July 22, 2013

講談社現代新書のススメ





 このところ、講談社現代新書にハマってします。

 藤田伸二騎手の著書は、「えぇ!こんなこと書いて大丈夫なの?」ってところまで、競馬界の実態を暴いています。これまでもイニシャルでスポーツ紙に掲載されたゴシップネタを実名でばらしています。
 正直言って、藤田騎手って見かけがチャライので、好きになれませんでした。もちろんベテラン騎手ですから、気にしています。昔堅気で真摯な態度に感心しました。
 競馬がわからない人には、理解しがたい点も多いですが、ある意味、一業界の人生哲学として、読むと興味深いことがわかります。多分に藤田騎手の偏見もあるのは事実ですが、人間観察の鋭さに驚かされます。ベテランの騎手は馬だけでなく、騎手や競馬会の人々へ厳しい視線を向けるのですね。
 何よりもリハビリに励んでいる後藤浩輝騎手の復帰を祈ります。はやく明るくさわやかな後藤騎手の騎乗が見たい。

 さて、林真理子さんの『野心のすすめ』です。ただいま読んでいる最中です。
 正直言って、林真理子さんのエッセイも小説も読んだことありませんでした。御本人には申し訳ありませんが、林さんって、私の中ではテレビタレント=芸人に近い存在です。
 藤田騎手と同様に、林さんは人間観察・社会批判が鋭いと思います。
 いじめられっ子だった凄絶な少女時代が綴られています。Falconも、林さんと同様にそこそこ勉強ができましたが、体育が苦手で、虐められてばかりいました。学校時代に男子で体育が苦手というのは、死んだほうがマシ!の扱いです。Falconは真剣に自殺を考えたのですが、林さんは流石、そんなことにへこたれていない。「いずれ、こいつらとは卒業すれば別れられる」と堪え忍ぶ。やはり、高みを狙う人は違います。
 「野心」というのは、ぎらぎらした汗を感じさせる言葉です。なので、林さん自身、使うのにちょっとためらっている。しかし、「夢」と置き換えてしまっては、はかなげで、頼りなく、実現しなくても仕方ありません。だから、「夢」という言葉は意識的に避けています。

 Falconにも「野心」はありました。「図書館のお兄さんになりたい」という「野心」です。

 「でも、それって、野心と言えるのかなあー?」

 世間の人からすれば、「ちっぽけな野心だなあ」と思われるでしょう。私にとっては野心です。

 大学の先生にはなるつもりはありませんでした。これは謙遜でもなく、上品ぶっているわけではなく、正直な気持ちです。林さんからすれば、「そんなの嘘に決まっている」と叩かれても仕方ありません。でも、本当なんです。

 いま、トンビに油揚げを奪われそうになっています。

 そこで、ひ弱になりそうな気持ちを奮い立たせようとして、この本を読みました。
 あとから恨みを言うのでは惨めです。野心を焚きつけて、人の生身を狙うゾンビどもをやっつけるしかありません。

 なので、藤田騎手と林さんに感謝!



16:59:25 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 17, 2013

郷愁のウルトラマン



 これを読んで、愕然として、言葉がでなくなりました。

 そうですね、50代から40代、1960年代後半から70年代に少年時代を過ごした人ならば、「ウルトラマン」「仮面ライダー」は忘れられない思い出でしょう。「マグマ大使」「ジャイアントロボ」「ミラーマン」「レインボーマン」「人造人間キカイダー」「ロボット刑事K」、、、思い出せばきりがありません。ヒーロー&怪獣・怪人ものです。

 円谷一族の栄光と挫折の記録です。

 子どもたちの夢の裏側には苦闘をした大人たちの思いが詰まっていたことを知りました。
 著者の円谷英明さんは、身を切るような思いで書いたのでしょう。親類・関係者たちの実像を赤裸々に描き出しています。

 この著作を冷静に読むと、経営学の本として実に興味深いことがわかります。
 起業を成功させるには、
 第1に、高い技術力
 第2に、夢を描く創造性
 第3に、失敗に気がつき修復する能力と柔軟性
 第4に、勝機を捉える機敏性
 第5に、言うまでもなく資金力
 第6に、周りの人材を大切に気遣うコミュニケーション力
 第7に、文化の違いに気がつく感性(受け止め方)

 円谷プロは高い技術力があり、夢を描く創造性は豊かでした。高度成長期の子どもたちの心をわしづかみにしたのですから。

 この本を読めば、スピルバーグやルーカスがどれだけ多くのことを円谷プロから学んだかがわかります。

 これだけダークな面があるからこそ、ウルトラマンは僕たちの心に永遠の希望の光を灯してくれるのかもしれません。明日を信じて、子どもたちに夢を語ってくれたウルトラマンと関係者たちに、心からねぎらいと感謝の気持ちを述べたい気持ちになります。

 そういえば、ジャミラって言う怪獣がいましたよね。元宇宙飛行士で、水星で見捨てられて、異様な姿で戻ってきた怪獣でした。ウルトラマンの怪獣の中では、その醜さのために異彩を放っています。元宇宙飛行士だったために、地球防衛軍とウルトラマンは簡単に退治できない。途轍もない苦悩を描いたものです。子どもながらに、ひどく印象に残っています。
 今、調べらたら、ジャミラの名前はアルジェリアの指導者の名前からだそうです。奥が深い。
 アラビア語を勉強していたときに、気になっていました。
 アラビア語では、ジャミラは「美しい」という形容詞で、女性の名前に多く使われています。

 怪獣墓場のシーボーズの回も、複雑な思いをさせられました。

 ウルトラマンって、単なる勧善懲悪の番組でなかったのです。
 さらには当時問題になっていた環境汚染の問題も取り上げていたし、宇宙科学や最新の科学技術を、ウルトラマンと怪獣たちの対決の構図で描いていました。

 ウルトラセブンはスタイリッシュで、爽やかな印象があります。

 そういえば、ウルトラセブンで諸星ダン隊員を演じた森次浩司(晃嗣)さんって、北海道滝川市の出身なんだってね。

 「なんで、滝川市の話題になるの?」

 いや、その、まあ、滝川市に行ったことがあるのでね。


02:25:54 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 14, 2013

眠れぬ夜の子守唄

 東京地方は連日、熱帯夜が続いて、なかなか眠れません。

 そんなとき、フランスのシンガー・ソングライター、ジャン・ジャック・ゴールドマンの子守唄(Dors bebe dors)を思い出しました。
 あのお、bebeの2つのeにはアクサン・テギュがつきます。

 優しく、語りかけるような、美しいメロディーです。

 それから、イヴ・デティユの曲もお薦めです。

 そういえば、7月14日はフランス大革命記念日です。

 「夏目記念日」はジェットコースターの日を取り上げていましたね。

 7月14日を歌いこんでいるエディット・ピアフの「パダム・パダム」も良い歌です。
 アルチュール H.(アッシュって読みます。本名のイジュランの頭文字です。フランス語のHって発音しないので)のジャズ風にアレンジした「パダム・パダム」も最高の聞き応えがあります。是非、ブランデーのオンザロックか、カルヴァドスのグラスを傾けながら、聴きほれるのも、夏の夜の過ごし方かもしれません。

02:13:06 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 10, 2013

「赤い糸」の伝説はプラトンが語ったのか?:NHK「100分で名著」饗宴の虚偽

 ええぇぇぇ、「赤い糸」の話って、プラトンの『饗宴』のはなしだったのお〜!!

 今月のNHK『100分で名著』はプラトンの『饗宴』です。
 ずーっと前から、読もうと思っていながら、ひもとくのが億劫だった作品です。本棚の片隅に置きっぱなしになっていました。
 恋愛、それも古代ギリシアの「少年愛」を語っている話なんですけどね。勿論、男女の愛についても語るのですが、究極の天上の愛は少年愛、男と男の同性愛です。

 ちなみに「饗宴」の原題はシンポジオン、シンポジウムの語源です。日本でシンポジウムっていうと、話したがりの人たちが横並びになって短い時間で、周りの参加者のことなんか構わずに、勝手にダラダラしゃべりまくる、独りよがりな、糞おもしろくない会合ですよね。パネリストっていうか、シンポジストたちが意見を戦わせて、会場を巻き込んで、大論戦を繰り広げるなら、それなりに面白いのですが、「有り難い話だから、黙って聴け!」とばかりに、昔は良かったって話をする。典雅、優雅のかけらもない。プライドとエゴ、無知の共演にすぎない。

 プラトンの『饗宴』は、食事をしながら、愛を語り、人間とは何かを問う、歴史上、このうえない「饗宴」です。

 でね、今回の放送では「赤い糸」の愛の伝説は、プラトンが『饗宴』において語っていたという売り込みでした。
 実はFalconはレファレンス・サービスの講義や演習で、このネタ使っています。
 日本文学を専攻した人なら、真実を絶対知っているはずです。
 昔々、テレビのコマーシャルで、お婆さんがぼそぼそ言う場面で使われていましたが、元をたどれば、太宰治の『津軽』に出てきます。気になった人は、青空文庫で検索してください。
 ここで情報の探索を終えるならば、素人です。「先生が教えてくれないから、わ・か・ん・な・い」って駄々をこねている学生のレベルです(こんな学生や受講生に司書の資格を授与する気になれない)。
 これはさらに中国の故事成語に辿ることができます。中国の逸話では「赤い糸」ではなく、「赤縄」なんです。足の指に目に見えない赤い糸が結び付いているというのは、太宰治のセンチメンタルな修辞(←太宰治の本名「津島修治」の掛け言葉)です。目に見えない赤い縄、「赤縄(セキジョウ)」です。
 「赤い糸」と「赤い縄」では、ずいぶんと違うイメージですね。見えない赤い縄では、まるで愛の奴隷、逃れられない運命のようです。

 というわけで、赤い糸の伝説はプラトンではなく、中国の逸話を太宰治が『津軽』で語り、テレビ・コマーシャルで広まったのです。

 学生A「でも、それって、ケータイ小説の『赤い糸』が語源じゃなかったの?」

 違います。

23:42:01 | falcon | comments(0) | TrackBacks

July 09, 2013

カブトムシ発見!

 月曜日の夜、水泳教室を終えて、プールの外を歩いていると、カブトムシがいた。
 飼っていたのが逃げたしたのだろうか、それとも育てていたのが羽化したのか、あるいは森の中で羽化したのか、さまざまな疑念がわきあがったが、いずれにしても、屋外で夜、プールの周りの広場で這いつくばっていた。この暗がりでは誰かに踏まれてしまう。そこで、なんとか、この窮地を救いださなければと思った。

 実はFalconは、カブトムシに触れるのは苦手である。ほかの虫は至って平気に捕まえられる。ゴキブリでも、カマキリでも、イモムシでも、毛虫でも、何の問題なく捕まえられる。昆虫ではないが、蜘蛛だろうが、ムカデだろうが、ミミズでも全く平気である。

 が、しかし、カブトムシだけはダメだ。
 カブトムシは力が強い。無理に捕まえると、足がもげてしまうのではないかとハラハラする。指に絡みつくと、カブトムシの足先が刺さって痛い。それから、カブトムシの体は、やけにデカイ。その体躯が、昆虫というより獣に近いものを連想する。ほかの昆虫は平べったかったり、細かったり、小さかったりする。
 それにこのカブトムシ、こっちが気を使って、安全なほうに誘導するのに、怒りまくって、「余計な御世話だ」と言わんばかりに威嚇してくる。オスのカブトムシの割には小ぶりなくせに、威嚇の仕方は並はずれている。関東地方の連日の猛暑で、羽化したばかりなのだろう。極めて威勢が良い。

 「ああ、もう、この馬鹿野郎!」とカブトムシ相手に怒鳴りたくなる。「何も、お前をつかまえて、虫籠で飼おうなんて、幼稚な考えは無いんだよ、とにかく、お前さんを安全な木の枝に運んでやりたいんだよ。こっちの気持ちをわかっておくんなまし」と懸命に語ってみても、通りかかった人から恐ろしく、あやしい人物にしか見られない。
 もう、仕方ない、腹を決めて、カブトムシの腹を指で挟んで捕まえた。と、途端に、カブトムシは指に絡みつき、今度は母親の背中にかじりつくようにおんぶしてくる幼児のようである。急に大人しくなった。「なんだ、お前、肝っ玉の小せい奴だな」とせせら笑ってやった。人間でも偉そうにしている奴とか、気取っている奴ほど、ちっと脅かせば、赤子のように大人しくなる。さっきの威勢は虚勢かと、角のあたりを軽く小突いてやった。

 近くの桜の幹につかまらせた。

 「今度は人間様に見つかるなよ。おいらみたいな、虫を愛する奴ばかりとは限らねえからな」と話しかけると、見る間に桜の幹を足早によじ登っていった。

 なんだか夢のようだった。そう、真夏の夜の夢。
 Falconの住んでいるあたりは、まだ自然が残っている。

 ところで、カブトムシも所変われば害虫である。
 北海道では果樹園やスイカ畑を荒らす「有害外来生物」なのだ。
 本州以南では、子どもたちに乱獲される、愛玩昆虫なのに。

 甲虫、夜羽化したばかり四股を踏み 一騎

 一騎という俳号、気に入っています。『図書館戦争』の作者に感謝。

 バタフライがかなりうまく泳げるようになった。平泳ぎも早くなった。今年の夏は頑張って、4泳法制覇をめざすぞ。
 カブトムシの話に、バタフライとは、これまた、なんと虫つながり。

23:51:41 | falcon | comments(0) | TrackBacks