September 08, 2009

『おびただしい人々』

 今回、ミラノで再会を果たした絵画があります。

 その前に。
 往年の映画ファンなら、知っていると思います。『暗殺のオペラ』『ラスト・エンペラー』で知られるイタリアのベルナルド・ベルトルーチ監督の『1900年(Novecento)』。
 第一次世界大戦前後から第二次世界大戦終了までのイタリアの歴史を壮大なスケールで描いた5時間以上の上映時間の超大作です。出演する俳優陣も空前絶後ともいえる豪華な顔ぶれです。
 思いつくだけでも、ロバート・デニーロ、ジェラルド・ドパルデュー、ドミニク・サンダ、アリダ・ヴァリ、ドナルド・サザーランド、バート・ランカスターなど、欧米を代表する名優たちの絢爛たる共演でした。
 Falconが観たのは大学時代と大学を卒業してからかなあ。第1部と第2部に分かれる5時間を超える超大作で、上映する映画館も極めて少ないのです。1日に上映できる回数は限られますし、観客は5時間以上固定されますから、1日の観客動員数が極端に抑えられて、映画館の採算が取れません。
 この当時、マハトマ・ガンジーの生涯を描いた『ガンジー』という上映時間の長い映画もありましたが、インド映画を除いて、一回に上映される欧米の劇場用映画の中では、『1900年』は破格の長さです。
 それはともかく、イタリアの大土地所有農家の没落からファシスト台頭、第2次世界大戦の終結までの歴史絵巻が描かれた大作です。

 実は、この映画の最初に出てくる絵を、ミラノのブレラ絵画館で発見しました。ジュゼッペ・ペッリッツァ・ダ・ヴォルペドGiuseppe Pellizza da Volpedoの『おびただしい人々』です。農民たちが堂々と行進する姿が描かれています。
 まさか、懐かしい映画の冒頭に登場する絵画と出会えるとは思いもよりませんでした。

06:34:34 | falcon | comments(0) | TrackBacks

ミラノのカエル

 レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『最後の晩餐』が残された、ミラノのサンタ・マリア・デラ・グラッツェラ教会の中庭の池には、4匹のカエルの口から水が噴き出す噴水があります。
 おそらく、『最後の晩餐』を観おえて、さっさと教会を後にする人が多いから、4匹のカエルの噴水なって気にも留めないでしょう。そのユーモラスな姿に、ふと心がいやされます。お見のがしなく。

 実は『最後の晩餐』を観るには予約が必要ということに気がついたのは、出発の1日前でした。ミラノへ行くのに、『最後の晩餐』が観られなかったら、全く意味がありません。ガイドブックの情報をもとに、インターネットで予約をしようと思ったら、公式ページは8月中、一時中断していました。そのため、業者のページでも予約ができませんでした。
 そこで、ミラノ到着の翌日、ホテルの朝食を食べ終え、地下鉄でカルドネ駅へ直行、教会を目指しました。ミラノは曲がりくねった道が多く、道の名前が長い(人名が多い)ので、地図を見ても、わかりにくかったです。道しるべも少ないので、少し迷いました。
 やっと教会へ到着。チケット売り場へ飛び込むと、すでに「Sold out」の表示がありました。予約券を握りしめた人が列を作っています。(ダメでもともと、聞くだけ、聞いてみよう。もし観られなかったら、またいつかミラノに来ればいい)と内心、あきらめて、英語でチケット購入が可能か?尋ねてみました。
 「問題ありません。5分待ってね」
 チケットが購入できました!
 5分待っていると、ガイドの人が現れて、古い食堂へ導いてくれました。

 見学はきっちり25分です。『最後の晩餐』の反対の壁に書かれた『キリストの磔刑』もなかなか見ごたえがありました。
 8月の後半の土曜日で、ハイシーズンを少し外れた時期、朝早かったので観ることができました。できれば予約したほうが確実です。旅行業者へお願いしてみるのも一つの方法です。それがだめなら、当たって砕けろでチャレンジしましょう。

 さて、ミラノでは3つの絵画館を観ましたが、最後に訪れたアンブロジーナ絵画館で、宗教画の中でカエルがひっくり返っている絵を発見しました。あまり日本では知られていないでしょう。よほど注意しなければ、カエルだと気がつきません。
 図像学的に考えて、何か意味があるのでしょうか?

 ミラノでは色々発見しました。それは、またあとで。



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