April 26, 2009

図書館で雇用形態が多様化した理由

 今、公立図書館に限らず、大学図書館でも、学校図書館でも、派遣職員、委託職員、嘱託職員、臨時職員、アルバイトが増えている。そして国立国会図書館でも、窓口業務、書庫内出納業務の一部を民間企業に委託している。

 この厳しい雇用状況の中では、仕事を捜している身にとって藁でも掴みたい気持ちがある。否、図書館の雇用市場は、30年前も、20年前も、年間約1万人が司書資格を取得しても、正職員として就職できたのは数パーセントという悲惨な状況だった。やっと、仕事を見つけても、アルバイトしかなかった。

 本来なら、資格を得たのだから、それに見合う専門職がなければ意味がない。資格を得ても、できる仕事はアルバイト程度では、話にならない。

 Falconも厳しい状況の中で図書館関係の職場でフリーターを経験してから、大学院に進学した。何も経験しないで、高いところから発言しているのではない。

 図書館の仕事を誰でもできると思いこまれてしまったのではないか?この人たちに責任があるというわけではないけど、専門職でないとできないという認識が世間にない。
 もう一言、言わせてもらえれば、図書館の熱烈な利用者、言わば「取り巻き」が「私たちのほうが詳しい」と言わんばかりに乗り込んでくる事例がある。こうした人たちの参入を拒むことはできないが、彼らの行き過ぎた態度と行動を専門家は制御するだけの力を持つ必要があると思う。つまり、プロとアマチュア、玄人と素人の線引き、区別をする必要がある。

 これだけは言っておきたいが、図書館の仕事は誰でもできるものではない。貸出や読み聞かせにしても、全く知識がなくできる単純な仕事ではない。
 だから資格を安売りしてはいけない。
 かつて、国鉄が解体した後、元・職員が図書館に配置されたことがあったように、自衛官を退職した人が図書館に配属されることも全く絵空事とは言えない。

 去年、警告したように、文部科学省からの補助金よりも、防衛省からの補助金のほうが図書館に使われている場合がある。ネットで教育委員会の歳費を検索すれば、簡単に判明する。文部科学省所轄なのだから、地方税と地方債のほかに、補助金は文部科学省のだけで賄えればいいけどね、逼迫した地方財政では、もらえるものは何でも使うしかないんだなあと思う。

11:54:39 | falcon | comments(0) | TrackBacks

文学部出身の図書館職員

 Falconは文学部卒業して、しかも日本文学を専攻した。それも源氏物語で卒業論文を提出した。
 振り返ってみると、大学の校門を潜った瞬間に、この先、社会ではまともに生きて行けないと感じた。源氏物語を研究するのは、たしかに興味深いし、面白いし、楽しい。だが、それが実社会でどれだけ役に立つだろうか。文学は、所詮、楽しみにすぎない。仮に就職するにしても、文学が役に立つのは中学校・高等学校の教員、文学系の出版社ぐらいで、後は咄嗟に思いつかないくらいマイナーな職種だ。
 そこで、少しは社会に出たときに、ほかの人のお役に立ちたいと図書館職員を目指したけれども、茨の道だった。

 ちょっと待った、茨の道と言ったって、結局、大学の教員になったんでしょ!

 正直に言うと、自ら望んで大学の教員になったわけではない。図書館職員を続ける覚悟でいたが、たまたま勧めてくれた人がいて、成っただけだ。
 おっと、こんなところで、告っていたら、話が進まない。

 問題は自らもそうだったけれども、文学部で司書、および図書館職員を目指す人が多いということだ。
 図書館職員になって判ったけれども、文学部出身の図書館職員は現場ではあまり歓迎されない。文学部出身で、金勘定も苦手、経済にも、法律にも、政治にも関心がない、自分の給与から税金が引かれていることにも関知していない、化学、物理もお手上げ、外国語は文字を見るだけで頭が真っ白、読んでいる本は夢物語のような人間は、たとえ司書の資格を取得したとしても、門は閉ざされて、先がない。

 ちょっと待った、金勘定ができて、政治・経済・法律に詳しく、外国語が3カ国語以上できれば、図書館職員になんかなりたいと思うわけないじゃん!もう少しマシな仕事に就くよ、エグゼクティブになるよ。それらができないから、図書館職員になろうと思うのでしょ。自分が文学部出身のくせに、偉そうなこと言うなよ。

 そっ、そっ、そうなんだけれど、文学部出身の図書館職員ばかりになって、徒党を組んでいても、図書館の将来がないと思う。いろいろな知識、情報、学問に関心を持ち、さまざまな利用者の要求に応えられる図書館職員がいなければならない。
 子どもに読み聞かせをして、それを生きがいにすることも大切だけれども、それだけで「私は図書館職員になる資格がある」と勘違いされても、困ってしまう。
 花鳥風月を愛でるだけで、図書館職員はやって行けない。

 自分も文学部出身だから、文学部の学生たちを邪険に扱うつもりは全く無いけれど、法学部、経済学部、理系や体育系の学生も図書館に興味を持って、図書館職員を将来の職業の選択肢に考慮してほしいと思う。

 ちょっと、さっきから読んでいれば、いい気になって、余計なことまで書き連ねているけど、文学部に入学した人間の夢を奪うことを、あんたみたいな公的な立場の人間が発言するのは問題だよ!文学部は、タダじゃなくたって、就職先が少ないのに、図書館職員になる夢まで否定されたら、この先、どうなりゃ、いいのさ!
 一体、あんた、何が言いたいの!ふざけんじゃないよ!

 そう息巻いても、図書館職員がもっと社会に認知されるためには、文学以外のことに関心のある人にも利用してもらう必要があると思います。ビジネス支援や法律情報のサービス、健康情報のサービスに公立図書館が取り組んでいますから。。。。。。
 じゃあ、こうしましょ。文学部出身でもいいから、もっといろいろなことに関心を持ってもらいたいですね。政治・経済・法律・行政にも。

 まーあ、そう言うなら、許してやってもいいけど、これ以上、余計なこと言うんじゃないよ。

 はーい、わかりました。寝ます。

00:33:30 | falcon | comments(0) | TrackBacks