April 30, 2007

左手は「不浄の手」

 トイレの話で恐縮します。
 フランスには、今は少なくなりましたが、「アルジェリア式トイレ」とか、「トルコ式トイレ」と呼ばれるトイレがあります。金隠しがない和式トイレです。つまり、オリエンタルなトイレです。一時は廃れた様式ですが、イタリアなどでは見直されてきています。というのも、洋式便器ですと、誰が座ったか判らない便座に座るので、不潔極まりないと判断するようになったからです。オリエンタルなトイレでは、便座が無いので、その心配も無いのです。
 ところで、本物の「アルジェリア式トイレ」では、トイレットペーパーは使いません。以前、Falconはチュニジアとモロッコに行ったことがあります。アルジェリアは行きたいのですが、まだ行く機会に恵まれていません。ただ、イスラム圏では、トイレは同じだと思いますので、チュニジアとモロッコでの体験を紹介します。
 勿論、ヨーロッパからの旅行者が多い国ですから、ホテルのトイレは大抵が洋式です。ですが、安宿ですと、トイレットペーパーは無く、代わりに蛇口とジョウロのようなものが設置されています。あるいは小さなシャワーがホースで蛇口につながっています。で、用を足した後は、左手で処理をするのです。チュニス大学のトイレを借りたときは、蛇口につながった小さなシャワーを汚所に近づけて、水を噴射して、左手で処理しました。モロッコの古都フェズのタンネリ(革製品の染色を行なっている場所)の近くで便意を催したときは、公衆便所でジョウロと左手で処理しました。近くには羊の頭が転がっていて、凄まじい光景でしたけど。日本人の誰でも、最初は物凄い心理的抵抗があります。しかしながら、慣れてくると、意外にさっぱりするので、日本に帰ってきても実行したくなります。でも、日本ではウォシュレットが普及しているので、左手は御無用ですね。
 イスラム圏では、左手は「不浄な手」です。だから、握手のときは絶対、左手を出してはいけません。一方、右手で、前に書いた料理クスクスを掴んで食べます。ナイフとフォークなんて、お上品なものは使いません。これも日本人には心理的抵抗がありますが、慣れてくると、結構気楽なものです。おにぎりを手づかみで食べることを考えれば、気になることではありません。
 話は変わりますが、日本では便所紙が普及したのは江戸時代の終わり頃らしいのですが、それ以前は布で拭いたり、「ちゅうぎ」といわれる木や竹のへらで処理していたようです。日本でも紙は貴重品でしたから、用を足した後の処理になんて使えませんでした。
 オイルショックでトイレットペーパーの買占めが起こって大騒ぎだったという話がありますが、その少し前1960年代は新聞紙で拭いていました。
 世界には砂で処理するところもあるようです。砂はジョリジョリして、聞くだけで痛そうです。もしかすると細かいパウダーのような砂を使うのでしょうか。
 Falconがトイレに拘るのも、実は紙の文化に関心があるからです。紙は図書館を考える上で重要なメディアだからです。

Posted by falcon at 01:58:35 | from category: Main | TrackBacks
Comments
No comments yet
:

:

Trackbacks