December 19, 2007

著作権は財産権、著作者人格権は社会的な立場を保護する

 インターネットはやはり「良識の府」と思います。
 正論であれば、必ず、地球上のどこかに同様の意見を持つ人がいます。

 万来堂日記2でも、著作権に関して、Falconと同様の意見を述べていたので、大賛成しました。
 著作権は、著作者と著作権者の財産権を保護するものであり、著作物を売ったときの著作権料を受け取る権利なので、けして著作者に敬意を払うためのものではありません。著作者に支払われる著作権料で、次の新たな創作活動を保証する権利です。
 ならば、著作者人格権は、日本の著作権法では、公表権、氏名表示権、同一性保持権であって、著作者の社会的な名声、立場、名誉、そこから生じる利益を保護するものです。著作物に表現された人格によって、著作者を尊敬するためものではありません。
 「リスペクト」という英語の表現から、「敬意」という語を導き、著作権を論じている図書館学関係の教科書がありますが、読者に著しい誤解を与えています。それだけでなく、その教科書は、著作権法が頻繁に改正されているにもかかわらず、その改正も反映せず、その他の条文の解釈も誤っています。執筆者の方を非難するつもりはないですが、法律に関しては、出版社は専門家に依頼して、正確な記述を書かせるべきです。フィクションではありませんから、間違った記述があれば、「フィクションだからいいんじゃない」で済まされません。架空の問題ではないのです。あるテキストに関しては、出版社に申し入れて、訂正をお願いしてあります。


 極端な言い方をすれば、ポルノ映画の映画監督、脚本家にも著作権はあります。ポルノ映画の女優さん、男優さんには、著作隣接権である実演者の権利があります。必ずしも、著作権は著名な作家や芸術家だけなく、創作活動に携わる人に等しく与えられるものです。ちなみに、Falconはポルノ映画の監督、脚本家、女優さん、男優さんに、著作権とは別に、敬意を持っています。一つの創作活動ですから、その努力は報われるべきです。
 「敬意」にこだわるのは、特に学校の先生です。学校現場では、いまだに著作者に敬意を払おう、著作物である図書を大切に扱おうというモラル教育の一環として、著作権が取り上げられています。学校の先生は、お金の話はしたくなく、すべて綺麗事にしたいと考えています。これは、根強く、狂信的でもあります。
 Falconは、レポートなどで、度々、「そんな経済的な話は、著作権と関係ない、それよりも著者に敬意を払う気持ちを子どもたちに伝えたい」と殴り書きされて、ホトホト呆れています。
Posted by falcon at 11:18:38 | from category: Main | TrackBacks
Comments
No comments yet
:

:

Trackbacks