February 18, 2008

どちらが平和か

 イスラエルの話を聞いて、いろいろと行ったときのことを思い出した。
 イスラエルと日本とどちらが平和だろうか、と思う。
 今、日本国民にこの質問をしたら、「絶対、日本の方が平和だ!」と言うに決まっている。100%とは言わないが、大多数の日本人が「イスラエルの方が危険だ」と思うだろう。
 では、どれだけの人が実際のイスラエルに行ったのだろうか。ほとんどの日本人はイスラエルに行ったことがないと思う。情報だけで、「イスラエルは危険」と思っている。
 Falconの短い滞在の印象だけだが、イスラエルの方が平和に感じられた。始終、爆弾騒ぎがあるので、社会が安全を守ろうという姿勢にみなぎっている。
 その一方、日本は「平和だ」と思い込んでいる人が多くて、安全を守る気力がない。
 チュニジアへ3回行ったが、初めてチュニジアへ行ったとき、ちょうど阪神大震災、地下鉄サリン事件が起きた後だったので、何人か会った青年たちに「日本は怖い、危険な国だ」と言われた。「お前は大丈夫なのか?」と言われた。
 考えてみると、日本は天災が多い。地震、台風、大雨……チュニジア、イスラエルにはまったくないと言わないが、ほとんどない。日本では、人間が防ぎたくても防ぎようのない天災に年がら年中、悩まされ、不幸にも命を失い、傷つき、やり場のない怒りと悲しみを抱いて生きている人が多い。
 一方、日本人からすると、テロ事件やイスラムの過激派が潜むと欧米諸国の疑惑と敵意に曝されている国々の方が、危険じゃないか?!と思ってしまう。
 ところが、チュニジアの青年たちは「人間が起こす災害は防ごうとすれば、なんとか防げる。天災は防げないし、被害は甚大になる」と、口々に言う。確かにそうだ。被害者個人の問題にしてみれば、癒されない思いのほうが重大で、被害を受けた人の数で比べてほしくないと思う。しかしながら、比較をすれば、天災が引き起こす被害の方が大きい。
 今の日本は「平和ボケ」とよく言われる。ただ、この場合の「平和ボケ」は戦争を美化している人たちが言っている。戦争になれば緊張した、張りのある世の中になると倒錯した想像をめぐらす人たちだ。じゃあ、実際にイラクへ行って、テロリストと戦って来いよ!と言い返したくなる。
 しかしながら、「安全」という言葉に安心しきって、自分の身を守ろうと考えない点で、「ボケ」ていると言われたら、そのとおりだろう。突然、危険な状況に遭遇すると、「キレテ」しまい、責任の所在探しになる。もちろん、危険な状況をつくった人たちの責任は重い。でも、常日頃から、「安全でない、平和でない」と警戒をすることも必要で、そのために情報を吟味して、活用しなければならないと思う。
 小説にしても、Blogにしても、「かならず誰かが共感してくれる」と思い込むよりも、「きっと批判してくれるなあ」と思っていた方が、一歩前進できると思う。これは蛇足。

13:34:56 | falcon | comments(0) | TrackBacks