November 29, 2005

同じ作家でも分類が違う!

日本十進分類法の9類文学の各文学作品の分類は,
9(文学)に続けて,原著の言語の言語区分,
文学共通区分を組み合わせます。91日本文学などでは,
さらに和歌短歌,俳句などの文学形式,文学史上の時代区分で
細区分して展開します。

作家によっては,複数の言語で原著の作品を
書いている作家がいます。
たとえば,カレン・ブリクセン,またの名を
アイザック(イサク)・ディネーセンというデンマークの作家です。
女性作家で,本名のカレン・ブリクセンではデンマーク語で書いて,
男性名であるアイザック・ディネーセンでは主に英語で書いています。
著名な作品の一つ『アフリカの日々』(『アフリカ農場』)
原題Out of Africaは,
メリル・ストリープとロバート・レッドフォード主演で映画化されて,
日本では『愛と哀しみの果て』というタイトルで公開されました。
そういえば,あの頃『愛と青春の旅立ち』『愛と追憶の日々』と
「愛と」で始まるタイトルが多かった。

なので,原著によって,デンマーク文学の小説の949.73にもなり,
英語の小説の933にもなります。



 チェコの作家ミラン・クンデラは,
(当時のチェコスロバキアから亡命して)
フランスの大学教授になりました。
なので,初期の作品は母語のチェコ語で書いていますが,
フランスへ移住後は,フランス語でも作品を発表しています。
代表作『存在の耐えられない軽さ』は
ダニエル・ディ・ルイス,ジェリエット・ビノッシュ主演で
映画化されました。この映画は文芸大作の渋い内容でした。
というわけで,チェコ語の小説は989.53となり,
フランス語の小説は953となります。

(Falconは,『存在の耐えられない軽さ』の舞台となった
プラハに行ったことがある。まだ,治安が良くなかった頃だった。
でも,本当に美しかった。町の中心をモルダウ川,現地語では
ブルダヴァ川が流れて,交響曲『我が祖国』を作曲した
スメタナの像が川面を見つめいている。モーツアルトも愛した
「百塔の町」。『変身』を書いたカフカが彷徨った町なのだ。)

 図書館の分類は,「逐条解説で,砂をかむようだ」と
初めて学ぶ人から嫌われています。私の知っているある人ですが,
「講習で学んだけれど,面倒で,思い出したくない」と
公言しています。
 でも,幅広く,分野を選ばず,学び,読書をしている人には,
これほど面白い科目はありません。
 分野にこだわることなく,楽しく読書を続けたいですね。
Posted by falcon at 00:34:48 | from category: Main | TrackBacks
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