May 29, 2012

絶望という名のブラックホール

 NHKの番組『100分で名著』でカフカの『変身』が取り上げられていましたね。
 あの番組でも、カフカの研究家である頭木弘樹さんが登場していました。その頭木弘樹さんの著書の紹介を新聞で読んで以来、ずうっと気になっていました。



 読み始めました。
 もう止まりません。夜寝る前に枕元で読み始めると、没頭してしまいます。カフカの深く、暗い絶望に引きつけられて、耽溺してしまいます。まさに「絶望という名のブラックホール」です。

 カフカは父親に対して強烈な劣等感を持っていたようです。カフカは逞しい父親に「敗北」しています。

 その気持ち、すごく共感できます。
 Falconの父親は肉体労働をしていましたので、背は低かったのですが、屈強な体躯をしていました。それに人一倍苦労したので、生きる術に長けています。
 Falconは図書館職員を志した時に父親に大反対されました。カフカと同様に、父親に生き方を批判されました。
 自分と同じ境遇の人に出会うと、本当に共感してしまいます。
 ですが、昨年の春から、水泳教室に通い、ついでにトレーニング・ルームで鍛えています。胸が膨らんできました。筋肉がついたのです。

 以前、チェコ共和国の首都、プラハに行ったことがあります。
 プラハ城の中に、錬金術師たち住んでいたという家が立ち並ぶ、ファンタスティックな小道があります。その家の一つにカフカが住んでいたらしい。今は土産物屋になっていて、とても小さな家です。

 ちなみに頭木氏の著書はソフトカバーですが、装丁がハードカバーのようになっていて、「はなぎれ」がついています。「はなぎれ」とは、表紙と本体を接続している部分を隠すためにつけられた小さな布切れです。「はなぎれ」は、言わば、本の「下着」です。(ソフトカバーには「はなぎれ」はありません。つまり、ノーパンっていうこと)本の上と下についていて、小口の奥まったところを見てください。
 この本の「はなぎれ」は真黒です。表紙も真黒ですから、一瞬、気がつきません。指で触れて、「はなぎれ」があることに気が付きます。
 「はなぎれ」は出版社や装丁家の思い入れが現れます。


21:30:53 | falcon | comments(0) | TrackBacks