January 23, 2011

モロッコに壺

 土曜日に放映された『美の巨人たち』は、北アフリカの3国、モロッコ、アルジェリア、チュニジア各地を旅したフランスの画家たちの足跡を訪ねる特集番組でした。モロッコ、アルジェリアを旅したドラクロア、ドラクロアの『アルジェの女』に惹かれてアルジェリアを訪れたルノアール、シディブ・サイド、カイラワンなどチュニジア各地を旅したパウル・クレイの、まさに北アフリカ、美の巡礼でした。
 Falconは、残念ながらアルジェリアは行ったことはありませんが、モロッコは1回、チュニジアは3回、旅したことがあります。

 マグレブ、アラビア語で「日の沈む地」を意味する国々です。

 今年、フランス、イタリア、オランダと旅して、ついでにチュニジアへ行きたいなあと思った矢先に、動乱が起きてしまい、チュニジアはお預けになりそうです。

 モロッコ、アルジェリア、チュニジアを旅すると、メディナ(アラビア語ではマディナ、単に[町」という意味だけど)という旧市街がある。その旧市街の一角にカスバと言われる地区がある。カスバとは、城塞とか、兵器庫とかを表す言葉で、アルジェリアの首都アルジェのカスバが有名で、世界遺産に登録されている。

 以前、モロッコのある街へ行ったとき、カスバに壺が置いてあった。日本の焼き物の立派な壺で、街の人の説明によると、江戸時代に幕府の大奥にいた人からもらった壺らしい。
 「えっ、でも、江戸時代って、鎖国だったでしょ! それで、どうして、ここに壺があるの?」って、尋ねたら、江戸初期、まだ外国との交流ができたころにもらった壺だという。「鎖国」と言われたのは幕末になってからで、実際には長崎などでは交易があったし、中国、つまり清朝や、朝鮮とも交易があったから、教科書で教わった「鎖国」というのも、正確ではない。徳川吉宗の時代には蘭学が盛んになったし、ベトナムから象が輸入されて、なんと長崎から江戸までやってきたこともあった。
 「じゃあ、その壺、誰からもらったの?」と尋ねたら、

 「カスバの壺ね、カスガのツボネ(春日局)!」

 誰だ〜、モロッコ人に変なダジャレを教えたのは!『ダーウィンが来た』のひげジイでも、こんな下手なダジャレは言わないぞ。

 モロッコの砂漠で、いきなり、ラクダに乗るツアーに誘われた時も、「ラクダは楽だ」と言われた。まったく、も〜う。

 ところで、大河ドラマ『江(ごう)』の後半で、春日局が登場するはずだけど、配役は誰になるのだろう。沢尻エリカかなあ。まさかね。

 全然関係ないけど、沢尻エリカさんのお母さんって、アルジェリア系のフランス人なんだって。ベルベル人の血をひく人らしい。本人よりも、お母さんのほうが役者が上だと思うけど。

02:08:26 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 21, 2011

チンプンカンブンな私

 カミングアウトします。

 「えー、やっぱり!、そうだと思っていたのよ」

 えっ、何を勘違いしているのですか?
 Falconは、実のところ、漢文が苦手です。

 「なあ〜んだ、そんなことか!」

 日本の古典文学を大学で学んでいながら、漢文は全くできませんでした。大学時代、必修科目で漢文学概説や漢文学演習を一応学んだのですが、たまたま「仏の〜先生」と異名をとる先生ばかりに当たったので、適当に勉強して、そこそこの成績を取って、卒業してしまいました。
 今、大学の教員をしていて、自分の学生時代を振り返ると、恥ずかしくて、みっともない成績を取っていたなあと思い、穴があったら入りたい気持ちでいっぱいです。

 「えっ、穴?」

 変な意味じゃありません。諺ですよ。そういえば、タイガーマスクの伊達直人が属していたのは、「虎の穴」でしたね。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という故事成語がありましたね。
 それはともかく、入学試験のシーズンのこの時期、急に漢文を学び直したくなりました。
 そこで、加地伸行著『漢文法基礎:本当にわかる漢文入門』(講談社学術文庫)を読んでいます。



 とても分厚い本ですが、予備校で発行されていた雑誌に連載された文章に加筆されたものなので、意外に読みやすく、厚さは気になりません。しかしながら、ブログのように冗漫な表現、ダジャレ、読者を愚弄するような語句(たとえば、「バーカ」)などがあり、手っ取り早く漢文について学びたい人には向きませんが、漢文を読むコツが丁寧に解説されています。大学、予備校、受験生に対するピリリとした皮肉、批判があって、ニヤニヤしながら読んでいます。

 ところで、来年は大正100年ですね。
 大正天皇と言えば、「病弱な天皇」と思われて、その人柄や才覚についてはあまり知られていません。以前、ブログに書き込んだかもしれませんが、大正天皇は歴代天皇の中では漢詩をたくさん残した天皇であらせられます。平安時代以降、多くの天皇は和歌を御製されて、漢詩を残したのは平安時代初期の嵯峨天皇が顕著とされています。明治天皇も昭和天皇も和歌を多くのこされています。明治神宮のおみくじは明治天皇と昭憲皇太后の御製の和歌ですよね。
 大正天皇の人柄については原武史著『大正天皇』(朝日選書)に書かれています。大正天皇の漢詩については石川忠久著『漢詩人大正天皇:その風雅の心』(大修館書店)に詳しく書かれています。厳格そのものだった明治天皇に比べ、大正天皇は気さくで庶民的であらせられたようでして、歴史にifが無いのは承知していますが、もし大正天皇が壮健で長寿であらせられていれば、激動の歴史も変わっていたかもしれません。
 大正時代が100年以上も前と思うと、いろいろと考えさせられます。

01:29:33 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 08, 2011

蟻族とフリーター

 正月、ドラマ『フリーター、家を買う』を全編ではないがところどころ見た。妹がジャニーズ系のタレントが出演している番組を欠かさず観ているので、感想を聞いたら、「お母さん役の浅野温子さんがうつ病になってしまって、話が暗いから、途中で見るのをやめた」と言っていた。もちろん、有川浩の原作であることは知っている。うむ、たしかに話は暗い。フリーターの経験のあるFalconにとっては、ちっとは共感できることもある。大学時代、発掘現場でアルバイトしたことがあるので、ネコ(土砂を運ぶ一輪車を意味する、土木関係者が使う隠語)で土を運んだこともあるから、主人公の二宮君がネコを倒して土をこぼししてしまう場面を見て、つい、ほろっときた。
 明るくシャキシャキしている役が多い浅野温子さんがうつ病の役をするのは無理な設定だったなあと思った。久しぶりの坂口良子さんが悪役とは、これもピンとこない。
 竹中直人さんの父親役と井川遥さんのお姉さん役はハマっていた。二人の演技で話がビシッとまとまっていた。原作は読んでいないが、ドラマの筋立ては良かった。
 母親が苛めから鬱になるのは、『ストーリーセラー』を思わせて、作家の心の暗部を見せつけられる。そのため、主人公が影になってしまう。心の暗部を見せつけるよりも、突き放して描いたほうが、話が味わい深く感じられる。

 ところで、例の『蟻族』を読み終えた。
 こちらも暗い話の連続だ。日本のフリーターに比べ、中国の蟻族は恐ろしく深刻だ。ほとんどが地方出身者で、最近になって急増した二流大学、三流大学、まさに下流大学出身者、そのため、北京などの大都市周辺の安いアパート暮らしをしている。地方の学校では優秀な成績で周囲からちやほやされた「秀才」も、大都市の大学では下流大学の末席を汚す程度にしかならない。大都市の生活にあこがれても、なじめない。安い賃金で働きながら、それなりの居心地の良さから、地方に戻れない。親元で就活に励む日本のフリーターよりもぐっと深刻な状況にある。
 しかしながら、中国の蟻族には、それなりのしたたかさがある。

 『蟻族』を読んで、エドワード・ファウラー著『山谷ブルース』(新潮OH!文庫)(品切れで、図書館で借りるか、古本屋で入手できる)を思い出した。どや街に住む低賃金労働者の哀愁を歌った歌のタイトルを付けた社会人類学の名著で、アメリカ人の若い研究者が描いた作品である。



 『蟻族』よりも、もっと暗い現実が描きだされる。読むと、しばらく気が抜けて、落ち込むかもしれないので、影響を受けやすい人は避けたほうが懸命だと思う。
 

04:02:16 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 04, 2011

呪い!

正月早々、ノロウィルスに感染してしまいました。
1日寝ていたら、いくらか改善しました。
皆さんも気をつけてくださいね。


20:09:55 | falcon | comments(0) | TrackBacks