April 27, 2009

いつまで「欧米化」?

 いまだに「図書館行政にしても、司書の養成課程にしても、欧米は進んでいますよね」と声高に主張する人がいる。でも、本当にそうなのか、裸の王様を公然わいせつ罪で逮捕できないのだろうか。

 日本は明治時代から欧米を見習った近代化を推し進めてきた。「脱亜入欧」をスローガンに「鹿鳴館」で舞踏会をした時代もあった。たしかに、その頃は近代化と言えば、ヨーロッパを手本にするしか、他に術がなかった。
 太平洋戦争に敗戦して、アメリカの統治を受けたときから、日本人はアメリカを崇拝するように躾けられてきたと言ってもよいだろう。日本人は、テレビでアメリカの番組を見て、ハリウッド映画でアメリカの生活に憧れた。倒錯した憧れだが、ヒッピー、ストリート・キング、ドラッグ、ニューヨークで発生した凶悪犯罪すらも、心の隅で魅力を感じていたところがある。実際には、そんなことしたら迷惑だし、反社会的行為として処罰されるのだけれども。

 1970年代までは海外に行く日本人は少なかったから、海外から帰国した人に「アメリカでは、こうでした」「イギリスでは、こうでした」「フランスでは、こうでした」と言われたら、素直に信じて、「やはり欧米は素晴らしいですね」と納得できた。

 だけれども、今は多くの日本人が海外へ出かけるし、わざわざ出かけなくてもインターネットで情報が入手できる。外国語ができれば、生の情報が簡単にキャッチできる。ニュースだって、動画で見られるし。
 今の日本人を「舶来品ですよ」と言って、だませると思い込んでいるほうが甘い考えだ。

 図書館について言えば、単純に「欧米が素晴らしい」とは言えない。
 アメリカ、イギリスは地方格差が激しい。日本の研究者が見てくるのは、素晴らしい活動をしているところだけだ。
 フィンランドは世界で最も公立図書館が利用されている国だが、以前にも書きこんだように、フィンランド語の出版物のマーケットが小さいために図書の価格が高く、そのうえ税金が高いので、公立図書館を使わざるおえない。
 フランスも公立図書館が多く建設されるようになったのは1980年代からで、つい最近まで「公立図書館の後進国」と自認していた。

 学校について言えば、ヨーロッパの国々に比べて、日本の学校は案外と施設が充実している。日本の学校は校庭が広々としている。フランスは、特にパリの中心街は、学校の校庭がせまい。これは比べるのが無理だけど、日本の学校には必ずプールがあるが、ヨーロッパの学校でプールがあるのは多くない。ヨーロッパは温暖とはいえ、日本に比べれば、暑い夏の時期は短いからだ。私立学校は別として、公立学校はあまり施設は充実していない。

 こうして実情を知ると、「欧米を見習おう」と単純に言えない。日本はいつまで「鹿鳴館」、「ギブ・ミー・チョコレート」を言い続けるのだろうか。

 やはり、裸の王様には「公然わいせつ罪だ」と言ってあげよう。

Posted by falcon at 01:19:23 | from category: Main | TrackBacks
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