July 17, 2014

《黄金の滴》図書館

 パリ18区、モンマルトルの丘のふもとに《黄金の滴Goutte d'or》図書館があります。え〜と、ここは、

 「ちょっと待った、パリ18区と言えば、アラブ人やアフリカ系の人が多く住む移民街じゃないの。そんなところ、普通の観光客は行かないわよ」

 いや〜、一度は行ってみてくださいよ。なかなか味わいがあって良いところですよ。パリ北駅から歩いて行けます。パリの北駅は東京で言えば、上野駅ですよね。北駅からマジェンタ通りを北上して地下鉄の2号線の高架が見えてきます。そこがバルベス・ロシュシュアール駅です。地下鉄4号線の駅は地下にあります。

 パリのメトロを地下鉄と訳していますが、2号線のように高架になる路線もあります。『地下鉄のザジ』という映画で、ザジという女の子がメトロはいつも地下を通っていないことに疑問を持つ場面がありましたね。メトロとはメトロポリタンの省略で、ギリシア語起源の言葉で、「母なる都市の」、つまり「首都の」という意味で、元々は首都の交通網を意味しています。だから、札幌メトロとか、京都メトロとか、福岡メトロとは言えないのです。京都はかつて日本の都でしたから、京都メトロと言っても良いかもしれませんが、大阪メトロとか、名古屋メトロは語源としてありえません。

 チュニジアの首都チュニス市内を走る路面電車はメトロと呼ばれています。納得できますよね。

 高架の向こうはバルベス通りです。アルジェリア移民の2世3世のグループバンド、カルト・セジュールのボーカルだった、ラシッド・タハが唄う『バルベス』を思い出しませんか?

 「Falconさんの趣味にはついていけまへん」

 でさ、チュニジア人が経営する超安売りデパートTATIがあります。パリで100円ショップに代わるお店は、まさにこのTATIです。日本のマダムたちが手に取るガイドブックや雑誌には絶対に載っていない重要な情報です。旅の途中、Falconは下着や靴下がほしくなったら、ここで買います。無論、品質は問わないでおきましょう。

 「ねえ、黄金の滴図書館は、どうしたのよ」

 要するに、こういう雰囲気のアラブ人街に黄金の滴図書館があるということです。

 「えっ、それだけ?」

 黄金の滴図書館はパリ市の図書館です。

 「まだ、なんか、言うこと無いの?」

 それくらいですね。そういえば、昔、このあたりはパリ市の城郭の外でブドウ畑があり、ワインの滴のことを黄金の滴と言ったのですね。そのあと、移民街になって娼婦たちが住みついたとか。

22:34:29 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 15, 2014

みんなの図書館

 パリの街中を歩いていると、「図書館(Bibliotheque)」という標識があります。いつもながら、thのあとのeにはアクサン・グラーヴがつきます。その標識を辿っていくと、ほとんどの場合が、みんなの図書館です。こうした図書館は、パリ市の図書館ではなく、キリスト教の慈善団体が実施している貸出専用の図書館で、専門書・実用書は少なく、小説・物語の類です。図書館と言うより、貸し本屋に近い。借りるためには登録が必要です。多くの場合、高齢者の方たちがカウンターにいます。

 小さい図書館で、間口一間程度の場所に本が所狭しと並んでいます。大きいところは、コンコルド広場からも見えるマドレーヌ寺院の下にあります。マドレーヌ寺院といえば、平野啓一郎さんの『葬送』でも、おなじみのフレデリック・ショパンの葬式が行われた場所です。

 みんなの図書館のパリの本部は、サンジェルマン・デ・プレ教会の近くにあります。

 くれぐれも言っておきますが、これらの図書館はパリ市の図書館ではありません。

 図書館と言っても、フランスには色々な形態の図書館があります。

23:36:54 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 10, 2014

パリ市の専門図書館

 パリ市には69館の市立図書館があります。パリ市は東京の山手線の内側くらい面積だと言われていますが、その中におよそ70館の図書館があるとは驚きです。
 そのうち56館が貸出専用図書館です。もちろん閲覧もできます。いわゆる普通の市立図書館です。残りの13館が専門図書館です。これまで紹介した、たのしいひととき図書館、パリ市歴史図書館、フォルネイ図書館はパリ市の専門図書館です。そのほか、フェミニズム(女性問題)の資料を扱ったマルグリット・デュラン図書館、音楽図書館、映画図書館などユニークな図書館があります。

 それでは、今回はトロカデロの旅の図書館へ行ってみましょう。トロカデロへは地下鉄6号線か9号線で行きます。パリの中心部からは地下鉄1号線かRER・A線でシャルル・ド・ゴール・エトワール駅、要するに凱旋門の下まで行って、6号線に乗り換えるのが便利です。
 トロカデロ広場は少し高台にあり、シャイヨー宮に近く、ここからのエッフェル塔の眺めは最高です。とにかくここは観光客でごった返しています。ということはスリ等の軽犯罪が多発する場所ですので要注意です。
 それはともかく、図書館へ行ってみましょう。地下鉄の出口を出たら、墓地が見えるので、墓地の敷地に沿って歩いていきます。図書館などの公共施設にはフランスの三色旗がかかっていますから、見当がつきます。
 ここには旅に関する資料がそろっています。これから地方へ旅立つのなら一度は訪れて見たい図書館です。日本にも旅の図書館はありますね。東京駅八重洲口近くにある、JTBが運営している旅の図書館です。
 トロカデロの旅の図書館は、貸出図書館に併設されていますから、貸出用図書館のほうも見学しておきましょう。フランスの公立図書館なら、驚くほどではありませんが、フランスの漫画、BDバンド・デシネが充実しています。これを眺めるだけでもたのしい。

 さて、次に訪れたいのは探偵小説専門の図書館です。

 「ええぇぇ、そんな図書館あるのお〜〜」

 ええ、ありますとも、パリにはね。

 トロカデロからは、ちょっと遠いです。6号線でモンパルナス・ビヤンヴニュ駅方面に乗って、ラ・モットゥ・ピケ駅でオーステリッツ駅方面の10号線に乗り換えます。カーディナル・ルモワヌ駅で降りて、消防署を探してください。その近くに、探偵小説専門の図書館があります。ちょっと入口が見つけづらいので、近くのお店の人に尋ねると、教えてくれます。探偵小説はロマン・ポリシエと言います。
 資料の分類は独特の分類ですから、職員の人に尋ねてみると丁寧に説明してくれます。
 フランスは「メグレ警部」シリーズをはじめとして、英国に負けず劣らずの探偵小説大国です。残念ながら日本の推理小説・探偵小説がありません。

 パリ市の専門図書館はほかにもいろいろありますから、巡り歩くのも相当楽しい。
 観光とショッピングだけでは、パリは飽きますからね。

22:20:03 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 04, 2014

まさにパリの散歩道! マレ地区の図書館を訪ねて

 今回の始まりは、ポンピドゥセンターからです。マレ地区の図書館を訪ねます。所要時間2時間から3時間。ツアー観光だったらば、自由時間にお薦めのコースです。
 ポンピドゥセンターの東側に行くと、前々回、説明したようにゲイの人が集まる界隈があります。そこを抜けてロズィエ通り(Rue de Rosiers)をめざしてください。文字通り、このあたりは路地(ロズィエ)が多く、道幅が狭いので、通り抜ける車に注意しましょう。ロズィエ通りにはファラフェルの店が数軒あります。どの店も昼どきはテイクアウトのファラフェルを求める客で大行列です。

 「ねえ、ねえ、ファラフェルって一体、何よ」

 ヒヨコ豆の小さいコロッケをサラダとピタパンに一緒に挟んだ東地中海料理です。ファラフェル自体はコロッケのことなんですが。

 「ふうーん、それ、美味しいの?」

 パリで食べるのは格別です。建物を注意深く見るとダヴィデの星があります。ここはパリのユダヤ人街なのです。黒い帽子をかぶり鬚を生やしたユダヤの男性たちが通り過ぎてゆきます。実にパリらしい雰囲気が漂います。
 さらに東に向かって左に曲がると、カルナヴァレ博物館があります。その途中にあるのがパリ市歴史図書館です。パリ市の図書館ですが、パリ市の歴史資料を中心に専門的資料を扱う図書館です。研究目的でないと見学ができませんが、是非、訪れてみたい図書館です。

 今度は南へ向かい、大通りを渡るとサンポール教会があります。そこからさらにセーヌ川へ向かう途中にフォルネイ図書館があります。このあたりは道が込み入っていますので地図を見て確認しましょう。この図書館は工芸に関する資料を専門に扱うパリ市の図書館です。デザインに興味のある人には絶対お勧めの図書館です。
 このサンポール教会周辺は、まさにパリのサンポール、散歩道です。

 「さっきから、駄洒落が多くない?」

 ああ、そうでしたね。

 で、もう一度、カルナヴァレ博物館へ戻って、少し足を延ばしてヴォージュ広場へ行きましょう。都会の喧騒を忘れて、旅の疲れを癒しましょう。ここでほっと一息ついて、カフェでも一杯飲みましょう。

 ポンピドゥセンターへ戻る途中に、ピカソ美術館のあるサレ館に立ち寄るのも良いし、国立古文書館もあります。それから、ここは雑貨や衣服を扱うブティックが多い界隈です。意外と手ごろな値段で買い物ができます。ただの観光旅行ではない、自分だけのパリを発見できるでしょう。

 次のプランを考えておきます。

22:13:55 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 03, 2014

フランスの児童図書館の歴史をたどる旅

 フランスの児童図書館の歴史をたどる旅に出発しましょう。所要時間は3時間程度です。

 まずは、たのしいひととき図書館をめざしましょう。いわゆるカルチェ・ラタンの一角にあります。地下鉄の駅は4号線のサンミッシェル駅、RER・C線のサンミッシェル・ノートルダム駅、10号線のクリュニー・ラ・ソルボンヌ駅が便利です。クリュニー・ラ・ソルボンヌ駅の近くには国立中世美術館があります。日本でも大評判だった一角獣と貴婦人のタペストリーが展示されています。これも是非、お見逃しなく。
 たのしいひととき図書館は、サンミッシェル大通りから小さな路地に入ると見えてきます。サン・セヴラン教会の近くにあります。このあたりにはエスニック料理のお店が一杯あり、値段が手ごろなムニュ(定食)もあり、旅人にとってはありがたい場所です。
 1924年にアメリカの慈善団体よって設立された児童図書館です。現在は児童書専門のパリ市の図書館です。
 ここにはアルメニア移民の家族に生まれた歌手・俳優のシャルル・アズナブールも幼い日々に通ったというエピソードがあるそうです。

 さて、サンミッシェル駅から地下鉄4号線でモンパルナス・ビヤンヴニュ駅へ行き、12号線に乗り換えて、終点のメリ・ディシ駅か、一つ手前のコランタン・スルトン駅で降りて、クラマール・ジョルジュ・ポンピドー行きの189番のバスに乗ってください。降りるバス停はアンテールコミュナル墓地です。ここからすぐのところに、小さい丸い図書館があります。かつての本のよろこび図書館です。
 1965年に、たのしいひととき図書館の影響を受けてつくられた図書館で、当時、クラマール一帯は困窮した家族が多く住んでいて、子どもの生活が荒れていたそうです。その子どもたちの気持ちを慰めるために図書館のサービスが展開しました。
 この建物、円筒形の部分が組み合わさった斬新な設計です。建築家のル・コルビジェの流れをくむ建築家たちが設計したもので、この建物自体が世界遺産級の価値があります。しかしながら、2006年に安全性の問題が指摘されて閉鎖されました。関係者の努力で2007年に小さい丸い図書館として開館しました。
 今でも、さまざまな児童サービスが試みられています。1970年代から、ここの図書館の職員の一部が中心となって、小学校の学校図書館の研究を行って、現在のBCD(幼稚園、小学校の図書館)の呼称が生まれました。
 クラマールのあたりはパリとは全然違う雰囲気です。フランスの閑静な住宅地って感じです。自然が残されて、墓地があります。

 小さい丸い図書館のほかに700メートルくらい離れたところに、クラマール市のメディアテーク・フランソワ・ミッテランがあります。10年くらい前、訪れたときは無かったようなので最近建てられたのでしょう。ここも訪ねみたい図書館です。行き方は小さい丸い図書館の職員の人に尋ねておきましょう。

 それでは、また次のコースを考えておきます。

23:09:07 | falcon | comments(0) | TrackBacks