March 05, 2015

失業率

 フランスの失業率は悪化の一途。

 25歳から30歳までの若年層の失業率は改善されつつある。この世代はソーシャルネットワークなどで職になんとかありつける。とは言いつつも、正職員になれるという謳い文句ながら、「職業訓練生」扱いで臨時職員並みの給与しか出ないブラック企業がフランスでもあるそうだ。フランスで深刻なのは55歳以上の定年間際の人の解雇後の再就職が難しい点だ。65歳定年後にも働き口を求めている人もいて、若者よりも中高年の失業率が悩ましい問題になっている。フランス国鉄のリストラで職を失った人が多い。

 一方、移民が後を絶たない。イタリアとスペインには続々、アフリカ・中東からの難民・移民がやってくる。危険を承知で、頼りない船に乗り込む、国境の壁・柵を登る、そして負傷、あるいは死。イタリアも、フランスも、移民は過飽和状態。彼らは英国、北欧諸国に逃れようとする。高福祉国家へ向かう。フランスに根付く人も少なくない。彼らはフランス人が嫌がる仕事をコツコツとしている。

 パリの安宿の夜の受付の多くはアラブ系あるいは黒人の青年が多い。たまに白人の中高年のおっさんがいる。
 フランスで夜遅くまで開店している小売店は、アラブ系の店が多い。フランス人の小売店は6時には閉まってしまう。

 そこでフランス人たちの心の隙間に訴えるのが国民戦線(FN)。「移民が我々の仕事を奪っている」というのだ。フランス人(と思っている人たち)がやりたがらない仕事をやっているだけなのに、移民を目の敵にしている。おかげで、2014年の欧州議会選挙のフランス選出議員では国民戦線が多数派を占めるという意外なことが起こっている。国民戦線はルペン氏の娘が大活躍している。

 そんな国民戦線のやり方にフランス国民は気がひかれつつも、わかってきている。「移民が仕事を奪っている」というのは保守派の多数派工作にすぎない。実際には、フランスでの多少の条件を我慢すれば仕事にありつける。
 フランスの大学進学率は日本よりも低い。コレージュ(4年制)卒業時点で、大学進学をめざす普通科リセに行くか、企業に就職するための職業リセへ、あるいは農業・水産業に就くための農業リセ・水産リセへ行くかを迫られる。リセ等の修了時点のバカロレア以外、フランスには入学試験はない。日本よりも早い時点、中学卒業時で将来設計ができる。

 日本はなんとなく高校から大学へ進学して、大学卒業時に将来を考えて、悩み、「自分探し」をする。そして、就職できずにいると、失業率が上がる。

 外食産業以外、そんなに働く場所がない。あっても占有権を持った中高年がガッチリ、美味しい仕事をつかんでいる。若者がそれに切り込むのは難しい。この点がフランスとちょっと違う。外国人労働者への制限はかなりあるし、ヨーロッパみたいに移民は多くない。目の敵にしたくても、目標自体が小さい。

 日本の大学の価値はバブル以降、急落している。大学で学んでも就職と関係ない。大学の先生の多くは「学問」優先で、学生の数年後の行く末にはまったく無責任と言っていいほどだ。それでも、防御策として「学生の将来を考えて、教えている」と言っているが、本心はそれほど。。。である。アクティブ・ラーニングとか言っても、実際はおままごと。企業・官公庁で働いた経験がない人が、社会人のあり方を語るのもおこがましい。

 英語は、英国の植民地だった国とアメリカの言いなりになっている国の、つまり田舎の国の共通語である。田舎の国を旅するのには便利。

 「アメリカが田舎ってこと」

 東海岸と西海岸、シカゴなど一部の都市を除けば、カントリーでしょ。広大な田舎。

 「そうだね」

 イギリスだって、ロンドンと一部の都市を除けば、ほとんど田舎。

 オーストラリアも田舎。英語は文明国の言葉じゃない。
 冷静に考えれば、アメリカ合衆国の人口の半分を超える1億人以上の言語人口をもつ日本語は、文明国の言葉である。世界最先端の技術力は自他ともに認めているのだから、英語ができなくても、引け目を感じることはない。
 日本語が話せないのに、日本にやってくる外国人のほうがダラシナイ。日本人は勤勉に外国語を学んで、外国へ出かけている。
 日本語を学んでから、東京へ来いと言いたい。

 「ねえ、失業率は、どうなったの?」

 話がそれたけど、まあいいや。

 英語は所詮、補助のための言語だな。

04:08:15 | falcon | comments(0) | TrackBacks