March 22, 2009

イタリアも良いなあ〜

 今年は国際図書館連盟(IFLA)の第75回年次大会(IFLA2009)がイタリアのミラノで開催される。8月23日から27日まで。
 さらに時間のある人は、国際学校図書館協会(IASL)の年次大会が9月2日から4日まで、北イタリアのパドヴァで開催されるので、続けて参加できる。

 

 昨年7月に鳥取市の今井書店から宍道勉著『イタリアの図書館』が刊行された。イタリアの図書館事情、その歴史に関しては、ほとんど日本では紹介されてこなかった。古代ローマ時代の図書館やルネサンス期の図書館に関しては、図書館史で触れられる程度で、近代以降の図書館の歴史や今日に至るまでの図書館事情については、皆無とは言わないが、まとまった著作での紹介は初めてではないか。
 イタリアの学校図書館についても、わずかであるが紹介がある。貴重な情報だ。
 イタリアを旅をしながら、図書館めぐり。いやあ、憧れちゃうなあ!!夏のスケジュールを確認、確認。


10:31:47 | falcon | comments(0) | TrackBacks

March 20, 2009

日本で図書館がストライキで閉館したら

 「まる3」、コメントありがとうございます。
 だいたい同じようなことを考えていると思います。

 そこで仮定として、日本で図書館がストライキで閉館したら、どんなことが起きるかを考えてみます。
 まず、ニュースにはなるでしょう。フランスで学校の教職員がストライキに参加しているというのは、日本じゃ想像もつきませんけど、図書館がストライキで閉館したとしたら、珍しいのでニュースになるはずです。
 日本では、交通機関に比べれば、図書館がストで閉館したくらいで、住民は全く困りません。「閉館したのか、また今度にしよう」くらいの感覚です。フランスは図書館が閉館したら困る住民がいるから、ストライキに踏み切れるのでしょう。

 図書館の経済効果を査定してみると、面白いかもしれません。図書館があるおかげで、地域の商店街がどのくらい儲かるか、あるいは自治体(地方公共団体)がどのくらい税収入を上げられるかです。あるいは、図書館があるおかげで、その町に住みたいと思う人がどのくらいいるか、企業がその町に工場を建てたい、出店したいと思うかです。もう少し具体的にいえば、不動産屋さんの広告に「図書館まで徒歩5分」というキャッチフレーズを入れて、入居したいと思う人が現れるかです。

 大学で教えている図書館経営論は、今一詰めが甘いと考えています。数値化することに慣れていない、人文系の先生が教えると、図書館概論や図書館サービス論との区別がつきません。また、図書館司書課程を履修する学生の多くが、なぜか文系、その中でも最右翼の日本文学専攻、歴史学専攻が大多数を占めているので、先生が躍起になって数値化することの重要性を語っても、「わかりにくい!」と授業アンケートに書き込まれるのが関の山。そうなると、教える側も気が引けて、適当な話で時間を潰すしかありません。

 もっと本格的な経営論で図書館を語れないのかなあと、暗中模索しています。

18:21:31 | falcon | comments(1) | TrackBacks

フランスで大規模なストライキ!図書館は?

 先日、フランスでは交通機関だけでなく図書館でもストライキがあると書き込んだら、本当に起きていました。今回のストライキでは、図書館職員がストライキを起こしているのではなく、ストライキの影響があって、閉館しているところが多いようです。
 ニュースによれば、交通機関だけでなく、公的な機関である学校でもストライキに突入したようです。

 5年前、フランス第3の規模の都市リヨンへ行ったとき、リヨン市立図書館の視聴覚コーナーだけがストライキで見学できなかったことを覚えています。ほかの一般書、郷土資料のコーナーは、問題なく閲覧できました。(リヨンの中央図書館は高層でフランス国鉄の駅前にあって便利だった)
 パリへ戻って、バルベス=ロッシュショワル駅の近くの「黄金のしずく通り」の図書館もストライキで閉館していました。
 日本で図書館がストライキで閉鎖になるなんて考えられませんよね。利用者のことを考えると、ストライキはありがたくはありませんが、ストライキをするくらいの気概を図書館職員は持つ必要があると思います。フランスの図書館職員は、ストライキで政府に要求する力がある一方で、それだけ自分たちの仕事に対して誇りと自覚があるのでしょう。考えさせられるものがあります。

 「図書館」を甘く見るなよ! なめたら、いかんぜよ!

01:57:01 | falcon | comments(0) | TrackBacks

March 19, 2009

図書館経営破綻なし

 思いついたタイトルが、どこかで見たような、聞き覚えのある感じがした。そうだ!レマルクの『西部戦線異状なし』だ。

 近年、民間活力の導入ということで、PFI、指定管理者制度などの手法が取り入れられている。

 民間企業だったら、経営が破綻すれば、当然、倒産する。

 公立図書館は、ある意味「親方、日の丸」(正確には、「親方、地方公共団体」だけど)みたいなものだから、何があっても経営は破綻しない。親方である地方公共団体が財政難に陥った時には閉鎖もありうる。建物など施設の老朽化で、閉鎖することもありうる。けれども、事実上、公立図書館自体の経営が破綻することはない。同じことが学校図書館にも当てはまる。内情は破綻しきっている、もっと言えば、これ以上破綻できない状態なのに、学校図書館は立派に存在していることさえある。学校図書館では資料を物品管理するための原簿を作ることになっているが、それさえもない学校がある。企業だったら、想像外のありえなさだ。

 ここで何が言いたいのかと言えば、図書館経営はNo Risk, Low Returnであることである。リスクは全く無いとは言えないが、少なくとも資料費がなくなっても破綻はしない。それまでの蔵書を活用すれば、事足りる。利用者が重大な事故に巻き込まれる可能性は、スポーツ事業に比べれば少ない。
 リスクはないが、実入りも少ない。これじゃ、独立採算することは、ほとんどできないし、官がしても、民がしても、見違えるほど改善する可能性はないとは言わないが、まずもって少ないといえる。リスクがないことは良いことだが、緊張感に欠ける経営では改善点を見出しにくい。

 結論を急ぐことはないが、官としてやるべきことは、まだまだあると思う。図書館の運営費が税金で賄われていることを、肝に銘じておきたい。

13:41:56 | falcon | comments(1) | TrackBacks

March 18, 2009

うっかりパリの図書館へ

 パリの図書館について書き込んだら、急に気になって、サイトを開いてしまった。あれこれ見ていたら、引き込まれて、パリに行った気分になってしまった。
 フランス語なので、戸惑うかもしれないけど、サイトの翻訳機能を生かせば、何とか楽しめるはず。ちなみにBDとはバンド・デシネでフランスやベルギーで刊行される漫画のこと(以前にも書きこんだので、覚えているかもしれないけど、A4判より少し大きく、厚紙の表紙で、カラー印刷されたものが多い。吹き出しというか、セリフのところは作家の手書きの文字で、味わいがある)。DVDなどを借りる場合は、料金がかかる。日本の図書館のように何でも無料ではない。
 新しい図書館が多いのは、1980年頃からパリ市は図書館が増えたから。もちろん古い建物を改修したところも少なくない。
 フランスというと、交通機関のストライキが多いけど、図書館でもストライキがある。せっかく見つけて入ろうと思ったら、ストライキの張り紙がしてあって入れないこともあった。
 パリ市の図書館には貸出・閲覧サービスをする図書館と専門資料を扱う図書館がある。児童サービス専門の「たのしいひととき図書館」は5区のサンセヴラン教会の裏手にある。サンミッシェル大通りから、レストランが密集している狭い路地を入ったところで、近くにギリシア料理やチュニジア料理のお店がある。
 アート・工芸に関する図書館(フォルネイ図書館)、フェミニズム関連の資料を扱う図書館、旅の図書館(トロカデロ図書館)、推理・探偵小説専門の図書館もあり、実に魅力的な図書館が多い。

 フランス国立図書館は入館料を徴収するし、そこにしかないという資料を閲覧に行くなら損はないけど、観光客気分で遊び半分に言っても楽しくない。

 どうせ行くなら、ポンピドゥセンターのBPIがおすすめ。荷物検査があって、ちょっぴり気が引けるけど、観光客でも十分楽しめる。もちろんフランス語が分かれば、問題ないけど、写真集などをめくるだけでも楽しい。

 これはパリ市の図書館じゃないけど、アラブ世界研究所の図書館は建築だけでも一見の価値あり。誰でも閲覧ができる。いつもアラブ人のお兄さんたちでいっぱい。閲覧室が3層に分かれているのだけれども、その3層が螺旋の通路でつながっている(←行ってみないと、その構造はわからないかもしれない)。その螺旋の通路には図書や雑誌のバックナンバーがある。アラブ世界研究所の建物はガラス張りで直射日光を遮るために、カメラの絞りのような機械装置が取り付けられて、外見はアラベスク模様に見えるという意匠をこらしている。フランス国立図書館から徒歩で行けるくらい近いので、ぜひ足を延ばしてほしい。


19:40:08 | falcon | comments(0) | TrackBacks