June 10, 2014

6月5日は、「ぶらぶら美術・博物館」をみて、平塚市美術館へ

 BS番組で、『世界温泉遺産』と『ぶらぶら美術・博物館』を欠かさず観ている。
 『世界温泉遺産』は観ているだけで、その町の温泉に浸かった気分になる。世界中に温泉ってあるんだなあと思う。ガイドブックには載っていない秘湯を紹介してくれるので、旅番組としては極上の癒しを感じる。遠藤憲一さんのナレーションが日頃のストレスを発散してくれる。

 『ぶらぶら美術・博物館』では、山田五郎先生が滔々と弁舌さわやかに美術館・博物館の展示作品を紹介してくれる。おぎ・やはぎと女性アシスタントが、山田先生の講義に引き摺られるように付き合っている。その絶妙のコミュニケーションが面白い。矢作さんは、その場の雰囲気を盛り上げようとして山田先生の説明に合わせようとしているのに、小木さんはアンニュイな雰囲気。山田先生は懸命に小木さんの気をひこうと、わかりやすい解説をしてくれる。それになんとなく応える小木さん、3者の関係が展示作品の解説よりも、ドラマチックな展開で、演出がありそうで、無さそうで、とにかく楽しい番組である。

 それで5月に放映された平塚市美術館の石田徹也展を観に行った。
 昨年の足利市立美術館を皮切りに巡回展示されている展覧会である。すごく観たかった。
 31歳の若さで踏切事故で亡くなった石田徹也。
 初期の作品はユーモラスで諧謔味あふれている。晩年の作品は自分自身の内面を深く見つめた作品が多い。
 石田の代表作とされる『飛べなくなった人』は、新聞記事で作品の写真を見たとき、戦闘機と一体化したサラリーマンを描いているのだと思った。
 ところが実物をよく見てみると、遊園地の飛行機にサラリーマンが閉じ込められて、腕を翼の上に広げている。現代社会への批判だろう。
 でも改めて見ると、鉛色の薄曇りの空を背景にはっきりとしない表情を浮かべて、浮き上がっている姿は、戦争画に描かれた特攻隊の青年のように見える。やはり、戦争批判も込めているのか?

 石田徹也は静岡県焼津市で生まれて育った。幼いころ、第五福竜丸がビキニ環礁の水爆実験で被爆したことを詩にかいている。

 戦争への批判なのか? それとも現代社会への皮肉なのか?

 番組で紹介された平塚市八幡山の洋館にも立ち寄った。
 平塚市は横浜ゴムの工場があり、太平洋戦争中は海軍の軍事工場で賑わっていて、焼夷弾による空襲で多くの人が亡くなった。
 それを合わせて考えると、石田の描くテーマはひたすら重たく心に沈む。

22:28:15 | falcon | comments(0) | TrackBacks

6月3日、武蔵野プレイスへ行った

 先週、立川の実家へ帰る途中、武蔵野プレイスを訪れた。

 中央線の武蔵境駅の南口を出て、右手に見える白いアートな建物が武蔵野プレイスである。昨年、平成23年1月に竣工した建物である。図書館、生涯学習センター、市民活動センター、青少年センターなどの機能を併せ持った融合型施設である。とはいえ、図書館の機能を基盤とした施設である。

 1階の入口を入るとカフェがある。

 地下には、中学生・高校生等が利用できる勉強机が置かれたコーナーがある。かなりにぎわっていた。
 公立図書館をつくろうとすると、かならず、地域の要望として、勉強ができる場所がほしいと言われる。日本では1960年代、受験勉強が厳しかった時代、家に勉強部屋が無かったので、図書館が勉強部屋代わりだった。それからすれば、少子化で、子ども部屋や勉強部屋が確保できる時代になっても、相変わらず、図書館を勉強部屋として使えるようにしてほしいと要望がある。
 公共図書館(公立図書館)の機能は多様化していて、勉強部屋だけというわけにはいかないのに、根強い要望である。

 本来なら、学校図書館が勉強部屋の役割をすれば良い。

 ところが、「学校図書館の機能にはない」とうそぶいて、誰も真剣に取り組まない。公共図書館のサービスを良いように使って、学校図書館が自立した活動をしようとしない。学校図書館が公共図書館の「介護」を受けているのでは、話にならない。

 武蔵野プレイスを見学して、昨年、訪れたシンガポールの眉山図書館に似ていると思った。

21:53:52 | falcon | comments(0) | TrackBacks