July 09, 2009

クレーマー・スチューデント、怒鳴るスイマー、信頼回復へ

 今日1日は心のドラマが起きた。自分でもどのように表現したら、良いかわからない。他の人には共感しにくいことかもしれないが、気ままな日記なので、書き綴ってみよう。

 非常勤先の先生から連絡を受けた。前回、講義時間終了後、数分伸びた。さっそく、学生の一人が事務局に駆け込み、遠い講義棟へ行くため、次の時間に遅刻して、迷惑したと訴えたようだ。いつも講義が伸びているのかという確認だった。確かに前回は伸びた。ぎりぎりまでしたことはあるが、ほとんど5分前に講義を終了している。
 人数の少ない講義なので、誰がクレームを言ったか、おおよそ見当がつく。講義後、いつもクレームを言ってくる学生がいる。態度が目に余るので、注意したことがある学生がいる。発表課題で不備があったので指摘した学生がいる。これらの学生の誰かがクレームを言いに行ったに違いない。
 今の学生は講師が質問して答えられないと「恥かかされた、私にわざと難しい質問をした」とひどく傷つく。深刻な場合は、親が大学当局へ訴えてくる場合がある。モンスター・ペアレントだ!大学でも、モンスター・ペアレントは苦情を言ってくる。驚くべきことだが、モンスター・ペアレントが北海道や九州などの遠方からわざわざ上京してくることすらある。
 Falconは居眠りしている学生を起こしてあげる。注意するのではない。講義を聴いてほしいから、起こしてあげる。ところが、注意されたと勘違いして、事務局へ訴える学生がいる。

 これは某女子大の学生が通学で多く乗るバスの中で聞いた話だが、クレーマー・スチューデント(←実にいい加減な和製英語であることは承知の上なので、英語に詳しい人は上げ足を取らないでほしい)が、「あたし、いちいち講義中注意する、ムカつく先生をこれで3人辞めさせたかなあ、1人はうつ病になって、大学に来れないみたい」と自慢げに語っていた。
 彼ら、彼女らは、講義の合間に大学の事務局に駆け込み、授業中気に入らなかったことを訴えに行く。かつて、事務局の窓口で、講師に注意されたのが気に入らないと喚き散らし、取り乱す学生の姿を見かけた。
 大学側も、貴重な財源なので、たとえ一人でも学生が訴えに来ると重大に受け止め、講師を呼びだし、苦情があったことを伝える。場合によっては、学生にどんなに非があろうと、教員は「問題講師」のレッテルをはられ、教授会の俎上に上る。
 クレーマー・スチューデントは上記の女子大の学生のように常習化する。一度でも訴えが認められると、癖になるようだ。講義では権威をもって輝いている大学教員を一気に惨めな人間に貶められる、うまくいけばホームレスにすることもできる。これは無上の快感だろう。あくまでも噂だがクレーマー・スチューデントの毒牙にかかり、辞職に追い込まれたり、ストレスからうつ病で苦しむ教員がいたことを知っている。
 しかし、学生の側にも陥穽がある。常習化すると、大学当局も学生に目をつける。事務局の職員の人も「先生、いつもの学生ですよ」と声をかけてくれる。なので、このブログを読んだ学生諸君、くれぐれも些細なことで講義の苦情を言いに行くのは常習化しないようにしてほしい。いくら事務局の人が受け入れてくれても、「人を呪わば、穴二つ」だ。自らの身の破滅を招く。
 こうなると「最高学府」と謳われた大学の権威も地に落ちたものだ。大変優秀な教員でも、些細な講義中のトラブルで、人生の歯車が食い違う。

 と、午前中は絶望的な気持ちに陥った。

 気分を紛らわそうと、午後は東京体育館のプールで泳いでいた。
 低速のレーンで泳いでいたら、追い越しを監視員に注意された人が怒り狂い、喚き、怒鳴っていた。「なんだ、おまえ、追い越ししてなんかないぞ、なんだ、その態度は」文字にしてみると、大声で怒鳴っている迫力は伝わらないだろう。
 せっかく気分良く泳いでいたら、一気に急降下。
 プールの監視員も、色々な利用者を相手にするから、大変なんだなあと共感してしまった。

 夕方、別の非常勤先の大学へ行った。
 今日はまとめと目録の演習を行った。
 普段は講義をまともに聞いていないと思っていた学生が、驚くほどノートへ綿密に書き込み、熱心に講義を聞いていたことが判った。また、こちらが恐ろしくなるほど、的確な質問を演習の時間に連発する。
 これで一気に気分はバラ色!
 思えば、苦情を言っている学生は数十人の中の1人か、2人だ。授業アンケート以来、学生たちに対して疑心暗鬼になりすぎていた。
 多くの学生は講義に満足し、非常に熱心に聞いていたことが、良ーくわかった。
 改めて学生たちを見直した。彼らの多くがFalconの講義を真剣に聞いていてくれた。学生たちを信頼する気持ちで一杯になった。彼らの自分勝手な言い分を笑って許せる気持ちのゆとりを得た。

 教員をしていてよかったと思える一日だった。

23:06:35 | falcon | comments(0) | TrackBacks