February 27, 2010

英国の学校図書館で職員配置の請願

 2月2日のカレントアウェアネスによれば、英国の図書館・博物館・文書館国家評議会MLAとナショナル・リテラシー・トラストNLTがイングランドにおける学校図書館の制度に関する委員会を設置するそうです。
 さらに2月16日のカレントアウェアネスによれば、図書館・情報専門家協会CILIP(旧・英国図書館協会Library Association)が学校図書館で専門職員の配置をブラウン首相へ請願したようです。

 英国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの地域の「連合王国」なので、地域差があり、学校図書館事情を一言で語るのは大変面倒です。
 1988年の教育改革法に基づく1989年のナショナル・カリキュラムによって、全国学力テストが実施されて、「教育の市場化」が進みました。生徒たちの成績によって、学校が序列化されて、先生たちの業績が査定がされるのです。となれば、教科教育が強調されて、学校図書館の資料とインターネットの情報などを活用した教育を推進しようとしていながらも、かつてのようなトピック学習が行えなくなっていて、学校図書館の活用が少なくなっていました。
 また、日本のような司書教諭は少数で、いわゆるSchool librarianがいます。School librarianは自治体の職員、つまり市、カウンティの職員で、複数校を兼任することが多く、各学校を巡回して業務をこなしています。日本の学校司書と似ていると思われていますが、養成はポスト・グラジュエート(大学卒業後教育)で行っており、教育職より給与は少ないものの、正規職員です。英国の教育職は小学校の中堅教員で、日本円で年収300万円から400万円です。日本に比べると低いです。だからSchool librarianの給与はさらに低い。

 アメリカ合衆国ではスクール・ライブラリー・メディア・スペシャリストを各学校少なくとも1名配置することを求めるSKILLS法案が上程されているところです。

 アメリカ合衆国、英国での動向は、日本の学校図書館に影響を与えるでしょう。

10:35:12 | falcon | comments(0) | TrackBacks