March 24, 2008

『インターネットの扉』

 昨日も今日もアラブ映画祭2008で、映画を観てきた。
 昨日はチュニジアの映画監督のドキュメンタリーで『VHSカフルーシャ〜アラブのターザンを探して』を見た。チュニジアの中南部の観光都市スーサ(スース)近郊で、塗装工を営むカフルーシャ監督が『ターザンを探して』というビデオ映画を製作する過程を撮影している。どこまでが演技なのか、よくわからないが、妙な面白味、おかしみを醸し出している。チュニジアの町並みが懐かしかった。
 スーサ(スース)は、チュニジア第二の規模の町(最近はスファックスのほうが栄えているかもしれない)で、初めてチュニジアへ行ったとき、立寄った。あまり目立った遺跡はないが、観光客が多い町だ。
 今日見たのは、アルジェリア映画『インターネットの扉』。あまり期待しないで見ていたのだが、面白かった。首都アルジェに住む兄弟が主人公で、弟がインターネットのチャットで知り合ったフランスの女性が一週間だけ訪ねてくるところから物語が始まる。彼女を出迎える資金を用意するために、兄弟は地元の闇の組織からお金を調達するのだが、その条件が「闘羊」で負けること。兄が飼っている雄羊(これがジャポネ日本人という名前!)が闘羊のチャンピオンで、負けるわけない。つまり、八百長をしろと強要される。フランスからやってきた彼女はサンパチックな美女だけど、どこかしらミステリアス。映し出されるアルジェの町は魅力的だ。Falconは一生のうち一度はアルジェへ行きたいと思っている。最近はテロ事件も少なくなってきたといわれているが、まだまだ不安は拭えない。
 アルジェリアはフランスの植民地だったので、独立後、フランス語を排斥してアラビア語を使っていると聞いていたのだが、映画ではフランス語が使われている。兄弟はフランスに住んでいたのだが、アルジェリアへ移住してきた経緯があるので、フランス語を用いているのだろう。

 驚いたのが、主人公の弟をライ・ミュージックのアイドル歌手フォーデル君が演じていたことです。彼もねびてきて、メタボ気味の体を晒しています。カラオケ・バーの場面で披露する歌声は流石、歌手!ですね。ラシッド・タハとハレドと一緒にコンサートした時のCDを持っていますが、ジャケットの写真は「少年」そのものです。ライ・ミュージックについては、金沢大学の粕谷先生のサイトを見てください。

 両方の映画とも、アルコールを飲むシーンが頻繁に出てくる。チュニジアも、アルジェリアもムスリムの国(イスラムが信仰されている国)なので、戒律で本来アルコールは飲めないが、いわゆるマグレブ諸国では、戒律が緩やかで、ビールも、ワインも飲める。フランスではパスティス(かつてのアブサンの代わりとして飲まれている)、ギリシアではウーゾ、トルコではラクという、水を注ぐと濁る蒸留酒(ラクは水を注ぐと白濁することから「獅子の乳」ともいう)も飲むことができる。泥酔を戒めているが、町では酔いしれている人は多い。

Posted by falcon at 21:15:37 | from category: Main | TrackBacks
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