March 29, 2015
パリ雑言2スリにご用心
実はパリで小銭入れをスラれそうになった。今まで一度もパリで災難にあったことはなかった。アラブ人たちがたむろするバルベス通りを歩いても、その北のアフリカ人街を歩いても、ベルヴィルにいっても、深夜に地下鉄に乗っても、一度も危ない目にあったことがなかった。
今回だけはスーツケースを引いて、ダンフェールロシュロ駅でRERのB線からメトロ4号線へ改札を通り向けようとした時だった。白人の少年2人組がほかにも空いている改札があるのにわざわざ近づいてきて、その一人がFalconのズボンのポケットに手を突っ込んできた。小銭入れを取ろうとしている。
Noooon! Allez-y!
と叫んだら、立ち去って行った。
さすがに小銭入れとレシートの束を盗む気にはならなかったのだろう。スリ撃退!
一度、フィンランドのヘルシンキの路面電車に乗り込もうとしたときに財布をスラれそうになったことがあるので、すぐ気が付いた。あの時も撃退した。
おかげで怖いものなし。ニュートンが少年時代、いじめっ子の額を教会の壁にこすりつけたことで、自信をつけて、冴えなかった学校の成績が伸びたという(藤原正彦著『天才の栄光と挫折:数学者列伝』)。
そういえばフランス語が、このあたりから口をついて出てくるようになった。
ところで日本でも公開されている映画『イミテーション・ゲーム』、フランスへ来る機内の映画で観た。第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読したアラン・チューリングの伝記だよね。藤原先生の本にもチューリングの話が出てくる。映画の中でも《初恋》のエピソードが描かれている。
「初恋って、、、」
結核で死んだ少年のこと。
「えええ、少年!」
そう、チューリングも虐められっ子で、助けてくれた学友に恋したの。
「でもさ、英国では同性愛はつい最近まで犯罪だったんだよね」
うん、《幸福な王子》を書いたオスカー・ワイルドも逮捕されたしね。《アナ・カン》も《モーリス》もそれが背景だったしさ。
「え、《アナ・カン》?嵐寛寿郎のこと?」
それは「あらかん」、腐女子の間で伝説的な映画の《アナザー・カントリー》のことよ。あら、パリのスリの話がアナザー・カントリーの話にすり替わったっだけ?
「スリからすり替わるなんて、相変わらず、ダジャレ好きね」
パリでは旅行者だってわかる格好で歩いちゃダメってことよ。
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