July 15, 2009

『おもろさうし』は民謡か、歌謡か

 沖縄で中世から近世(16〜17世紀)に成立した『おもろさうし』を国立国会図書館NDL−OPACで検索すると、日本十進分類法新訂9版によって388.9199に分類されている。388.9民謡.わらべ歌に、-199沖縄県の地理区分を付与して、沖縄県の民謡になっている。
 ところが、日本十進分類法新訂9版の9類文学の91日本文学の詩歌には、911.6歌謡とあり、「*おもろは、ここに収める」と書かれている。
 『おもろさうし』は、日本の和歌とは異なる、琉歌という形式でつづられた歌謡集である。和歌と同様に、長歌と短歌もある。やはり、『おもろさうし』は911.6歌謡に分類するのが妥当であろう。

 国立国会図書館のNDL−OPACの分類が間違いかと言うと、間違いと決めつけることもできない。
 そもそも国立国会図書館の分類に排架法では、日本十進分類法を採用していない。国立国会図書館分類表を用いている。国立国会図書館では蔵書が膨大にあるので、日本十進分類法では資料を個別化できない。NDL−OPACで日本十進分類法を示しているのは、公共図書館、大学図書館、学校図書館、一部の専門図書館で書誌情報を参照するときに参考となるように示している。また、日本十進分類法に慣れた利用者のために示している。
 だから、日本十進分類法新訂9版に従わなくても、国立国会図書館では問題ない。
 国立国会図書館の分類は参考にはなるが、そのまま各図書館の分類として採用する前に注意したい。

 目録・分類作業は実際の図書館では軽視されている。委託職員や派遣職員に分類をさせているところがある。しかしながら、目録も分類もわからないと、レファレンスなど図書館のさまざまな仕事はできない。
 もちろん資料に関する広範な知識が無ければ、司書を名乗るのもおこがましい。
 そのために目録や分類の講義で資料に関する知識を伝えようと努力しているが、受講生たちには講師の自慢話にしか聞こえないようだ。もっとも目録・分類の先生は、図書館サービスや情報検索を語る先生たちよりも、毛嫌いされる。悲しい現実だけれども。

23:17:01 | falcon | comments(2) | TrackBacks