May 01, 2010

世界図書・著作権の日

 著作権について質問がありましたが、思えば4月23日はユネスコが定めた世界図書・著作権の日でした。ぼーっとしていて、忘れていました。

 これまでも、たびたび取り上げてきましたが、学校現場では「著作者を尊敬する、敬うために、引用のときに参考とした文献を示す」という誤った著作権教育を行っている先生が多いようです。
 また、以前、ある出版社で刊行されていた大学用のテキストで、「著作権侵害で膨大な罰金(注・科料)を支払うことよりも、著作者の気持ちを大切にするように教育したい」「人格権の立場から、著作者を敬うことが大切である」という主旨の説明がありました。
 そのため、いくら講義で説明しても、試験の時に誤った解答を書く学生がいて、大変困ってしまいました。試験で不合格になった学生に説明すると、「この本に書いてあることが、先生は間違いだと言うんですか!先生の説明が間違っていると思います。先生には教える資格はありません!」とまで言われたこともあります。そのテキストの執筆者は、法律の専門家ではありませんでしたから、「責任は出版社にあります」と言い逃れされても致し方なかったのですが、誤解を生む説明をテキストに書かれると迷惑です。
 なので、非専門家が専門家の振りをして説明することは、害悪に等しいと思います。それから、テレビ番組に出演している弁護士さんが著作権に関して本を書いたと言うので、書店で買い求めたところ、現行の著作権法と異なる記述がいくつかあり、驚いたことがありました。おそらく、ゴーストライターが書いて、タレント弁護士さんが監修して出版したのでしょう。

 日本の著作権法の著作者人格権は公表権、氏名表示権、同一性保持権であり、著作者が尊敬されて、敬まわれるための権利ではありません。精神的な利益、声望を保護する権利です。また、引用の時に出所の明示をするのは、引用される側の表現を対等の立場で尊重するためであり、外国の著作権法における「リスペクト」も尊敬の意味ではなく、あくまでも「尊重」という意味です。槇原敬之氏にマンガのセリフを盗用されたと訴えた松本零士氏が、「著作者を敬う気持ちがあれば許す」という主旨の発言をしたことがあります。これも著作権の専門家からは、「著作権は財産権の問題です」ときっぱりと否定されました。要するに、このブログでたびたび取り上げましたが、「尊敬するより、金をくれ!」というのが著作権です。

 それから、マンガや絵本の一部をコピーして、教室の児童に配り、子どもたちが考えたセリフを書きこませる指導をしていた先生がいて、その実践を紹介することがあり、「著作者人格権の同一性保持権を侵害します」と指摘したことがあります。このときも、「法律の専門家でないあなたに指摘される謂われはない!」と御叱りを受けました。たしかに弁護士ではないFalconが指摘する謂われはありませんが、現行の著作権法に照らして、明らかに著作権侵害ならば、注意を喚起する意義はあると思います。

 いわゆる図書館の取り巻き(ボランティアと称する人たち)が、新聞記事などを複製してPDF文書で添付して、電子メールで送信してくることがあり、「公衆送信権を侵害しませんか」と指摘したところ、このときも御叱りを受けました。しかし、説得をして、新聞社・雑誌社へ許諾を得るように勧めました。著作権の制限外の目的で著作物を使用する場合は、権利者に許諾を得る必要があります。

 著作権に関しては今後も学び、責任のある発言をしてゆきたいと思っています。

08:45:49 | falcon | comments(0) | TrackBacks

スズラン祭り

 5月1日は、フランスではスズラン祭りですね。
 道行く人がスズランの花をを胸のポケットなどに挿しています。

 いつもだったら、東京はスズランの季節を過ぎてしまい、花屋へ行っても「スズランなんて、ありませんよ」って嗤われてしまいますが、今年は4月が寒かったので、東京はちょうどスズランの季節です。今年はスズランの花を楽しみましょうか。

00:11:47 | falcon | comments(0) | TrackBacks