June 22, 2014

司書教諭の真価・進化・深化が問われる時に

 とうとう、学校図書館法の改正法案が参議院本会議で成立しましたね。

 残念だけど、この法案は学校司書法制化を望んでいた人たちの願いとは違う方向に進んでしまった気がします。

 学校司書の雇用を促進するように見せかけていますが、現状を維持するのがギリギリでしょう。法律を盾に、資格を確立して、司書教諭との業務の明確化を図り、待遇面を改善するのは、これからの課題となります。「速やかに」とあって、50年後となる可能性は、十分にありうる。司書教諭の配置が、「不足」じゃなかった、付則2項によって、法律制定から50年後でしたからね。

 さて、今こそ、司書教諭の真価が問われる時です。

 おそらく司書教諭の方たちはさまざまでしょう。

 「これからは学校司書が学校図書館を運営してくれるんだなあ」とホッとしている人。

 「学校司書とともに学校図書館を改善しよう」と意欲を持つ人。

 「学校司書が導入されたら、司書教諭の立場はどうなるんだろう」と不安に思う人。

 まだ、違う反応は想定できます。

 きっと、司書教諭の立場を不安に思う人は少ないと思います。クラス担任や授業担任を主としている人がほとんどですから、むしろ、学校図書館の運営の責任を分担できると思う人が大半でしょう。

 考えるに、平成9年の学校図書館法改正のときに、付帯決議で示されたことの逆のことが起こるのではないかと予想しています。
 つまり、それは「司書教諭がその職を失わないように配慮すること」です。

 「ええ、そんなことはないわよ。司書教諭は正規の教員なんだし、学校司書とは違う待遇なのよ」

 司書教諭が教員としての職は失わないにしても、学校司書に学校図書館を任せてしまえば、有名無実化します。
 事実、学校司書やボランティアがいる学校では、司書教諭の仕事は資料の発注書を起案して、職員会議にかけて、決済を取り、要するに書類に校長印を押してもらうことぐらいです。

 それに、噂によれば、非常勤の先生や産休・育休などの理由で代行している先生が司書教諭の発令を受けていたということもあります。

 司書教諭の真価、そして進化と深化が問われるのは、今でしょ。

12:02:14 | falcon | comments(2) | TrackBacks

June 17, 2014

えっ、これってアンナカ?

 サッカー・ワールドカップの話題で、小保方問題も、飛鳥事件もすっかり見放されてしまった。それでも、しぶとく小保方氏のSTAP細胞については新聞紙面の片隅を陣取っている。

 で、先日、自動販売機でコーラを買ったんだ。成分表示を見たら、「安息香酸Na」の文字が。。。ということは、安息香酸ナトリウムだ。実は安息香酸ナトリウムは、清涼飲料水などの保存料としてごく普通に含まれている物質で、栓を開けた缶や瓶の腐敗を止められないが、保存料として用いられている。

 「栓を開ける前の保存料って、どれだけの効き目があるの?」

 鋭いツッコミだね。Falconにもわからない。

 でね、コーラだから、カフェインが含まれている。

 「ってうことは、安息香酸ナトリウムカフェイン、アンナカじゃないか?」

 だから、ちょっとビビった。
 でも、安息香酸ナトリウムカフェインも少量ならば副作用もなく、中毒になる心配はない。

 飛鳥容疑者逮捕のときは、アンナカって特殊な薬かと思ったけれど、意外に身近な物質だった。

 このブログで触れたことがあるけれど、「コカ・コーラ」のコカって、コカインのことなんだよね。大丈夫、今はコカインの代わりに、カフェインが含まれているから、著しい覚醒作用は無い。

 ちょっと危険な話題でした。

20:48:41 | falcon | comments(0) | TrackBacks

June 16, 2014

フランスの教員養成機関が変わった!ドキュマンタリスト教員の新たな局面

 フランスは2013年7月8日にそれまでのIUFM(教職養成大学院)を改組して、EPES(Ecole superieure du professorat et l'education)が創設された。このブログでは、フランス語のアクサン記号が表せないので、Ecoleの最初のEとsuperieureのpの後ろのeにアクサン・テギュが付く。新学期の9月1日から講義が始まった。

 オランド大統領の教育改革の一環で、教員養成を本格的に大学院で行うことになった。

 EPESの創設によって、CDI(中等教育学校コレージュ、リセなどの学校図書館)のドキュマンタリスト教員の養成に変化があったみたいだ。
 EPESでは学校現場の教員だけでなく、大学などの高等教育機関の研究者も養成するらしい。つまり、ドキュマンタリスト教員の養成をする研究者も養成するらしい。

 日本の学校図書館で学校司書を法制化するというのは、小手先だけの改革だ。IFLA(国際図書館連盟)リヨン大会で説明するのも恥ずかしい!!
 フランス人のことだから、「資格も養成機関も無いのに、学校司書を法制化できるのか? 国家資格とするなら、全国一斉試験もしないのか?」って、質問してくるにちがいない。

 日曜日、大学生たちに交じって、フランス語検定試験(仏検)を受験した。日頃の不勉強で単語のスペルミス、動詞の活用にミスが目立って、落ち込んだ。拙者、まだまだ修行が足らないなあ。
 せめて2級は取りたい。
 これから、聞き取りと会話、朗読を頑張ろう!

 『猿の惑星』を原文で読もうと思っている。
 それから、水泳の本をフランス語で読んでいる。
 フランス語で学ぶ水泳は実践的で面白い。

 ああ、そういえば、『図書館戦争』フランス語版が出版されたらしい。フランスに行ったら、買ってみるか!?

00:33:02 | falcon | comments(0) | TrackBacks

June 13, 2014

学校司書法制化はアリの一穴か?!

 湾岸戦争当時、海部首相は後藤田氏にアメリカの言うとおりにしたら「アリの一穴」となり、憲法の防波堤は崩れると一喝されたそうである。

 日本の学校図書館の「憲法」と言ったら、大袈裟かもしれないが、学校司書の法制化を盛り込んだ条文を挿入する学校図書館法の改正が着々と進んでいる。6月11日の衆議院の文部科学委員会で可決され、衆議院本会議の可決へと進み、参議院の文部科学委員会の審議、可決を経て、参議院の本会議での可決、制定への可能性が高くなってきた。今期の通常国会の会期末は6月22日。もう秒読み段階と言っても良いだろう。

 司書教諭を養成する立場として、学校司書の法制化は反対だった。
 熱心に活動してきた学校司書の人たちのことを考えると、本当に頭が下がる思いであるし、この人たちの努力は無にしてはならないと強く思う。一方で、司書教諭が学校図書館に関われない現実を良いことに、資格もなく、素人ながらと、適当に、専門職と称して、学校司書をしてきた人もいる。本来、学校で教育に関与するものは教員の免許状を必要とするのに、学校司書にも教育に関わらせてほしいと、厚かましくも述べた人もいる。

 どんな仕事でも有能な人、無能な人はいる。司書教諭が無能だ、学校司書は無能だと言いあっても、結論が無い。

 問題は、今回の法案が学校司書の立場を好転させるものではないことで、むしろ、現状維持か、最悪、平成9年の司書教諭12学級以上必置を平成15年度からと定めた学校図書館法改正と同様に、学校司書を置いたところで、人件費がかかるだけで、ダメだ、無償で学校図書館に関わってくれるボランティアに来てもらおうという方向に向かう懸念がある。
 現在、公立の小中学校の学校司書は、臨時職員、派遣職員などの雇用の不安定な非正規職員が大部分を占めている。派遣職員は直接、学校で教員や児童生徒の要望に応えられない。派遣会社が仲介して、業務の指示を受ける。

 臨時職員にも問題はある。限られた時間しか働かないパートタイム職員が多いので、ある程度、責任は無いし、支給額が少なくても、子育てをしながら、家庭の仕事をして、過ごすことのできる、一部の人には最適で都合のいい仕事である。それに図書館となれば、泥臭くないし、周りは学校の先生に囲まれて、しかも法案が成立すれば国がお墨付きを与えた専門職である。それに学校の先生みたいに成績をつけることもなく、かなり気楽な仕事である。
 これで資格も無くできるとなれば、願ったり叶ったり。
 もし、正規職員として配置されると、少なくとも平日1日8時間は拘束されるし、責任は重くなる。そうなると、臨時職員のままが良いと思う人が多いと思う。(大学の非常勤講師は稼ぎは少ないが、さまざまな拘束は無い。一方、大学の専任教員は稼ぎがあっても、その分、拘束が厳しいし、毎日、死にそうである!)

 とういうわけで、学校司書が良いか、悪いかよりも、日本の学校図書館の状況が最悪の状況にならないかと思う。

 フランスの公立幼稚園(保育学校)と小学校にはBCDという学校図書館はあるが専任の教員も職員も配置されていないので、日本の小学校の学校図書館とドングリの背比べであるが、コレージュ(4年制中学校)とリセ(普通科高校)、職業リセ(職業高校)、農業リセ(農業高校)のCDIという学校図書館にはドキュマンタリスト教員と言う専任の専門の教員がいる。学校によって、ドキュマンタリスト教員以外の職員を配置している。その職員は国家試験を受験して合格すれば、ドキュマンタリスト教員になれる。

 本当は学校司書を、司書教諭の候補者として位置付けて、教員採用試験で合格すれば司書教諭となれるするのが理想なんだけどね。そうしないと、学校司書と司書教諭、その他の教員の小競り合いになって、ボランティアがしゃしゃり出ることになると思う。

21:41:23 | falcon | comments(0) | TrackBacks

June 10, 2014

6月5日は、「ぶらぶら美術・博物館」をみて、平塚市美術館へ

 BS番組で、『世界温泉遺産』と『ぶらぶら美術・博物館』を欠かさず観ている。
 『世界温泉遺産』は観ているだけで、その町の温泉に浸かった気分になる。世界中に温泉ってあるんだなあと思う。ガイドブックには載っていない秘湯を紹介してくれるので、旅番組としては極上の癒しを感じる。遠藤憲一さんのナレーションが日頃のストレスを発散してくれる。

 『ぶらぶら美術・博物館』では、山田五郎先生が滔々と弁舌さわやかに美術館・博物館の展示作品を紹介してくれる。おぎ・やはぎと女性アシスタントが、山田先生の講義に引き摺られるように付き合っている。その絶妙のコミュニケーションが面白い。矢作さんは、その場の雰囲気を盛り上げようとして山田先生の説明に合わせようとしているのに、小木さんはアンニュイな雰囲気。山田先生は懸命に小木さんの気をひこうと、わかりやすい解説をしてくれる。それになんとなく応える小木さん、3者の関係が展示作品の解説よりも、ドラマチックな展開で、演出がありそうで、無さそうで、とにかく楽しい番組である。

 それで5月に放映された平塚市美術館の石田徹也展を観に行った。
 昨年の足利市立美術館を皮切りに巡回展示されている展覧会である。すごく観たかった。
 31歳の若さで踏切事故で亡くなった石田徹也。
 初期の作品はユーモラスで諧謔味あふれている。晩年の作品は自分自身の内面を深く見つめた作品が多い。
 石田の代表作とされる『飛べなくなった人』は、新聞記事で作品の写真を見たとき、戦闘機と一体化したサラリーマンを描いているのだと思った。
 ところが実物をよく見てみると、遊園地の飛行機にサラリーマンが閉じ込められて、腕を翼の上に広げている。現代社会への批判だろう。
 でも改めて見ると、鉛色の薄曇りの空を背景にはっきりとしない表情を浮かべて、浮き上がっている姿は、戦争画に描かれた特攻隊の青年のように見える。やはり、戦争批判も込めているのか?

 石田徹也は静岡県焼津市で生まれて育った。幼いころ、第五福竜丸がビキニ環礁の水爆実験で被爆したことを詩にかいている。

 戦争への批判なのか? それとも現代社会への皮肉なのか?

 番組で紹介された平塚市八幡山の洋館にも立ち寄った。
 平塚市は横浜ゴムの工場があり、太平洋戦争中は海軍の軍事工場で賑わっていて、焼夷弾による空襲で多くの人が亡くなった。
 それを合わせて考えると、石田の描くテーマはひたすら重たく心に沈む。

22:28:15 | falcon | comments(0) | TrackBacks