November 24, 2012

ぼちぼち図書部

 あの『暴れん坊本屋さん』の久世番子さんの新刊です。



 日本の文豪をなぎ倒しです。
 文学作品の意外な読み方に、え〜〜っの叫び声といや〜んのあえぎ声の連続です。

 文学部のある大学で教えることが多いのですが、それにしても、最近の文学部の学生は、ほとんど文学作品を読んでいません。それで「国語の先生めざしているんですけど」とほざく有様です。Falconの持論は、日本の国語教育が古典文学、小説・物語の類を読んできた国語教師によって堕落させられているなんですが、それにしても、文学部の学生が少なくとも著名な作家の作品を少しは読んでほしいなあと思います。先日、目録の演習で、石川啄木の『一握の砂・悲しき玩具』を取り上げたとき、「先生、これって、1作品のタイトルですか?」と尋ねられて、足がすくんで、めまいと頭痛が襲ってきました。文学部の学生で、いや、日本の大学の学生で、石川啄木の歌集を読んだことが無いというのは信じられなかったのですが、もういちいち驚くことが無駄です。

 Falconは高2まで理系少年でしたが、日本の古典文学作品の教科書に掲載された作品は鎌倉時代まで岩波文庫で通読しましたよ。
 心残りが夏目漱石の『吾輩は猫である』と谷崎潤一郎の作品をまともに読んでいないことです。

 で、10月下旬、全国図書館大会で島根県の松江市へ行きました。松江といえば、小泉八雲、ラフカディオ・ハーンですね(今の文学部の学生は、同一人物だとはわからないし、作品名も思い浮かばない)。実は、松江には志賀直哉、芥川龍之介ら数多くの文人が訪れています。
 でね、小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンは、水泳が得意で大好きだったようです。旧居の隣にある記念館の展示で知りました。Falconも水泳は下手ですが好きなので共感しました。ハーンはどんな泳ぎが得意だったんでしょうね。水着はどんな水着だったのでしょう。

 夏目漱石の『こころ』の冒頭、「わたし」と「先生」が出会う場面、鎌倉での海水浴なのを憶えていますか。

 「教科書で読むと、冒頭の場面がない!」

 そうですね、『こころ』といえば、ひたすら下宿の暗い話が続きますが、湘南・鎌倉の海岸からスタートする、意外にハイカラな小説なんです。『彼岸過迄』を読むと、当時のファッション・センスで登場人物の内面を細かく描写しているのに驚かされます。漱石が多くの人に読まれる理由の一つに、明治末期から大正にかけての比較的自由な雰囲気のトレンディ小説という側面があるからです。人間関係のドロドロは今の小説だって描いています。

 さて、ハーンは水泳だけでなく、鉄アレイで体を鍛えていたと事実にビックリしました。記念館には小村寿太郎から贈られた鉄アレイがあります。日露戦争後の外務大臣の小村寿太郎とは親しく、鉄アレイ友達、鉄友だったそうです。
 そういえば、胃弱な漱石も健康情報に敏感で、体を鍛えることに興味があったようです。この時代、平成の今と同様に、健康ブームだったですね。「筋トレ」がはやっていたみたいです。

 そう、筋トレといえば、今日、11月25日は三島由紀夫が自決した日です。

 民主党の鳩山由紀夫氏は引退するそうで。

 「由紀夫つながりかよ!、関係なさすぎ!、三島文学は永遠に不滅です」

 ついでに、小泉八雲の『怪談』の「雪女」は、東京都青梅市が舞台なんです。武蔵国調布村とありますが、現在の調布市ではありません。

 三島由紀夫→鳩山由紀夫→雪女と、ゆき、ゆき、ゆきつながりです。

 「ところで、Falconさんの本名は?」

 それは秘密。

23:01:02 | falcon | comments(0) | TrackBacks