March 05, 2008

海辺のカフカから源氏物語へ

 『海辺のカフカ』は不思議な小説で、上巻を読んだ後、運転手のハギタさんが言っていた「関連性」が周りのものから見つかます。
 たとえば、舞台の高松から程近い女木島には鬼が島伝説と書いたら、古新聞から芥川龍之介の『桃太郎』が発見できました。直接には関係ないと思いますが、芥川が描く桃太郎と鬼が島は「戦争」を連想させて、『海辺のカフカ』のナカタさんの少年時代のエピソードとつながる気がします。

 そんななか、『海辺のカフカ』と同時に借りた森谷明子著『千年の黙 異本源氏物語』(東京創元社)が、まだ読み終わりません。読みにくい文体ではないのですけれども、いまどき珍しい1ページが上下2段に組まれて、字が小さく、そして話が長いのです。
 作者の森谷さんは、以前紹介した『れんげ野原のまんなかで』の作者で、知り合いに聞いたら、公立図書館の司書の勤務経験があるそうです。道理でね。
 紫式部(御主)と仕えている女童のあてきが、都を騒がす難事件に挑むミステリー仕立ての小説です。
 なんと、第1部『上にさぶらふ御猫』では、帝が愛玩していた猫の「命婦」が失踪、左大臣道長の娘・彰子がかわいがっていた猫も行方不明になり、都では噂が広まる。また、紫式部のもとには謎の手紙が届けられて、、、
 猫が登場して、猫探しに主人公たちが翻弄させられるのは、『海辺のカフカ』とよく似ています。『海辺のカフカ』では司書の大島さんが源氏物語にも言及しています。ということで、たまたま、借りた2冊の本が関連しあい、呼応しあっています。不思議ですよね。

 ところで、『海辺のカフカ』では、そこまで言及していないのですが、源氏物語は「猫」の夢は妊娠を暗示していると言います。明確に言い切れる説ではありませんが、少なくとも柏木と女三の宮の話(若菜上・下巻)では、猫が二人を結びつけるきっかけになるし、柏木は猫を女三の宮に見立てるエピソードも出てくる。
 『海辺のカフカ』で、犬じゃなくて、なぜ猫なのかという疑問の答えは、源氏物語にありそうです。主人公の少年が、自分を捨てた母親への思慕から、図書館の館長・佐伯さんに母の面影を求めて契るのは、源氏と藤壺女御の物語に繋がります。

 不思議に繋がる物語です。

 全く関係ないのですが、自宅で主に使っているパソコンが不具合になりました。もう9年使っているから、惜しくはないのですが、愛着があり、直そうと思い立って、近くの修理専門家にお願いして直してもらいました。内蔵のリチウム電池が消耗して、画面に表示される時刻が2099年1月1日にリセットされるのです。表示はともかく、メールの送受信やファイルの格納の日付などが正確な時刻でなくなります。
 もうメーカーでの修理受付は終わっていますし、買い替えの時期にとっくになっているので、迂闊に相談できません。
 問題は内蔵の電池で、コンビニなどで売っているボタン状のリチウム電池を装着すればできるらしいし、チョッと経験があれば、素人でも修理できるものらしい。よっぽど自分で直そうかなと思いましたが、パソコン修理の専門家にお願いして、半日で修理してもらいました。
 修理を終えて、家に戻って、いざプリンターやメモリーを使おうと思ったら、BIOSの設定をするのを忘れていたため、USBが使えなくなって、夕方からズーと設定に苦労しました。
 内蔵のリチウム電池(CMOS Battery)は消耗するので、古いパソコンを使っている人は気をつけましょう。
 我がパソコンは長寿です。

02:23:53 | falcon | comments(0) | TrackBacks