April 06, 2009

フランスの歩き方:カルナック

 3月30日日曜日、カルナックCarnacへ行った。
 ヴァンヌからキブロンQuiberon行きのバス(1番)に乗った。カルナックまでは6.9ユーロ(2009.3.30現在)。親切そうな運転手さんだった(運転は結構、派手だったけど)。
 ヴァンヌ〜キブロン間のバスは、日曜日、往路1本・帰路1本しかない。乗り遅れたら大変。ヴァンヌからカルナックへ行くなら、月曜日から土曜日のほうがはるかに本数が多い。確実にバスの本数が多いのがオレーAuray〜カルナック〜キブロン間、ヴァンヌからのバスもオレーを通り、日曜日でも3本ある。
 フランスはRond pointが多い。正確には異なるようだが、Rond pointとはイギリスで頻繁に見られるRound aboutのことである。林望さんのエッセイで知った人も多いと思うけど、フランスにも類似のシステムがある。Falconは疲れていたためか、このrond pointで久しぶりに乗り物酔いしてしまった。
 ヴァンヌ・オレー方面からのバスはツーリスト・オフィス前を通過する。
 (もしかして、あそこで降りるはずだったのでは?)と不安に駆られる。そのうちにバスが広い駐車場の近くの停留所に止まった。
 「カルナック」と運転手のおじさんが呼びかけてくれる。
 「ここ、本当にカルナックなの?」
 「そうだよ、まちがいないよ」と微笑む。
 不安を隠せず、バスを降りた。
 やがて、観光客らしき人たちがやってきたので、後をついて行った。
 遺跡へは、バスが来た道を戻り、二股に分かれた道の左を選択する。緩やかな上り坂になり、やがて教会が見えてくる。その教会の前が、遺跡のある中心地のツーリスト・オフィスだが、この日は休み。フランスはカトリックの国で、安息日の日曜日は店なども閉まっていて、観光地でも閑散としていることが多い。電車やバスの便も極端に減るので要注意。
 先史時代考古学博物館(入館料5ユーロ)は開館していた。ここは見学するべきところ。グループにはガイドがつき案内してくれる。フランス語がわからない人のための案内書を借りることができる。でも日本語はない(→じゃあ、意味無いじゃん→まあ、しかたない)。ツーリスト・オフィスが休みでも、ここで遺跡の地図をゲットしよう(キーフレーズ:アン プラン スィルヴプレ 地図ください)
 ここから北へ延びる道をひたすら歩く。ツーリスト・オフィスの脇を北に向かう道のほうが静かで、徒歩15分ほどでメネック巨石群のど真ん中に到着する。遺跡の石の上には乗ってはいけない。危険なだけでなく、遺跡を傷つけるからだ。
 人の背丈以上もある巨石が原野にニョキニョキと立っている。不思議で夢の中にいるような幻想的な光景だ。
 メネック巨石群から東へ向かうとケルマリオ巨石群にたどりつく。石を組み合わせた墓石のようなドルメンもある。ケルマリオ巨石群には、古い風車小屋の跡が展望台になって残っている。風車小屋と言っても上部は崩壊して、筒状の見張り台のようだ。階段を上ると巨石群の荒野を見渡すことができる。階段は揺れて、妙にスリルがある。
 ここには公衆トイレがある。もちろん男子トイレしか使わなかったし、女子トイレはのぞいていないが、アルジェリア式トイレを発見!フランス人はトルコ式とか、アジア式ともいう。いわゆる、しゃがみ込んで用を足す和式便所のことだ。しかしながら、金隠しはない。丸い便器の中央に孔があり、その孔を挟むように足をのせる飛び石のようなものがある。用を足して、水を流すと、丸い便器に水があふれる。運が悪いと、濁流の中に取り残される羽目になる。用を足すときには十分注意したい。マダム・ピッピもいないので、無料。ご安心を。
 巨石群の点在する道には、レストラン、カフェ、土産物屋があるので、原野とはいえ、不安になることはない。
 沼を通り過ぎるとケレスカン巨石群だ。ここまでが巨石群の連なる道だが、3,000以上もある遺跡を全部見るのは無理。レンタル自転車か、レンタカーで探索するのが賢明であるが、17時過ぎまで帰りのバスが来ないので、Falconはじっくり巨石群の道を歩いた。良い運動になった。
 さて、まだ時間がある。そこで海岸沿いの道に向かった。
 朝、バスが通過した海岸沿いのツーリスト・オフィスを目指した。教会からは20分らい歩く。
 ちょうどこの日は明け方に夏時間に切り替わった。そのため、16時でも、まだまだ日が高い。前日の15時と同じだから。
 まだ、時間がある。海岸まで行った。ツーリスト・オフィスからは、早足で3分もかからない。
 カルナックは夏は海水浴客が集まる避暑地としてにぎわう。
 ゆるやかにカーブを描く海岸は本当に美しい。愛を失いかけた男女が心の触れ合いを取り戻そうとするフランス映画の一シーンのようだ。フランスの女性歌手パトリシア・カースの『ホテル・ノルマンディ』を口ずさむ。


 『ホテル・ノルマンディ』は『永遠に愛する人へ』に収録。

 ノルマンディ地方の海岸は、こことは正反対の位置なんだけど。水平線のかなたにヨットの帆が整列している。春の豊かな日差しが降り注いでいる。
 カルナックへ来たら、遺跡だけでなく、海岸も忘れないように。
 

21:46:23 | falcon | comments(0) | TrackBacks

番外編 : 川崎へ ラッキーナンバー85

 4月5日日曜日、うららかな陽射しに誘われて、川崎大師へ行った。
 京急川崎駅で電車に乗り込むと、車内はフランスへ逆戻りしたかのように外国人の比率が高い。英語、ドイツ語、スペイン語、中国語、エトセトラが飛び交う。
 「ねえ、あそこへ行くの?」
 「ああ。君は初めてかい」
 「ええ、あなたは行ったことあるの?」
 「去年」
 みんな、含み笑いで会話していた。

 実は、毎年4月第一日曜日に金山神社のかなまら祭りが開催されている。
 川崎大師駅の駅前は、大変な人だかり。
 若宮八幡宮に参拝する。境内にはお囃子が鳴り響いている。
 境内に集まってくる人は、ご神体をかたどった飴をペロペロなめている。境内で祭りの模様をアナウンスする人が「境内の外では、なめないようにお願いします。ここだけですよ、なめてもいいのは!」電車の中では、恥ずかしくて、なめたくなっても、なめられないよ。
 1月のブログにも書き込んだけど、若宮八幡宮に併設されたのが金山神社。金山神社は、どちらが本来なのか、わからないけど、一応、鍛冶屋さんをはじめとした金属加工業者の守り神であり、安産祈願、家内安全、エイズなどの疫病退散の神である。
 それほど広くはない境内に所狭しと屋台が出店している。野菜コロッケと海老フライを買って頬張った。どちらも100円。安くて、おいしかった。
 昼過ぎに、御神輿が戻ってきた。迎え囃子が高鳴ると、町内を練り歩いた御神輿が戻ってきた。大勢の人が車道をはみ出し、懸命にシャッターを切る。屋根の付いた御神輿の中には黒々とした雄々しい御神体が、その次には「エリザベス様」という異名のあるピンク色した御神体、もう一つ屋根の付いた御神輿の中にチン座する御神体が鳥居をくぐってゆく。御神体にはそよ風に吹かれて散った桜の花びらが降りかかる。
 御神体は「ポルトガル語で85」である。

 「えっ、なんだい、そのポ、ポ、ポルトガル語の85って言うのは?! この〜、もったいぶった言い方しやがって」

 えっ、御神体のことを聞くの? イヤ〜ン、恥ずかしくて答えられないじゃない。とにかく、ポルトガル語の85よ!

 折角来たのだから、川崎大師にもお参りした。
 ちょうど4月1日から8日まで、お釈迦さまの生誕を祝う「花祭り」で、本殿前の小さなお釈迦さまの像に甘茶を掛ける。願を掛けて祈った後、甘茶を頂く。
 おみくじに、またチャレンジした。
 出た番号は八十五番。
 
 大吉だった。

 作り話じゃないよ、八十五番は大吉なんだから。やったー、チェインジだあ。

 さて、フランスから帰国して疲れもピークだが、気分も一転。

 川崎駅に戻り、川崎市立川崎図書館に立ち寄った。そういえば、『図書館危機』で問題を起こした砂川一騎が配転されたのが、川崎の図書館だったっけ。変なことを思い出してしまった。
 チェインジ、チェインジ、忘れましょう。




00:13:46 | falcon | comments(0) | TrackBacks