September 30, 2013

悔しいが、夏が終わった

 ああ、もう10月になります。

 今年の夏、やろうと思ったことが沢山あったのに、シンガポールやバリ島、北海道へ行ったりして、うかうかしているうちに夏が終わってしまいました。もっとフランス語とイタリア語を勉強したかったなあ。もっと泳ぎたかったなあ。本も読みたかったなあ。

 課題もできました。来年はロシアへ行くので、ロシア語を勉強しようと思っています。大学時代、少しだけ初級文法を学びましたが、文字以外はすっかり忘れました。

 いよいよ秋ですね。
 しばらく能楽を見ていないので、観たい。
 水泳教室は、今まで初級レベルに留まっていましたが、勇気を出してランクアップしました。若いコーチたちも、「ランクアップしないのかなあ」って、思っていたそうです。クロールと背泳は時間さえ許せば、5000メートルは泳ぐ自信があります。
 本も読みたい。読書の秋ですからね。

 仕事も山積み。

 考えても、夢を語っても、実現しません。着実にこなすのみですね。

01:06:29 | falcon | comments(0) | TrackBacks

September 28, 2013

ミケランジェロの謎

 今、中公新書の『ミケランジェロ』を読んでいます。

 通常、日本でも外国でも、姓で呼び名を表します。たとえば、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスは、「ベラスケス」と呼んでいます。フランスの印象派の画家クロード・モネは、「モネ」と呼んでいます。

 ところが、イタリア・ルネサンスの巨匠3人は何故か、名で呼んでいます。
 レオナルド・ダ・ヴィンチは、今でも「ダ・ヴィンチ」と呼ぶことがありますが、「ダ・ヴィンチ」は姓ではありません。彼の出身の村の名がヴィンチであり、「ヴィンチ村出身の」という意味です。なので、「レオナルド」と呼ぶのは仕方ありません。
 次にミケランジェロは、本名ミケランジェロ・ブオナローティであり、姓で呼ぶならば「ブオナローティ」です。ところが、名で呼んでいます。
 最後にラファエロですが、本名ラファエロ・サンティですから、姓で呼ぶなら、「サンティ」がふさわしい。なのに、ラファエロと呼んでいます。

 実に不思議です。
 名前の呼び方にこだわるのは、図書館の目録の標目で、姓と名で構成される名前は、「姓,名」であらわされるからです。目録の標目とは、資料を探すときの手がかりで、百科事典や辞書の見出し語のようなものです。

 *見出し語については、続きを読んでほしい。

 問題は、おおよそ17世紀以前の画家はあだ名で呼ばれることが多い。宗教画を書いたエル・グレコはギリシアのクレタ島出身で、本名はドミニコス・テオトコプーロスと言い、イタリアのヴェネツィアで過ごした後、後半生をスペインのトレドで過ごし活躍します。「エル・グレコ」は文字通り、「ギリシア人」です。つまり、あだ名です。バロック絵画の先駆者とされる光と闇の画家カラヴァッジョは、本名ミケランジェロ・メリージであり、ミラノ出身の彼の一家が移り住み、彼の育った村の名前がカラヴァッジョなんです。
 ちなみに、2人の画家の名であるミケランジェロは大天使ミカエルのことで、ミカエル+エンジェロ(天使の意)の合成語です。ミカエルは英語のマイケル、略称マイクです。名前についていえば、マイケル・ジャクソンと関係があります。
 このように画家の名前は非常に悩ましい。スペインの画家ゴヤなんか、フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスが本名です。まあ、フランシスコ・ゴヤと呼んでいますけど。

 「そんなこと言ったら、ピカソなんか、寿限無みたいな名前でしょ」

 まあ、そうですけど。

 図書館関係者以外は「そんなこと、どうでも良いじゃん!」ですけど、われわれはこだわります。 [more...]

22:38:17 | falcon | comments(0) | TrackBacks

September 27, 2013

この本スゴイ!栄養学!



 実は、ついこの間、仕事で北海道へ行っていました。でね、北海道の書店で、この本買って読んでいました。ちょっと前、新聞の書評で紹介されていました。

 この本のテーマとは全然関係ないのですが、登場する化学者、栄養学の学者たちの肖像画、肖像写真が素晴らしい。中には、老醜じゃなかった、老いて威厳に満ちた学者の肖像写真もありますが、青年期から壮年期、学者としては脂ののった時期の肖像写真が、イケメンぞろいなのです。含羞のある微笑みをたたえる顔、憂いに満ちたまなざし、学究に勤しんだ自信にあふれた顔、学者たちの人間性を見事に写し出しています。
 著者の巧みな筆さばきで、彼らの驚くべきドラマが展開します。
 なにしろ、最初に登場するフランスの化学者ラヴォアジエですら超イケメンです。彼は空気中での物の燃焼に酸素が関わっていることを究明した人です。化学の教科書でお馴染みの上目遣いの肖像画は、改めて見ると印象的です。フランス大革命のさなか、徴税請負人だったために断頭台の露と消えた人です。また、傍らのラヴォアジエ夫人の姿も描かれて、深い印象を残します。

 森鴎外といえば、夏目漱石と並ぶ、近代日本の文豪の一人ですが、鴎外の本当の姿は陸軍の医者でした。彼は当時の兵士たちに多かった脚気を食事に由来する病と考えなかったために、多くの死亡者を出してしまったことを著者は克明に暴いています。当時の医学界が脚気の原因を究明しなかったので、もっとも森鴎外だけに責任を負わせるのは酷なのですが、森鴎外、森林太郎に医者としての責務が無かったとも言えない。
 脚気とは、今では忘れ去られた病気ですが、白米を食べたことでビタミンB1不足による心不全などを伴う病気です。重篤な場合は死に至ることもある恐ろしい病でした。そういえば、まだFalconが小学生のころ、まだ脚気の検査がありました。膝をゴムの小さなハンマーで叩く検査です。

 化学式やオルニチン回路、クエン酸回路など高校の生物の時間に習った項目が次から次へと現れますが、苦手な人は学者たちの繰り広げるドラマに注目しましょう。ビタミンや栄養素の偉大な発見の裏には熱きドラマが潜んでいました。ドグマの呪縛に苦しむ学者、茶目っ気たっぷりの学者、家族に見捨てられた悲運の学者と、一人ひとり取り上げても伝記作品となります。

 これを読むと、ビタミンと補酵素の働きがわかります。ただし一般向けなので、もう少し踏み込んでくれたなら〜、という程度の説明です。少なくとも「ビタミンCはお肌の美容に最適!」という意味不明な独断的な説明よりは詳しい内容になっています。サプリメントが必要な理由がいくらかわかりました。

 それから、最後の章で、
 ・糖質が脂質に合成されて蓄えられる。
 ・糖質や脂質が不足すると、たんぱく質がエネルギー源になる。
 ・糖質や脂質からたんぱく質が合成される。
 というような説明がありましたが、もっとも知りたかったのは糖質や脂質からたんぱく質が合成されるメカニズムとプロセス、要するに仕組みです。Falconはどちらかといえば糖質中心の食事を取ります。糖質ばかり摂取して、たんぱく質が合成されるのかが、物凄く知りたいと思いました。炭素C、酸素O、水素Hで組成される糖質・脂質がたんぱく質・アミノ酸になるためには窒素Nが必要です。
 思えば、馬や牛、ゾウやキリンやカモシカなど草食動物のほうが、ライオンやヒョウなどの肉食動物よりも逞しい体躯をしています。ということは、糖質の多い植物を食べている草食動物はたんぱく質を合成していることになります。事実、草食動物から肉食動物はたんぱく質を摂取しているわけですから。
 ハンマー投げの室伏広治選手は糖質中心の日本食を好むそうです。それでいながら、あの逞しい身体を維持できるのは何故なのか、興味が尽きません。水泳の北島選手も日本食を好むとか。

 かなり分厚い新書ですが、一気に読めました。

22:19:49 | falcon | comments(0) | TrackBacks

September 08, 2013

憎悪は愛により止む

 この前の書き込みで紹介したスリランカのジャヤワルダナ元大統領が第2次世界大戦後の日本を救った言葉です。

 「憎悪は憎悪によって止むことなく、慈愛によって止む」

 この言葉を改めて思って、反省しました。

 やられたら、やり返すことばかり考えていましたが、相手によってはそれなりの事情があるのですから、それを受け入れて、認めてあげるのも一つの方法だと思います。自らの指針は曲げずに。

 過去に学ぶことはたくさんありますね。

20:51:14 | falcon | comments(0) | TrackBacks

アジアはすべて抗日・反日なのか*レインボーマンからの考察

 ちょっと前に、マツコ・デラックスと村上信吾君が司会をしている『月曜から夜ふかし』という深夜のテレビ番組で、『レインボーマン』の主題歌の替え歌の件を取り上げていた。おもわず懐かしく口ずさんでしまった。
 「インドの山奥で。。。」ではじまる極めて印象的な歌である。いわゆる怪人を倒す特撮ヒーローものの一つで、『月光仮面』の作者として知られる川内康範氏の原作である。

 「川内康範さんって、どっかで聞いたことがある。えーと、何だったけ?」

 森進一さんが唄った「おふくろさん」の作詞家で、著作権問題を起こした人です。

 「ああ、そうそう、そうだった」

 でね、

 「『あのくたらさんみゃくさんぼだい』って、御経を唱えて変身するんだよね、レインボーマンは」

 そうそう、あの当時は「ありがたい御経を子供向けの怪人物番組に使うなんてという批判があった。

 さて、問題はここからだ。先日、バリ島から帰ってきた話はしたよね。最後の日のキンタマニーへのツアーの時だった。参加したのはアメリカ人、オーストラリア人、カナダ人、スウェーデン人とFalconだった。宿泊していたサヌールからキンタマニーへは車で約2時間半で、時間を持て余していた。車中でバリ島のガイドの人がバリ島の歴史を語り始めたとき、気まずい雰囲気になった。
 バリ島は太平洋戦争中、大東亜共栄圏の中にあり、当然のことながら日本の支配下にあった。バリ島にも日本占領下で連合国の兵士たちが捕虜として収容された施設があったらしい。
 このツアーの参加者たちは「日本人のことを責めているわけじゃないから、気にしないでくれ」と口々に言ってくれたけれども、何とも言えない雰囲気になった。
 実はガイドの人は日本占領になる前に東南アジアがオランダやイギリスの支配にあったことも説明していた。

 なぜレインボーマンを引き合いに出したかといえば、レインボーマンが戦う謎の軍団が、日本人殲滅をもくろむ「死ね死ね団」(←実に生々しいネーミング)という集団で、太平洋戦争中、日本軍に苛烈な扱いを受けた連合国の捕虜たちが恨んでいることがきっかけである。

 「子供向けの番組にしては、ずいぶんと政治的な緊張感のあるテーマじゃん」

 そうなんだ。
 でね、問題はさらにアジアの人たちがすべて太平洋戦争による抗日・反日感情によって突き動かされているかである。日本が支配する以前、あるいは太平洋戦争後、どこの国に支配されたかにより、かなりの差がある。植民地化が始まっていたとはいえ、中国には清朝を打倒した漢民族の政府があったし、朝鮮は李朝があった。全土が植民地化れなかった国は抗日・反日の感情が激しい。
 マレーシアのように錫鉱石が取れたことによってイギリスに搾取された地域は日本による支配を、イギリスからの解放と考える場合もある。バリ島はオランダの支配を受けていたから、同じアジア人の日本による支配が必ずしも悪感情を生むものではなかったようだ。逆に東南アジアでは捕虜となった連合国の兵士たちの日本への恨みが根強い。
 オランダとイギリスは最近、慶事が続いた(唯一、オランダの王子が亡くなったのは痛ましい)。日本人たちも祝福したので両国とも友好な関係を築いている。しかし、60年以上も経っても、捕虜だった人たちの恨みは続いている。
 アジア諸国の日本への感情は、かならずしもその地域の人たちだけのものではない。連合国の捕虜たちの恨みも含んでいると構造的に考えたほうが良い。

 バリ島での国際学校図書館協会の大会の参加者でスリランカの研究者がいた。彼がスリランカは日本を友好国と思っていると強調していた。それは第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和条約のとき、スリランカ(当時はセイロン)のジャヤワルダナ大統領が「憎悪は憎悪で止むことなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用して、賠償金を放棄したことを説明して、日本を窮地から救ったことを述べた。

 戦争はすべてのものを破壊し、正義も愛も踏みにじる。

 図書館は団結して戦争に反対する。

15:30:36 | falcon | comments(0) | TrackBacks