July 13, 2010

読書活動−学校図書館=?

 ちょっと奇妙な数式を解いてみよう。

 読書活動−学校図書館=

 多くの場合、答は読書活動である。

 学校図書館とは何かいうと、判で押したように、「読書の場」という答えが返ってくる。実際、小学校の学校図書館の蔵書の大半が絵本と読書材(小説・物語)であり、中学校でも学校図書館の蔵書の3分の1以上が読書材であり、教科学習・総合的な学習に使える資料が少ない。
 ところが朝の10分間読書などの一斉読書を実施している学校では、児童・生徒が自宅から読書材を持ってくるように指導されていて、つまり学校図書館に児童・生徒が一斉に読書できるだけの十分な図書資料が無いので、学校図書館の読書材はほとんど使われない。自宅から持ってくるのを忘れた児童・生徒が学校図書館で本を借りる。いちいち自宅から持ってこさせるのが面倒な場合は、教室の後ろのロッカー、棚に「学級文庫」があって、近隣の公共図書館から団体貸出を受けた図書、自宅から持ってきた図書、学校図書館から持ってきた図書がある。なので、学校図書館とはまったく関係ないとは言わないが、一斉読書と学校図書館との関係は極めて薄い。もっとも、このブログを読んでいる先生、学校司書などの職員の方の学校図書館では、そんなことはないだろうけど、一斉読書を実施している学校の実践記録を見ると、学校図書館の蔵書を使っていない場合が多い。
 矛盾している!
 学校図書館=読書の場と言っておきながら、一斉読書では学校図書館の蔵書はほとんど使わない。しかも、文部科学省の学校図書館調査では、朝読を含めた一斉読書を学校図書館の読書活動としている。

 

 先日の東京国際ブックフェアではあまり収穫が無かったので、新宿の紀○○屋書店で『リーディング・ワークショップ』を買って、読み始めた。
 アメリカの学校での読書活動の実践方法をまとめた内容だが、学校図書館の話が見当たらない。全部詳細に読んだわけではないので、確実なことは言えないが、少なくとも目次の見出しには「図書館」の一言もない。
 ということは、アメリカでも学校図書館は児童・生徒の読書活動は関係が少ない。近隣の公共図書館から団体貸出された図書、子どもたちの家から持ち寄った図書、教員が準備した図書が「学級文庫」として置いてあれば、学校図書館が無くても読書活動ができてしまう。
 アメリカ合衆国は広大な国で、州によっては学校図書館が設置されていない学校の多いところもある。シュワちゃんが知事をしているカリフォルニア州の学校図書館の設置率が低いといわれる。

 パネルシアターも、ストーリーテリングも、読み聞かせも学校図書館とは無関係に行うこともできる。ボランティアの人に来てもらえれば十分だ。国語科で、読書の宿題を出せば、学校図書館と無関係にできる。著作権が消滅していれば、「青空文庫」で読めばいい。鴎外だって、漱石だって、龍之介だって、太宰だって、読める。学校図書館は要らない。

 よって、読書活動−学校図書館=読書活動という数式から、学校図書館=0という公式が導けるのである。

 だが、あきらめてはいけない。学校図書館は0ではない。いや、0であってはならない。

23:40:30 | falcon | comments(2) | TrackBacks