August 12, 2013

ジョルジュ・ムスタキの歌うHiroshima

 5月に亡くなったジョルジュ・ムスタキで思いだした。彼が歌っていた歌にHiroshimaがある。
 「いつか忘れ去られるだろう」と彼は歌う。
 たしかに記憶は少しづつ風化して来ている。

 繰り返される戦争の悲劇。
 戦争は、いかなる理由があるにせよ、正当化してはならない。
 「正義」は個人の我ままである。

 フランスの歌手には他の国の出身者が多い。あるいは移民の子孫も少なくない。
 たとえば、セルジュ・ゲンスブールはロシア出身のユダヤ人の血をひく。イブ・モンタンはイタリア、シャルル・アズナブールはアルメニア系移民、ジョルジュ・ムスタキはギリシャ出身、ナナ・ムスクリもギリシア出身だ。
 それだけフランスは国際的な国であり、異国の文化を広く受け入れる国である。自国の文化を強烈に主張する一方で、異国文化や人を取り込んで発展する国はヨーロッパの中でも珍しい。

 フランスはどちらかといえば好戦的な国である。国歌ラ・マルセイエーズを聴けば、戦いに戦う血みどろの歌だと解る。

 そんな国の姿勢に抵抗する歌手たちがいたし、今でもいる。
 ムスタキも、ゲンスブールも、そうだった。

 戦争を真っ向から非難した歌手が日本にいただろうか。

 いたけど、常に、密やかな歌声だった。

01:11:48 | falcon | comments(4) | TrackBacks