July 01, 2009
BD(バンド・デシネ)の世界へ
もう昨日のことだけれども、2009年6月30日(火)、早稲田大学文学学術院戸山キャンパスで開催されたシンポジウムに参加した。フランス語・フランス文学コース主催シンポジウム
「BDとは何か?」
「フランス人にとっての「ドラえもん」?――愛され続けるキャラクターたち――」
中島 万紀子氏(早稲田大学非常勤講師)
「文学 / BD / 美術」
古永 真一氏(早稲田大学非常勤講師)
「1990年以降のフランスのマンガ――フランスにおける発展と日本での受容――」
原 正人氏(バンド・デシネ研究)
BDとは、フランス語圏のマンガ、 バンド・デシネ (bande dessinee) の略称。 本シンポジウムは、おもに学部生を対象に フランス語圏のマンガの世界を紹介する。
夕方5時から始まって、8時を回ったころに終わった。ぜんぜん長く感じなかった。もっと話してほしいと切に望んだくらいだ。
どんよりとした梅雨空のもと、早稲田大学講師の中島氏と古永氏、研究家の原正人氏のはじけたトークに、アンニュイな気分が一気に吹き飛んだ。普段、「フランスのBDに興味があるんだ」と話しても、誰も振り返ってもらえない。おそらく、お三方も同じような思いをしていたのではないか。
中島氏は、ベルギーのBD作家エルジェの『タンタン』を始め、フランスで愛されているBDのキャラクターを紹介した。
古永氏は芸術性の高いBDを紹介した。また、日本で講談社から刊行されている青年漫画雑誌『モーニング』で、1980年代にフランスのBD作家の作品を取り上げていたことを指摘した。『モーニング』で活躍したBD作家の中には、後にフランスでビッグ・ネームになった作家も少なくないという。
原氏は、日本で『大発作』が翻訳されたダヴィッド・Bをはじめとする自己の内面性や自分史を描く作家に注目して、BD作家の作品を紹介した。
三人三様にBDを紹介していたけれども、BDのジャンルには芸術性の高い作品から、大衆受けのする作品、成人(←成人映画のように「エロティックな」という意味ではなく、単に「大人」という意味)向け、青年向け、子供向けとさまざまある。三人の関心の高い作品を選んだ感がある。どちらかというと、日本のような少女向けとか、レディース向けというのは少ない。
実は、原正人さんのご厚意で、ヨーロッパのマンガを紹介した『EUROMANGA』第1巻を参加者全員、無料で頂いた。
このブログでも以前紹介したニコラ・ド・クレシーの『天空のビバンドム(ビバンダム)』の一部が翻訳されている。人間になりたかったアザラシの物語だ。このブログでは、多摩川にいたアザラシのタマちゃんみたいだよねと紹介した。
そのほか、中島氏と古永氏の論文が掲載された学術雑誌(紀要)もいただいた。というわけで、BDファンには結構オイシイ・シンポジウムであった。
なお、『EUROMANGA』第2巻も既刊で、今年には第3巻も予定されているという。大いに期待したい。
古永真一氏が翻訳した『船が顔になるとき』も紹介されていた。
これは未読なので、受け売りになるけれども、コミック・マンガ・BDなどの《顔》の図像学で、欧米のコミックの学術的な研究書らしい。
ちなみに原正人氏が関わっているBD研究会のブログはこちら。他にもブログがあるようだが、さっき見たら、かなり荒らされていた。
毎日つまらないことを考えて、うじうじしていたが、一気にさっぱり。明日の講義からは、すっきりとできそうだ。
00:31:45 |
falcon |
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