May 12, 2010

ムンダネウム

 東京大学の根本彰先生が学会誌に紹介していたのを見てはいましたが、興味がわかず、その書評を読まずにいました。しかしながら、ポール・オトレのことを調べていて、ムンダネウムについて知り、日本で翻訳が昨年、刊行されていたのに気付きました。



 訳語はそれなりに工夫されていて、読みやすかったと思います。100年近く前の人の考えを知るのは、少しばかり勇気がいりますけど。

 ポール・オトレと、著名な建築家のル・コルビュジェの壮大な構想と計画には舌を巻きます。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時代に、世界平和を希求した偉人たちの功績を私たちは忘れてはいけないと思います。

 そういえば、昨日、上野の国立西洋美術館へ行ってきました。
 フランク・ブラングィン展を見てきました。人が少なくて、ゆっくり見ることができました。ただし、二人連れで、一人のおばさんがくだらない批評のようなおしゃべりをしていて、たまらなく耳障りでしたが、こういう人はどこにでもいますから、堪え忍ぶしかありません。ベルギー系のイギリス人なので、ウィリアム・モリスの影響を受けているし、ベルギー王立美術館で見た幻想的な絵画の影響もあり、構図は日本の浮世絵・版画の影響も考えられて、いろいろな見方のできる画家だなあと思いました。
 常設展を駆け足で見ました。松方コレクションは優れていると痛感します。パリやロンドンの美術館へ行く前に、一度は上野で予習してから行くべきですね。いきなり、ルーブル、オルセー、ロンドン国立絵画館へ行っても消化不良になるだけです。
 で、なぜ、ムンダネウムに関連して、国立西洋美術館なのかというと、国立西洋美術館はル・コルビュジェの設計なんです。

 あっ、思い出しました。パリ郊外のクラマール市にあるLa joie par les livres本の楽しみ図書館とでも訳すのか、わかりませんが、あの図書館の建築はル・コルビュジェの弟子の建築家によるものです。円筒形の建物が寄せ集まった建て方をしています。
 ちなみにネットで調べたら、クラマールの本の楽しみ図書館は、2008年からフランス国立図書館の組織の一つになったんですね。国立国会図書館の国際子ども図書館みたいな関係ですね。
 以前、クラマールのLa joie par les livresへ行ったことがありますが、住宅地の中にある小さな図書館でした。フランスの児童サービスの歴史を考える上では、パリにある「たのしいひととき」図書館と並んで、重要な図書館です。ル・コルビュジェと美術館、図書館の関係は深いですね。

00:50:23 | falcon | comments(0) | TrackBacks