September 23, 2009

カッター家

 イタリアから帰国してから、しばらくして仕事で北海道へ行っていました。

 「イタリアへ行って、そのあと北海道へ?!うらやましいけど、体力、保つの大変じゃない?」

 まあまあ、そのへんは大丈夫です。水泳しているので、見かけよりも、筋肉あります。体力と気力には自信があります。

 そんなことよりも、仕事の帰りに北海道大学の総合博物館に立ち寄りました。
 北海道大学の前身の札幌農学校へやってきた若き解剖学者ジョン・クラレンス・カッターJohn Clarence Cutter(1851-1909)の写真の展示を見た時、展開分類法や辞書体目録規則で知られ、ボストン・アセニアム図書館の館長を務めたチャールズ・エイミー・カッターCharles Ammi Cutter(1837-1903)の親戚ではないかと思いつきました。ともにマサチューセッツ州の出身です。チャールズ・エイミー・カッターには息子が何人かいましたが、そのうち2人は早世しています。なので、John Clarence Cutterは息子ではないと思います。
 肖像写真を見ていますと、二人とも額の秀でた面長な顔立ちです。John Clarence Cutterのほうが男前かな?

 もし、何か情報をお持ちのかたは、コメントください。

09:55:07 | falcon | comments(0) | TrackBacks

ミラノから『アニメの殿堂』を考える

 ミラノ到着の翌日、『最後の晩餐』を見に行って、ミラノの美術館をぶらぶら観て歩いていた。
 アンブロジーナ美術館を探していたとき、トリノ通りでFNACの看板を発見した。「えっ、FNACって、フランスの総合書店じゃなかったけ?」Falconはパリへ行くと必ず立ち寄るフォーラム・レ・アールの地下街にあるFNACだ。辻由美さんの『読書教育』(みすず書房)でも登場する。
 実はFNACはフランスに本店あるが、イタリア、ギリシア、スイス、スペイン、ポルトガル、ブラジル、東アジアでは台湾に支店がある。

 さっそくアンブロジーナ美術館の見学を終えて、FNACへ行った。オーディオ製品やCD、DVDなどの音響・映像メディアが主力製品だけれども、最上階に書店があった。フランス語の本が多いのかなと思ったけれども、やはりイタリア語の本が多い。
 BD(バンド・デシネ)やマンガはあるかなと探したら、児童書のコーナーにあった。いくつか見ていたら、Perche ho ucciso Pierre(Percheの最後のeにアクセント記号がつく)というBDが目についた。早稲田大学でのBDシンポジウムで紹介されていた気がする。
フランス南西部のアングレーム市で開催される国際バンド・デシネ祭で2007年のPrix du publicとPrix essentielを受賞したPourquoi j'ai tue Pierre(過去分詞tueの最後のeにアクサン・テギュが付く)のイタリア語訳だ。著者の一人Olivier Kaはレバノン出身だ。
 イタリア語のPercheは、「なぜ」(理由・原因を尋ねる疑問詞)と「なぜならば」(理由・原因を述べる文の前につける)の意味を持つ。つまり英語のWhyとBecause、フランス語のPourquoiとParce queの両方の意味がある。だからイタリア人の会話を聞いているとペルケ、ペルケと頻繁に使っている。イタリア語の題名から正確に訳すのは難しいが、フランス語の題名を見れば、「ピエールを殺した理由」と訳すことができる。BDの文章を訳すのは、一見やさしそうに見えるが、かなり難しい。日本のコミックの吹き出しを外国語に訳すのは難しい。なにしろ、文法の教科書どおりの言語表現と限らない。

 話題は変わるが、「アニメの殿堂」の正式名称、「国立メディア芸術総合センター」の建設が、川端文部科学大臣の発言によって、中止されるようだ。
 これは極めて残念な結果だ。
 フランスの国立バンド・デシネセンターは世界中から注目を集めている。フランスだけでなく、日本のマンガ・アニメは世界中の関心を集めている。その日本にマンガ・アニメを研究して、広く見聞を深める博物館・美術館・図書館を一体化したメディアセンターが無いのは、恥ずかしいの一言に尽きる。
 麻生首相が補正予算に盛り込んだことからアニメの殿堂は誤解を浴びているが、もともと以前の政権で計画されていた。鳩山さんは自民党が始めただけの理由で、「アニメの殿堂」をひたすら毛嫌いしているが、いつまでも野党根性をむき出しにするのは、もういい加減してほしい。責任のある政権与党の首相になった自覚が無いのだろうか。
 補正予算で建ててほしいなんて、国民も思っていない。それこそ、PFI、指定管理者制度、市場化テストでも、すべて国家予算を使わなくても、経営する手法はいくらでもある。図書館に導入せず、この「アニメの殿堂」に導入すればよい。入館料はしっかりとれるし、高価な美術工芸品を展示するよりも、ずっと安上がりで経済効果が高いことは、素人でもわかる。

 日本でも国際漫画祭を開催して、欧米だけでなく、アジア・アフリカ・中南米の漫画家を発掘して、評価できるようにしたい。
 そのためにも「アニメの殿堂」の建設を早計に廃案にするのは、軽率そのものであろう。


00:10:17 | falcon | comments(1) | TrackBacks