August 31, 2008

行く夏と来る秋と

 もう8月が終わります。実りの秋が訪れます。
 今夏は、講演、見学、旅行、講義と、千葉、熊本、大阪、群馬、栃木とあちこち出かけて、いろいろな人と出会いました。
 宇都宮では出張講義みたいなもので、図書館の分類と目録、システムとネットワーク化を講義してきました。分類と目録は、資料に関する知識が講師の側にも受講者の側にもないと、大変苦しい講義になります。語るも地獄、聴くも地獄の、阿鼻叫喚の無間地獄です。詳しく説明すれば、疎ましがられ、分類記号と目録規則だけ説明すれば、単調でつまらないとなじられて、実に難しい。そのうえ、コンピュータシステムが充実してきたので、無理して覚えなくても、実務にそれほど影響がないので、別の科目の講師から「あんな分類や目録を教えて、意味無いじゃないか!それよりも、読み聞かせやブックトーク、利用者サービス、情報検索、レファレンスのほうが大切だよ!」と、けなされます。暗記することが多いので、図書館の講義科目の中で、受講者から嫌われる科目の一つです。
 ですが、分類と目録、件名は、図書館の基礎的な科目です。資料の知識を養う最も重要な科目です。

 多くの人に話をすると、100人ならば100人の違う反応があります。いつも好感触とは限らないことは、百も承知しています。話し方が気に入らない、あの言い方が変だ、ムカつくなど、さまざまな反応があります。大抵、話す方か、聴く方かが、肉体的苦痛、精神的な悩みを抱えているときに、問題が起きます。時間が経つと、「何で、あんなことで、もめたのか?」と思うほど、些細なことです。2日前にブツブツ文句を言っていた人が、今日はケロッとして、好意的に聴いてくれることもある。朝、険しい顔をしていた人が、夕方には優しい顔に変っていたこともあります。
 人間は感情の動物です。また、社会性の動物です。

 夏にさようなら、秋にこんにちわ。
 人も旅人、そして時も旅人ですね。なんだか、松尾芭蕉みたいになってしまった。

23:37:51 | falcon | comments(0) | TrackBacks

またまたコメントですか!?

 日本では「図書館法」によって、公共図書館(公立図書館・私立図書館)で資格を持って専門職として採用された人を「司書」と呼んでいます。
 学校図書館には、教諭であり資格を持った「司書教諭」がいます。そのほか、事務職でありながら、総称で「学校司書」と呼ばれる人がいますが、「文字活字文化振興法」第8条に「学校図書館に関する業務を担当するその他の職員」という文言がある以外、法律で明確に規定されていません。
 法律では、公共図書館の有資格の専門職が「司書」であり、「司書教諭」を除くと、その他の図書館の職員は「図書館員」「図書館職員」です。便宜で、あるいは職場の内規で「司書」という呼称を用いることはあると思います。図書館にいるボランティアが、資格を持ったことで勝手に「司書」と名乗ることもあります。
 司書または図書館職員と言っても、さまざまな労働条件と、知識と実践的な能力の格差があり、多様な問題があり、それらにまつわる情緒的心情は測り知れません。

 さて、頂いたコメントですが、主張の要点が難解で、私の理解と判断が追いつきません。おそらくご自身の立場と職場の労働条件に心を砕き、作品を読まれた方なのかなあと思います。そういう作品の理解があることを私は尊重します。
 特に意見を求めてきているようではないので、これ以上に言及は避けましょう。
 それから、素性は内密に。

20:06:26 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 24, 2008

アリ、アリ、アリ

 東京地方は、もう夏も終わりですね。北海道では冬のような寒さを記録したとか。東京は暑い、暑いと言っても、梅雨が明けてからの3週間が猛烈に暑く、8月半ばを過ぎると秋の涼風が吹きます。昼間は賑やかに鳴いていたアブラセミの声も弱弱しくなり、ヒグラシやツクツクホウシが泣き始めると、夏も終わりです。
 近所では、今年はなぜかアオマツムシが鳴きません。いつもですと、そろそろ街路樹で人の話し声も聞きづらくなるくらい鳴き散らしはじめるのですけど。

 さて、先日、図書館で急に蟻のことが気になって、『アリと人間』という本を借りてきました。著者が英国人なので、登場するアリはイギリスとヨーロッパに住むアリが多く、日本の蟻についてはあまり触れられていませんが、アジア、南米など、ほぼ世界じゅうのアリを紹介しています。図鑑ではありませんから、網羅的ではありませんが、アリの生態を「ありあり」と伝えてくれます。平易な文章ですので、小学校高学年でも十分に読めます。「斥候」という普段見掛けない言葉を覚えました。軍事マニアなら、すぐ読めますね。



 軍隊アリ、サムライアリといわれる種類もあるんですね。軍隊アリだけでなく、ほかのアリの種類でも、はたらきアリの中で、群れの守衛と敵への攻撃を専門とする兵隊アリもいます。攻撃も、アゴでかみつく、毒針から毒を放出するなどの方法があり、実に興味深い。えっ、「まだ、拘っているのか」ですって?!ちっ、ちっ、ちっ、チェンジじゃなくて、違いますよ。

 日本には200種類以上も蟻がいるそうです。
 身近にはクロオオアリ、クロヤマアリなどがいます。
 日本のアリに興味がある人は次のサイトが参考になります。
 子どもから大人まで十分に参考になり、楽しめます。

 日本産アリ類画像データベース

 夏休みもそろそろ終わります。夏休みの自由課題にアリを取り上げてはいかがでしょうか。 

11:39:45 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 21, 2008

コメントについて

 コメントありがとうございます。
 『図書館戦争』の件については、心情としては幕引きとしたいのですが、コメントを頂いた以上、発言に責任をとります。

 「ライトノベルが文学なのか、文学という高次なレベルから考えると、問題ばかりが目立つのではないか」という考えを提示されたと思いますが、Falconの考えではライトノベルもケータイ小説も児童文学も純文学も言語による作品と思っています。森鴎外と夏目漱石の小説が高尚で、ライトノベルとケータイ小説は低俗とは思っていません。そもそも、文学に高尚も低俗もなく、エンターテイメントとして楽しめれば、それなりに素晴らしいと思っています。知的な興奮を引き出すような、あるいは感情を放出させるような言語表現に出会えれば、読者としてうれしく感じます。その点で、『図書館戦争』シリーズは読者として大いに楽しめました。
 しかしながら、図書館職員として働いた経験から、図書館職員が真面目に働いている姿を少しでも描いてほしいと思って、小説で茶化すのはやめてくださいとブログで述べたのです。『図書館内乱』『図書館危機』『図書館革命』へとストーリーが展開するにしたがって、いくらかは図書館職員らしい姿を描いていると思いますが、フィクションとしての脚色が勝っています。
 アニメのなかで砂川がブログで、ある作品を「荒唐無稽、支離滅裂」と批判していましたが、私は『図書館戦争』シリーズそのものを「荒唐無稽、支離滅裂」と批判していません。脱線や無理があるものの、閉じられた世界で話の論理は筋の通った作品になっていると思います。その点は評価するべきでしょう。

 この一連の騒動を通して感じたことは、図書館職員、あるいは司書がまだまだ専門職として認められていないことです。作者・有川氏は『ず・ぼん13』のインタビュー記事で「悪徳警官を描いたからといって、警察が文句を言ってきたことがあるのか」という趣旨の発言をしています。ですが、テレビや小説などで医師や弁護士を描くときには、専門職として描くために、実際の医師や弁護士が監修して、事実に反しないように描いています(『Tomorrow』、『モンスターペアレント』楽しみに見ていますよ)。
 病院を舞台としたポルノ映画で男優さんや女優さんが演じている医師や看護師を見て、専門家である医療関係者が苦情を言ったら、その医療関係者が嘲笑われても当然でしょう。病院や医師、看護師はただの設定で、監督が描こうとして、観客が見たいことは、別のところにあるわけです。
 『図書館戦争』シリーズが、単に図書館と職員を設定として使って、全く別のことを描こうとしたとは思えない。やはり、作者は実際の図書館のことを十分に理解しないまでも、作者の個人的な興味関心と混ぜ合わせて、図書館の問題を描こうとしている。
 作者が描こうとした図書館と図書館職員(司書)に問題あると指摘できない、あるいは指摘しても作者の表現への妨げと受け取られてしまうのは、図書館職員の専門性が十分に認知されないからでしょう。

 ともあれ、『図書館戦争』シリーズは、日本で図書館が少しづつ認知されつつあることを示した点で、ありがたい作品です。喩えが良くないですけど、ポルノで病院が設定になるのと同じくらいに、図書館が日常生活に密着してきていることなのでしょう。

02:18:47 | falcon | comments(1) | TrackBacks

August 16, 2008

鉱物とコロー展

 近所の図書館で借りてきた鉱物の本にハマってしまいました。



 Falconは高校2年生まで科学者になるつもりでいました。理科と数学は大好きな科目でした。嫌いな教科は国語でした。皮肉なことに国語で教員免許を採ってしまったのですけど。

 なので、今でも科学に関する本は大好きです。
 鉱物の本は実に綺麗でそれだけで満足できます。鉱物のいくつかは宝石になっています。宝石のいくつかの構成する元素は実にありふれたものです。誰もが知っていることですが、ダイヤモンドは炭素でできています。炭素が地球の内部で高温高圧の条件下で結晶化したものです。ルビーとサファイアは酸化アルミニウムの天然の単結晶なんです。1円玉やアルミホイルに使われているアルミニウムは地球上に比較的多く存在する物質です。酸化アルミニウムの結晶をコランダムと言い、クロムの酸化物が不純物として混じったものをルビー、鉄やコバルトなどが混じったものをサファイアと呼びます。さらにダイヤモンド(炭素)に不純物を混ぜた物質は半導体の性質を持つので先端技術で期待される物質になります。いま注目を浴びている鉱物は電子回路や発光ダイオード、太陽電池などの半導体の材料になることが期待されています。

 さて、上野の国立西洋美術館でコロー展が開催されているので、見に行ってきました。
 Falconは何度かルーブル美術館へは足を運んだので、コローの著名な作品はほとんど見ていましたが、今回改めてコローの作品を見直しました。
 絵画を鑑賞するとき、題材やテーマばかりに関心があつまりますが、絵具や書かれたものの材質に注目するのも興味深いです。西洋の油彩画は揮発性のある油に鉱物の粒子を混ぜたもの、日本画は鉱物を水で溶いたもので、鉱物と切っても切れない関係にあります。
 今は安全性を考えて、学校の図工や美術で用いる絵具には有害な物質は使われていませんが、専門の画家の人が用いる絵具には有害な物質を含む鉱物が用いられています。かつては白には鉛白、赤には辰砂(水銀を含む)、黄にはクロムを含む物質がつかわれていました。
 こんな点から、美術を鑑賞するのも悪くありませんね。

11:34:20 | falcon | comments(0) | TrackBacks