者たちを蟻族と名付けている。

 尖閣諸島の問題も、蟻族の倒錯した不満解消に使われているとも言われている。本当は中国の政府当局に不満をぶつけたいのだけれども、中国政府の巧みな情報工作、ある意味、思想コントロールで、反日感情にすり替えられるというわけだ。

 たとえて言うなら、政府や大学に不満をぶつけたいが、気弱で、手近な相手としてFalconを学生が授業アンケートで苛めるようなものだ。

 ところで図書館司書資格を取得しても、思うように資格を生かして就職することは、大袈裟にいえば、ラクダを針の穴に通すようなことだ。図書館で働けたとしても、正職員の働き口はほとんどなく、非常勤、派遣、嘱託などの、低賃金で働く非正規職員になるほかない。まさに図書館蟻族と言えよう。

 「図書館アリ族?なんか、意味ありげねえ〜、また喧嘩でも売るつもり?」

 えっ、滅相もございません。他意はまったくアリませんから、お許しを。

01:27:35 | falcon | comments(0) | TrackBacks