July 02, 2013

アルマジロ:デンマークの兵士たち

 NHK・BS放送のドキュメンタリー番組を録画していた。
 『アルマジロ』という題の、アフガン戦争で戦地に送られたデンマークの兵士たちの姿を描いた番組を見ていた。

 まず、「驚いたのは」デンマークには兵役があることである。大学生たちがミニレポートで、安易に使う「(先生の解説で)驚いた」なんて単純な「驚き」ではない。農業と牧畜の盛んな穏やかな北ヨーロッパの小国のデンマークには兵役、つまりは徴兵制度があるとは、驚きである。ヨーロッパの中では学校図書館活動の最も堅実で盛んな国に兵役があるとは知らなかった。18〜32歳までの男子に、現在では4カ月の兵役が課せられている。もちろん、代替行為による免除の場合もある。この番組の撮影当時は7カ月の兵役があったらしい。軍隊はわずか数カ月の懲役制度で維持できるわけないから、志願兵によって維持される。

 本当に平和な国、日本にいると、懲役制度の物々しさは実感できないが、かつてイスラエルへ行ったとき、街中で迷彩服を着た若者たちが談笑しながら、銃を携えていたのに、驚いたし、胸が痛んだ。イスラエルは男女ともに兵役がある。

 兵士たちの送別会に、若い女性が招かれて、乱痴気騒ぎをしているのには、複雑な思いがした。どこかの政治家まがいの元・弁護士が物議をかもしたことも肯けなくもない。事実として、兵士たちになる若者の性のはけ口は、どうしても必要なのだろう。しかし、それだからと言って、女性を道具のように扱うのは絶対に間違っている。戦場に送り込まれた彼らが、基地の中でポルノを鑑賞している姿も生々しく描かれている。軍隊と快楽か、悩ましい問題である。

 地元の子どもが「軍隊なんかやめて、家に帰れらないの?帰る家が無いの?」と兵士たちに無邪気に語りかける場面がある。兵士たちは無言で、顔はこわばっている。子どもたちの言葉は、真実を突いているだけに重たい。

 アフガニスタンに何故、アメリカ軍とデンマーク軍が駐留したのか?

 テロ組織タリバンの撲滅か?
 あるいは、ロシアの南下政策を阻むためなのか?

 どちらも正しいが、本当の目的は別にある。

 テロ組織の撲滅ならば、アフガニスタンだけが標的になるのは、おかしい。テロリストは世界中のいたるところにいる。

 本当の目的はアフガニスタンの地下に眠る豊富なレアアース・レアメタルが目的であると言いきってもいいだろう。中国の西部、ロシア・シベリアの南部、中央アジアにかけて、レアアース・レアメタルの埋蔵量が多いことは知られている。きっと、インド亜大陸の衝突によるヒマラヤ造山運動によるものであろう。

 何の目的もなく、荒涼とした高原の国アフガニスタンに軍隊を駐留するわけがない。そこには「正義」も「大義」もない。あるのは、もっともらしい「口実」と醜い「野望」だけである。

20:18:54 | falcon | comments(0) | TrackBacks