August 18, 2010

司書養成のことも『ツボに訊け!』

 以前、女性のスポーツ着姿に煩わされないで、男性が安心して読めるツボに関する本がないと書き込んだことがあります。つまり、ツボのことを知りたいのに、女性の写真目当てに読んでいると周囲に誤解されるのが恥ずかしいんです。しかも、最近のツボの本は女性向けに書かれていますから、女性特有の症状を取り上げています。

 たまたま、職場の図書館でちくま新書で、比較的最近刊行された寄金丈嗣著『ツボに訊け!:鍼灸の底力』を見つけて、借りて読んでいました。村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』を思わせるタイトルだなあと思いました。
 この本は、「この症状に、このツボが利く」ということを事細かに解説している本ではありません。東洋医学のなかでも、鍼灸についての概説書です。著者は鍼灸に関する雑誌を発行していた経験があり、ジャーナリストの視点も持ち合わせて、日本の鍼灸界(?)を描き、また、東洋医学の真髄に迫ろうとしています。
 この類の本には読者を馬鹿にして適当な(いい加減なではなく、読者の理解度に合わせようとして)解説を書いているものも少なくありませんが、寄金氏は鍼灸の古典籍を示して、現代の読者でも理解できるように解説しています。

 圧巻は「バーチャル鍼灸体験」の章です。これだけ読んでも面白い。3軒の鍼灸院が登場して、著者の指令を受けたレポータ―(女性)が突撃取材したルポルタージュです。レポーターの目から見た良い鍼灸師の見分け方が説かれているのですが、しかしながら著者の立場は極めて慎重で、それぞれの鍼灸師の特徴を捉えて、事情を斟酌して、良い鍼灸師であるかは施術を受ける人が判断するべきであるとしています。このあたりは情報の判断においても示唆に富んでいます。

 これも以前に書きましたが、次のもので国家資格はどれでしょう。

 1.鍼灸師
 2.あん摩
 3.カイロプラクティック
 4.接骨医(柔道整復師)
 5.整体師
 6.エステティック

 答は1.2.4.です。

 1と2については「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」という法律が昭和22年に制定されています。図書館法(昭和25年)よりも古い法律です。法律の名前が長いので「あはき法」と略称で呼ばれています。一方、Falconも足底筋膜炎や怪我でお世話になっている接骨医、つまり柔道整復師には柔道整復師法(あはき法からわかれて昭和45年に成立)という法律があります。これら以外の3.5.6.には国家資格はありません。ましてタイ式マッサージには日本の国家資格はありません。しかし、ここが肝腎な点ですが、国家資格が無いからと言って、効果が無いというわけではなく、整体で腰痛がよくなったという話もよく聞きます。Falconもマッサージを受けたことがありますが、資格について尋ねたこともなく、気持ちよく感じ、効果があったと思いました。
 この本では鍼灸師の養成について巻末のほうで解説しています。養成教育に当たる人が比較的容易になれること、誰でも身につけられる技術的なことや西洋医学の知識に偏ってしまい、東洋医学の精神が見過ごされがちなことなどを著者は憂いています。
 読んでいると、司書養成、司書教諭養成についても言えることが散見できて、興味深かったです。

 資格があっても、資格が無くても、技術と知識を持っている人は確かにいます。

 さりながら、図書館に興味を持っている素人が専門家面して、説教してくると、腹ら〜あ立ちます。司書をなめたら、あかんぜよ!

 というわけで、結構、勉強になりました。残念ながら、即効性のあるツボは、この本では判りません。

 ちなみに不安を取り除くツボがあるそうです。左右の乳首を結ぶ線の中間に「壇中」というツボがあります。これが不安解消になるそうで、Falconは夜眠れないとき、「壇中」を軽く指圧しています。

01:09:45 | falcon | comments(0) | TrackBacks