August 24, 2013

AichaをさがしてPart2

 Khaledが唄うAichaについては、何度か取り上げてきた。
 ヨーロッパ、中近東、アジア各地で歌い継がれている。日本語ヴァージョンが無いのが不思議なくらいである。

 サルサ・ヴァージョン、ズーク・ヴァージョン、ラップ・ヴァージョンなど、色々な唄い方があって、聞き厭きない。

 ダンスヴァージョンも楽しい。中東の人気歌手がフランス語とアラビア語で踊りまくり唄う。顔立ちは、にこやかな平井堅って感じ。

 ヨーロッパの各言語で聞いてみるのも楽しい。ノルウェイ語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポーランド語など、それぞれ味わいがある。

 ノルウェイ語とドイツ語のヴァージョンは、特にお勧め。
 夏の疲れた体を癒してくれる。

 暑い暑いと言っても、もうすぐ夏も終わる。
 夏の終わりは心の隅に焦りを感じる。子どものころ、夏休みの宿題をしていなかったという切迫感が残っているからなのかもしれないし、夏の冒険をやり残したという後悔からかもしれない。その焦りに追いすがり、しがみつきながら、短夜が過ぎ、朝が来る。

 そんな夏の締めくくりに、Aichaはお薦めである。


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August 23, 2013

IFLAシンガポール大会に行ってきた

 国際図書館連盟IFLAシンガポール大会に行ってきました。
 いやー、シンガポールは東京をしのぐ大都会でした。
 セブンイレブンはあるし、東京で見かける店舗はほとんどあります。ユニクロも無印良品もあります。衣服は日本の表示をしているものも少なくありません。

 暑さは東京のほうがいくらか暑い。シンガポールの直射日光はキツク、湿気がひどい。けれども海からの風が心地よく、マイルドな雰囲気です。ビルや地下街、地下鉄の中は冷房が利いて快適です。

 到着した日はボタニック・ガーデン(植物園)に行きました。広大でゆっくり歩けば半日は過ごせます。地下鉄のボタニック・ガーデン駅(ここは裏口)から歩いて、オーチャード駅に近い正門へ向かって歩きました。無料ですが、園内のオーキッド・ガーデン(蘭の花園)は有料です。と言ってもたったの5シンガポールドル(400円くらい)です。ひたすら歩き続けて、正門近くの植物園の図書館に立ち寄りました。ここは参加者も気がつかない穴場の図書館です。

 到着2日目はジュロン・バードパークと動物園のナイトサファリに行きました。
 バードパークはシンガポールが誇る世界最大の鳥類園です。Falconの仲間たちが沢山いて、大感激。オウムとインコがたくさんいたのが印象に残りました。ほとんど動かないハシビロコウ(上野動物園にもいる)とか、オシドリたちとか、ペリカンたち、サイチョウやオオハシの仲間も印象的でした。なんと言っても、極楽鳥はきれいでしたね。
 ナイトサファリは、IFLAが行われているSUNTEC会場の観光バス会社(ヒッポ・アンド・ダック「カバさんとアヒルさん」)でツアー(と言っても、バスの送り迎えと入場券だけ)に参加して行きました。なにしろ、到着2日目で右も左もわからないので。6時にバスが出発して、動物園に到着して、入口のところで行われているボルネオの少数民族の若者たちによるファイアショーを観ました。迫力満点でかなり楽しめました。帰りにももう1回観ましたけど。小さいビキニパンツと腰蓑を付けた腹筋ガチガチの青年たちのパフォーマンスに圧倒されます(2人はうらやましい体型です!2人はちょっと中年太りかな?)。
 ナイトサファリは英語のトラムで行きました。待つこと40分、トラムのツアーは約45分です。見られるのは、ライオン、シカ、オオカミ、象、キリン、バク、トラくらいです。ウォーキングで見られますけど、一人ではちょっと勇気要ります。
 日本語のトラムは意外にすいている場合がありますので、次回、来ることがあれば日本語トラムに乗ってみたいです。この続きはまたあとで。

 「ちょっと、遊んでばっかじゃない。図書館はどうしたのよ」

 だから、それは、またあとで、と言ったでしょ

01:36:10 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 12, 2013

ジョルジュ・ムスタキの歌うHiroshima

 5月に亡くなったジョルジュ・ムスタキで思いだした。彼が歌っていた歌にHiroshimaがある。
 「いつか忘れ去られるだろう」と彼は歌う。
 たしかに記憶は少しづつ風化して来ている。

 繰り返される戦争の悲劇。
 戦争は、いかなる理由があるにせよ、正当化してはならない。
 「正義」は個人の我ままである。

 フランスの歌手には他の国の出身者が多い。あるいは移民の子孫も少なくない。
 たとえば、セルジュ・ゲンスブールはロシア出身のユダヤ人の血をひく。イブ・モンタンはイタリア、シャルル・アズナブールはアルメニア系移民、ジョルジュ・ムスタキはギリシャ出身、ナナ・ムスクリもギリシア出身だ。
 それだけフランスは国際的な国であり、異国の文化を広く受け入れる国である。自国の文化を強烈に主張する一方で、異国文化や人を取り込んで発展する国はヨーロッパの中でも珍しい。

 フランスはどちらかといえば好戦的な国である。国歌ラ・マルセイエーズを聴けば、戦いに戦う血みどろの歌だと解る。

 そんな国の姿勢に抵抗する歌手たちがいたし、今でもいる。
 ムスタキも、ゲンスブールも、そうだった。

 戦争を真っ向から非難した歌手が日本にいただろうか。

 いたけど、常に、密やかな歌声だった。

01:11:48 | falcon | comments(4) | TrackBacks

August 10, 2013

フランスのカリスマ2人

 1960〜70年代、フレンチ・ポップスが日本でも流行したけど、ほとんど知らない。たしかにダニエル・ヴィダルが歌った「オー・シャンゼリゼ」や、フランス・ギャルが歌った「夢見るシャンソン人形」はなんとなく知っている。シルヴィー・ヴァルタンの「アイドルを探せ」やミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」などは、ときどき耳にするので、記憶している程度だ。この時代の曲は「イエイエ」「イェイイェイ」と言われている。

 このころフランスで大人気のアイドル歌手の伝記映画を渋谷のル・シネマで観た。愛称クロクロ、クロード・フランソワの生涯を描いた『My Way最後のマイウェイ』だ。
 39年の短い生涯で、500曲を残した。まさにカリスマにふさわしい。今年の4月にテレビのNHKフランス語講座で、クロード・フランソワの「アレクサンドラ・アレクサンドリ」を取り上げていたが、この曲が最後の遺作となった。その中には、この映画のタイトルになっている「マイウェイ」の原曲も含まれている。

 「フランク・シナトラが歌ったマイウェイって、英語の曲じゃなかったの?!」

 クロード・フランソワが作った「コムダビチュード(いつものように)」って歌謡曲だ。映画の中では、この曲にまつわるエピソードも描かれている。

 フランス・ギャルとの恋の破局も描かれている。
 クロード・フランソワを演じた俳優さんはベルギーの出身の役者だそうだけど、実にそっくり。また、フランス・ギャルを演じた俳優さんは、実物よりソフトな感じで、そっくりとは言えないけど、本人が演じているのじゃないかと思うほど、雰囲気が似ていた。

 この映画はフランスで大ヒットしたらしいけど、日本ではクロード・フランソワのことを知っている人は少ないと思うので、ピンと来ないかもしれない。
 彼と家族、そして妻たち(何度も結婚している!)の関係が描かれ、ショー・ビズの裏側も見られて、かなり面白い。中盤が盛り上がりに欠けて、ダレてしまったけど、呆気なくも、人気絶頂に、最期を迎えたところは胸打たれた。

 さて、ちょうどこのころ脚光を浴びて、1991年にこの世を去った歌手・タレントのインタビューを編集した「ノーコメントbyゲンスブール」も、渋谷のル・シネマで観た。

 セルジュ・ゲンスブール、英語風に発音すればゲインズブール、フランス語風に発音すればガンズブール。

 歌手だけではない。作詞・作曲もするし、映画製作、画家など、本当にマルチタレントというのにふさわしい。日本でタレントというと、バラエティ番組に出演している芸人さんという印象だけど、文字通りはタレントとは「才能のある人」だから、ゲンスブールのような人のことを言うべきだと思う。
 フランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」の作詞・作曲はゲンスブールだ。

 セルジュ・ゲンスブールを知ったのは、彼の晩年のころだ。フランスに初めて行って、モンパルナス墓地へ直行して、彼の墓に詣でたことも懐かしい。亡くなって2年後だったけど、花園のように、おびただしいほど花が添えられていた。

 映画の中には、ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキンや娘のシャルロットも登場するけど、ピアフやフランソワーズ・アルディ、最後にパトリック・ブリュエル(彼も50代だもんね)がちらっと出てくる。ゲンスブールと関わった芸能人は、数多い。

 ゲンスブールの顔を見ていて、寺山修治や吉行淳之介に似ているなあと思った。
 彼の声は晩年、酒とたばこでだみ声になってしまったけど、若いころは美声だった。「枯葉」と作詞したプレヴェールを称えた「プレヴェールに捧ぐ」は、ゲンスブールの声で味わってほしい。湖のように詩情を満々とたたえた唄だ。

 バルドーとのデュエットで問題になった「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」は、映画にもなった。ゲイのカップルに、突如現れたロリータッぽい女(ジェーン・バーキン)が割り込む。相手にされなくなったゲイの片割れがで会う、白馬に乗った王子様が、無名に近かったジェラール・ドパルデュだ。フランス映画では重鎮というべき大俳優で、面構えは今では西田敏行さんとどっこいどっこいだけど、若いころはイケメンだった。カトリーヌ・ドヌーヴと共演した「終電車」やベトルーチ監督の「1900年」に出演したころは、水も滴る色男だったのにね。「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」、この映画、色々な意味でも勉強になりました。

 「えっ、それって、どういう意味なの?」

 え、まあ、その、だから、ねえ、

 ゲンスブールがこの世を去った1991年、枯葉の季節にイヴ・モンタンがこの世を去った。同じ年に二つの巨星が落ちた。

 そういえば、今年5月にジョルジュ・ムスタキがこの世を去った。シャンソンの大御所も少なくなってきた。
 今夜はムスタキの『私の孤独』を聴いて、寝ようかな。 

21:56:21 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 06, 2013

もうひとつのヨーロッパ:映画『海と大陸』

 先日、小田急線の下北沢駅へ行って、井の頭線に乗り換えて明大前駅へ行き、ここで京王線に乗り換えて、一駅先の下高井戸駅へ行くつもりだった。映画館で『海と大陸』が見たかったからだ。
 何を思ったのか、特急に乗ってしまい、明大前から調布までノンストップで行くハメになった。京王線明大前駅の乗り換えは、十分気をつけたい!隣の駅が調布駅になったら大変だ。

 それで、映画の開始にはギリギリ間に合って、最初の数分を見逃した程度で、ほぼ全編を観おえた。

 NHKラジオのイタリア語講座で取り上げていた作品なので、見たいと思っていた作品だ。
 イタリア映画といえば、明るく陽気な映画を想像してしまう。ビスコンティ監督やベトルーチ監督の壮麗で重厚な作品も少なくないけれどね。
 『海と大陸』は南イタリアのリゾートの島で起こる出来事を丹念に描いた映画だった。
 なんと言っても、地中海の海の青さが目に沁みる。そして島の荒々しい自然と人々の生活の貧しさが胸に沁みる。

 二十歳になったばかりの青年フィリッポは父を海で失った。葬式の後、残された母と祖父、叔父たちと必死になって生きる。住んでいた家を、北イタリアの都会からやってきた若者たちに貸して、自分たちはガレージに住む。
 北イタリアの都会の若者たちと南イタリアの田舎の青年フィリッポが対比される。頑固に漁業を守ろうとする島の老人たちと海水浴客目当てに稼ごうと観光業に専念するフィリッポの叔父が対比される。
 そこにさらに大問題が起きる。

 「アフリカから不法侵入が増えている件」

 「アラブの春」の時も、イタリア、フランス、スペインの南ヨーロッパ諸国へは、不法侵入者が大挙して押し寄せた。
 今、憧れのヨーロッパを訪れても、黒人、アラブ人、インド人、中国人が多くて、「ここは、どこの国なのお〜」と心の中で叫ぶ人が少なくない。Falconは、パリに行って、黒人やアラブ人がいないと寂しくなるけれども、日本から初めて行く人はショックかもしれない。
 フランスだけにかぎらない。福祉国家の北ヨーロッパは、移民の受け入れは限界になってきている。無論、フランスもイタリアも限界突破している。
 ということで、『海と大陸』はわれわれに深刻な問題を告発している。「人間として困っている人をどこまで救えるか」という、普遍的な問題である。人道的には困っている人を救うのが当然だが、人を救えるだけの余裕が無ければ、自分も困ってしまう。
 さらにヨーロッパ諸国がアフリカを植民地化して支配していたという問題が複雑化している。

 そこで、いつも考えるのは、アフリカの飢餓を救うべきなのかという問題である。土地にはそこに住める人の数が決まっていると思う。その数が増えれば、食料が供給できなくなり、飢餓が起きる。飢餓が起きると、ヨーロッパ諸国は食料を支援する。食料が増えれば、人口が増える。そうすると、また食料が供給できなくなり、飢餓が深刻になる。救いのない悪循環が起きる。
 ヨーロッパ諸国やアメリカ、中国がアフリカを支援するのは、人道的な見地からだけとは思えない。地下資源を狙っているのは自明の理である。
 飢餓状態が続けば、紛争も起きるし、難民が流出する。だからと言って、自分たちの国で受け入れるのも限界になっている。
 解決のつかない複雑な問題だ。

 食料を供給して飢餓を救うのではなく、生活スタイルを提案して、そこの土地で住めるようにすべきだ。
 お金や食料を恵むのは、慎むべきことである。

 『海と大陸』は、さりげないストーリーに深く考えさせる問題を潜ませている。

 暗闇の中を泳いで近づいてくる黒人たちの姿が心に焼き付いて、忘れることができない!
 

21:54:22 | falcon | comments(0) | TrackBacks