July 21, 2012

砂川一騎が観たあ〜!映画『図書館戦争:革命のつばさ』

 東京地方は梅雨明けしたのに、春のような寒さです。

 久しぶりです。リアル砂川一騎です。

 『図書館戦争:革命のつばさ』を新宿の映画館で観てきました。

 デジタル映像だそうで、フィルムで映写していないのですね。映画も電子化の時代になったんですね。
 Falconは叔母と義理の叔父(叔母の夫)が映画会社で働いていたので、大学時代、招待券や試写会の券をもらって、多いときは週に5本は映画を見たことがあります。叔母たちからもらった招待券以外にも、当時、各地にあった名画座や2番館、3番館(ロードショー館で上映したフィルムを補修して、上映する映画館で、映像が傷んでいたり、ホコリがちらついたりする)でも観ていました。こんなアナログな時代から見ると、隔世の感があります。

 テレビアニメの時よりも映像がきれいで、描かれる街の情景が美しく、それだけでも観る価値があります。

 ああ、根本的に戦闘シーンは受け入れられません。

 実は、戦争映画を結構、見ています。トム君が出演した『トップ・ガン』も嫌いではありません。観ている間は、興奮して、ストーリーにどっぷりハマってしまうのですが、しばらくたつと燃料がもったいないなあと思ってしまうのです。戦争映画で映像美と哲学性では『地獄の黙示録』も忘れられません。もっとも、この作品、コンラッドの『闇の奥』という文学作品が原作なんですけど。『愛と青春の旅だち(An officer and a gentleman)』も良かったなあ。主演のリチャード・ギア(あのとき、ギアは若かった。先代の貴乃花=貴乃花親方のお父さんにそっくりだった。今は、オレンジーナのCMで、フランス版寅さんだもんね)とヒロインのデブラ・ウィンガーもカッコよかったけど、黒人の鬼教官を演じたルイス・ゴセット・ジュニアが素晴らしかった。『フルメタル・ジャケット』とかさあ、

 いけねえ、戦争映画の評論じゃなかった。

 でえ、ちょっと待った!

 「あらあら、ひげジイ、『ダーウィンが来た』だけの登場じゃなかったんですね」

 違うってば、『図書館雑誌』で使ったセリフなんですけど。

 いくつか、気になった点があります。

 稲嶺氏の家で、作家の当麻氏が『日野の悪夢』という本(ハードカバー)を棚から取り出すシーンで、背(背表紙)の上に指をひっかけて取り出します。あれはマズイ!本の背(背表紙)が痛みます。本を取り出すときには、取り出したい本の背(背表紙)の中ほど、両側の本と本の隙間に指をすべり込ませて、ハードカバーなら溝を指先ではさんで取り出すのが正式な本の取り出し方です。また、稲嶺氏の書棚がギッチリ詰まっているのも問題です。日野で図書館職員をしていた稲嶺氏なのに本の扱い方がわかっていない。

 それから、当麻氏を笠原たちが引きつれて、稲嶺宅から車で逃げ出すシーンで、関東図書隊の基地へ向かうとき、立川へ行きます。そのとき「反対(方向)」と言うのですが、多摩地域に土地鑑のある人ならば、変に思うはずです。稲嶺宅は日野にあり、そこから関東図書隊の基地がある武蔵境へ行くには、立川を通ります。立川には自衛隊の基地があり、ヘリコプターを使って、良化隊を振り切るのです。西から東へ、日野、立川、武蔵境ですから、なぜ「反対(方向)」というのか、わかりません。「間違い」と断言すると、「一刀両断レビュー」の再現ですので、謎としておきましょう。

 作家の当麻氏が最高裁判所で判決を受けて、亡命のため、各国の大使館へ向かうのですが、そのとき、なぜ、最高裁判所のすぐ近くの国立国会図書館へ逃げ込まないのか、これは作品を読んでいたときからの疑問です。それに、最高裁判所にも図書館がありますが、国立国会図書館の支部図書館です。国立国会図書館は、良化隊に占拠されているのか、図書隊と国立国会図書館はどのような関係なのか、作品にはあまり詳しく書いていなかったと思います。最高裁判所と英国大使館は、目と鼻の先なのに、なぜ地下鉄半蔵門線を使う設定になるのか。アメリカ合衆国大使館は虎ノ門・溜池方面ですけど、近いといえば近いけど、英国大使館とは方向が違う。半蔵門線、都営新宿線を使うのは、新宿三丁目駅から紀伊國屋書店本店へ行くための伏線なのか。これらも謎としておきましょう。

 最後に、なによりも、東日本大震災と福島原子力発電所の事故があった後に、「原発テロ」を話題に取り上げた映画を上映したのは、勇気ある決断だったと思います。場合によっては、被災者や県外移住している人たちの気持ちを逆なでしている気もします。できれば、最後のクレジットに被災者への配慮ある一言があれば、本当に素晴らしいと思いました。

 ダメ押しです。原作には無いことですが、砂川一騎が手塚の兄の手先になって、汚名回復してくれたら、面白かったと思います。

 映画館でグッツ買いました。

 「えっ、何、買ったの?」

 扇子です。

Posted by falcon at 22:09:50 | from category: Main | TrackBacks
Comments

通りすがり:

テレビドラマ・テレビアニメの映画化なあくまで応援してきたファンへのご褒美・お祭りと割り切って観てます。映画として観ると際限なく矛盾が飛び出し批評することすら野暮に思えてくるのて。
(August 12, 2012 06:20:55)
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