May 18, 2009

図書館の自由と自己愛の世界

 タイトルが奇妙な取り合わせだが、随想なので、論理的におかしいなどと騒ぎ立てずに読んでほしいと思います。

 実は今日、仕事が休みだったので、フランス旅行で壊してしまい、修理に出していたトローリーバッグ(車輪の付いた旅行用のバッグ)を受け取りに浅草へ行った。帰りに東京駅のオアゾ・丸善に立ち寄り、図書館司書が資料の閲覧記録を新聞記者に漏らす場面で問題になった相場秀雄著『奥会津三泣き因習の殺意』(小学館文庫)を捜した。



 日本図書館協会のメルマガに紹介されていたので、出版社によって回収されたか、メルマガを見た人たちが買いあさり、もう店頭に残っていないだろうと半分あきらめながら、文庫の棚を見たら、なんと平置きで、直ちに見つかった。一応、中身を確認したら、問題の個所を発見!まだ重版が出ていないので、訂正されていなかった。

 大書店は本当に目に毒だ。
 もうこれ以上は買わないぞ!と心に決めたものの、『結局、自分のことしか考えない人たち:自己愛人間とどうつきあえばいいのか』(草思社)の帯を見てしまった。



 「気に入らないと激怒し、都合が悪いとウソをつき、人を見下し利用する自己愛人間の本質をついに解明!(←赤い大文字)

 つい手が伸びて、買ってしまった!

 帰りの電車の中で読みふけった。
 自己愛人間の7つの大罪を例示している。
 各節一つ一つ読んでいると、何人かの顔が思い浮かぶ。いる!いる!身近にいる。
 こちらが聞いていないし、全然興味がないのに、「外国語を習っている」とか、「ヨガを習った」とか、話し出す。自分のことばかっり話して、人の話を聞こうとしない。自分が失敗すると、大げさに悲劇のヒーロー・ヒロインを気取って、周囲から憐憫を集めようとする。かと思うと、突然、激怒して、喚き散らす。挙句の果てに相手を必要以上にこき下ろす。
 教育現場、図書館は自己愛人間を吸い寄せる。一般の職場よりも特に多い。
 なぜか、Falconは自己愛人間に好かれるというか、狙われて、付き合わされることが多い。それだけ付け込まれる隙がある。できるだけ近寄らないようにしているが、出くわしたら、避けようがない。
 この本は自己愛人間への対処法が書かれている。ざっと眺めたが、かなり難しそうで、本気に取り組むとなったら、忍耐力を鍛えなければならない。もう少し簡単な対処法がないものだろうか。簡単な対処法があったら、本にするまでもないだろうなあ。
 じっくり読んで、出くわしてしまったら、上手に対処したいと思う。

 「七つの大罪」はキリスト教の教理にあり、西洋絵画のモチーフになっている。
 もっとも著名な作品はスペインの首都マドリードのプラド美術館にあるボス(ボッシュとも呼ばれる)の「七つの大罪」だ。10年くらい前にモロッコを旅して、ジブラルタル海峡を船で渡って、スペインへ行ったとき、立ち寄った。
 中心の黒い円の中にキリストが描かれ、周囲に七つの大罪にまつわるエピソードが描かれる。この絵画を少し離れてみると、人間の目を表していることがわかる。キリストを囲む黒い部分が瞳であり、七つの大罪の部分が白眼になっている。つまり、神は人間の罪を見ていることを表している。

 「七つの大罪」と言えば、映画『セブン』を思い出す。
 ブラッド・ピットとモーガン・フリーマン主演のサイコサスペンス映画だった。キリスト教の七つの大罪にまつわる猟奇連続殺人事件が起きる。犯人を追いつめる刑事をピットとフリーマンが演じる。このとき、図書館の利用記録を使って、犯人を突き止めようとするシーンがある。一応、利用記録を手渡す図書館職員らしき人物が「これは違法行為なんだけど」と断わっていたことが印象的だった。『図書館の自由に関する宣言』で取り上げられるエピソードの一つだ。

Posted by falcon at 21:09:58 | from category: Main | TrackBacks
Comments
No comments yet
:

:

Trackbacks