August 09, 2012

「のだ」sorry

石黒圭著『文章は接続詞で決まる』 2008(光文社新書)



 この本すごく面白かった。
 電車の中で読むのに適しています。
 接続詞の使い方で、文章の印象が180度変わります。著者は書いてはいませんが、接続詞は「文章の化粧」です。
 「話し言葉の接続詞」は良いとして、「文末の接続詞」というのは常識外れ(悪い意味ではなく、「意外性がある」と理解してほしい)というか、意表を突きます。
 「文末の接続詞」の一つとして、「〜のだ」があります。著者も指摘しているように、文章を書き慣れていない人に限って、「〜のだ」とか、「〜である」とかを使う傾向があります。私の知っている人が文章を見てほしいと言ってきたので、読ませてもらったら、文末のほとんどが「〜のだ」でした。Falconは草稿で「〜のだ」をつけてしまっても、極力削除します。結論を書くときだけ、「〜のだ」を使うことにしています。「〜のだ」は、英語の強調構文It is 〜 thatです。

 知人「どうでした、私の文章?」

 Falcon「全部書き直しですよ。特に文末表現が「〜のだ」だらけです。バカボンのパパじゃないんだから!」

 知人「えー、ひどい!」

 Falcon「ひどいのは、あなたの文章です」

 知人はカンカンになって腹を立てましたが、書きなおした結果、グッと文章が良くなりました。

 著者も指摘しているように、「〜のだ」を使うのは気をつけなければなりません。「〜のだ」総理には気をつけましょう。

 この本で「端的」という言葉を使っているのですが、「短く簡潔に」という意味で使っているようです。辞書によれば、「率直に」「明白に」という意味ですが、端には「末」「端っこ」の意味のほかに、「整う」という意味があります。「端正」「端麗」がその例です。「端的」は「短い」という意味は無く、「整った」という意味です。「端的」の意味については、以前、新聞のコラムを読んで、なるほどと思いました。

 新聞といえば、この本では毎日新聞の用例が多い。

 ところで、この本の参考文献にはあがっていませんでしたが、野矢茂樹著『論理トレーニング 新版』『論理トレーニング101題』産業図書も、接続詞と文章の関係を考えるのには最適です。石黒氏の考えとは若干異なりますが、両者とも、読めば、話し方、文章の書き方が変わります。





 名前でからかってしまって、野矢先生には申し訳ありませんが、こちらは「のや」先生です。

23:10:41 | falcon | comments(0) | TrackBacks