April 30, 2010

図書館法制定60周年

 そういえば、今日は図書館法制定60周年の図書館記念日でした。
 昭和25年(1950年)4月30日、社会教育法のもとにおける図書館法が制定されて、60周年になります。

 図書館法は公共図書館(公立図書館と私立図書館)の法律です。国立国会図書館には国立国会図書館法があり、学校図書館には学校図書館法がありますが、大学図書館は大学設置基準、大学図書館基準などで規定されていて、専門図書館には法律がありません。また、幼稚園・保育園の読書施設・図書室があっても、学校図書館に含まれず、高等専門学校の図書館は、高等教育の図書館として、学校図書館には含まれません。

 今年は電子書籍の話題で盛り上がり、紙の図書を主に扱う図書館の存在が危うくなっています。これから、将来、図書館が生き残ってゆけるのか、難しくなってきました。
 思えば、PFI、指定管理者制度、非正規職員問題以上に、図書館の存在が脅かされています。図書館「蟻族」問題よりも、図書・雑誌・新聞等の紙媒体そのものが存続の危機にあります。
 それでも、図書館という場は大切にしてゆきたいですね。

18:39:02 | falcon | comments(0) | TrackBacks

矛盾の矛盾、あれかこれか

 スペインのコルドバで活躍したイスラムの学者・哲学者イブン・ルシュド(アヴェロエス)の著作に『矛盾の矛盾』という著作がある。ここで哲学について語ろうというのではない。

 東京学芸大学が「学校司書入門講座」を、この秋から開設するそうだ。

 東京学芸大学は司書教諭講習を始め、これまで司書教諭の養成に関しては全国の中心となってきた大学であり、まさに要とも言うべき大学である。
 ある意味、画期的な企画であるが、学校図書館法に規定されていない学校司書を公認するかのような印象を与える講座が開設されることに「矛盾の矛盾」を感じさせる。

 デンマークの哲学者・キェルケゴールの著作に『あれか、これか』があるが、まさに「司書教諭か、学校司書か」である。

11:17:20 | falcon | comments(0) | TrackBacks

馳氏の行動をどうみるか

 う〜〜、学校図書館と司書教諭をめぐって、さまざまな状況が生まれてきた。ブログで書きたいことが山積みだが、鬱積した思いのため整理がつかない。そんな状態で書きこむと、誹謗中傷と受け取られかねない表現になりそうなので、もうすこし気持ちの整理をしてから、書き込むとしよう。

 ちょっとだけ書くとすれば、今年2月に自由民主党・改革クラブの馳浩氏が「専門・専任・常勤の学校司書」を置くことについての意見書を提出し、鳩山首相からの答弁書で「法制化することは無理」とされたことが気にかかっている。
 馳浩氏は元・高校の国語の先生で、プロレスラーで、タレントの高見恭子さん(作家・高見順の娘)の夫である。平成9年の学校図書館法改正の時の参議院文教委員会(このときは馳氏は参議院議員)で、馳氏は司書教諭の配置について、文部省の政務委員であった辻村哲夫氏と文部大臣の小杉隆氏に答弁を求めた。この文教委員会では、江本孟紀氏は実に的外れな発言をしている。それに対して、馳氏は高校の国語教師だった経験からか、司書教諭の配置に積極的な意見を述べている。
 だから、馳氏の発言と活動に大いに期待をしていた。
 ところが、今回、馳氏は一転して、学校司書の配置に乗り出した。
 しかし、民主党の鳩山首相は「学校司書の法制化は無理」と一蹴した。民主党はマニフェストに司書教諭の配置を謳っているから当然の結果だ。
 馳氏のパフォーマンス(政治行動)を、鳩山首相から司書教諭の配置へ向けての答弁を引き出すためとみるべきなのか、それとも、本気で学校司書の法制化を試みようとしたのか、判断に苦しむ。馳氏は周囲の意見に賛同しやすい人らしいので、日本高等学校教職員組合に働きかけられて、学校司書の法制化に本気で取り組もうとしたのであろう。まさか、馳氏は司書教諭と学校司書の区別がつかないわけではないだろう。

 もし、仕分けの対象に司書教諭講習がなったらと思うと、実に予断を許さない状況になっている。なにしろ、あの藤原和博氏は「学校図書館は本好きのオバサンに任せておけばよい」と今年1月の読売新聞の記事に書いている。
 これ以上、恐ろしい事態を想像したくない。書けば、事態の悪化を示唆することになる。
 現政権に正統な判断を望みたい。Falconは沖縄にいたので、普天間基地返還問題の行方にも関心があるが、学校図書館に関しても、正統な判断を期待する。

00:31:01 | falcon | comments(0) | TrackBacks

April 29, 2010

御質問に答えて

 学校・学校図書館の著作権に関しては、次の文献が参考になると思います。

・『学校図書館の著作権問題Q&A』 日本図書館協会著作権委員会 2006
・『必携!教師のための学校著作権マニュアル』 清水康敬監修 中村司[ほか]編著 教育出版 2006
・『先生のための著作権入門の入門』 尾崎茂編著 学事出版 2006
・『ガイドブック教育現場の著作権』 本橋光一郎監修 小川昌宏,下田俊夫著 法学書院 2006
・『図書館サービスと著作権』 改訂第3版 日本図書館協会著作権委員会 2007
・『知的財産権の知識』 寒河江孝允著 第2版 日本経済新聞社 2007(日経文庫;893)

 著作権法は頻繁に改正されていますので、実は上記の文献も古くなっています。上記の文献で基礎的な理解を深めたら、信頼のおけるインターネットの情報と、知的財産権法令集、判例集などを調査して、最新の情報を集めて、理解を深める必要があります。


22:24:45 | falcon | comments(1) | TrackBacks

専門家と非専門家を隔てる深い河

 4月28日のTBS『NEWS23』で、東京学芸大学で行われた校長塾(?)という研修活動について特集されていました。全国から、意欲のある校長、副校長、教頭が40名くらい(?)集まり、泊りがけの研修が行われたようです。文部科学副大臣の鈴木寛氏、民間出身の校長として注目を集めた杉並区立和田中学校・元校長の藤原和博氏、児童文学研究家の赤木かん子氏が校長先生たちを相手に、学校教育の問題点を次々に取り上げていました。また、演出家の平田オリザ氏がファシリテイトするワークショップで楽しそうに体を動かす校長先生たちの姿を垣間見ました。

 たしかに、硬直化した学校制度を打ち壊して、新たな視点を得るという試みとしては評価したいと思います。元・民間校長の藤原氏は、NHK『週刊子どもニュース』を超えるような社会科の授業ができるかと校長先生たちに問いかけ、それを実現するためには学校の先生以外の人を取り込み、授業を活性化する必要があると訴えていました。

 赤木かん子さんの学校図書館への独自の視点を全面的に否定するつもりはありません。学校図書館について十分な知識を持った校長先生だったら、「かん子さんの考えも興味深いよね」と一歩引いて考えられるでしょう。
 しかしながら、何でもかんでも、「非専門家の考えが客観的だから、優れた考えだ」と思いこまれても困ります。その点では、藤原氏の異様なカリスマ性に危険性を感じます。学校図書館に関しては専門家がいるわけですから、その専門家が解説したうえで、非専門家が意見を述べるべきだと思います。
 本当に困ったことに、公立図書館に関しても、学校図書館に関しても、専門家を蔑(ないがし)ろにして、「熱心に勉強をしている」取り巻きが目立っています。

 やはり、専門家は立ち上がり、信念を持って、正しい道へ導いていかなければなりません。

22:18:59 | falcon | comments(0) | TrackBacks